大事な大事な、あの人からの。

 2023年10月25日に“コアラモード.”が約5年ぶりのオリジナル・アルバム『COALAMODE.3 ~Blue Moment~』をリリース! 今作には、TVアニメ『俺だけ入れる隠しダンジョン』エンディングテーマ「ネモフィラ」をはじめとしたアニメタイアップ曲や、TVCMソングなど多数タイアップ曲が収録。彼らの多面的でバラエティに富んだ楽曲たちを楽しめる一枚となっております。
 
 さて、今日のうたコラムではそんな“コアラモード.”による歌詞エッセイを4週連続でお届け! 今回は第3弾。執筆を担当したのはあんにゅです。綴っていただいたのは、収録曲「ビューティフルデイズ」にまつわるお話。2019年に書き下ろしたこの曲を、最近ライブで歌ってみて驚いた理由は…。ぜひ歌詞とあわせて、エッセイを受け取ってください。



「ビューティフルデイズ」は、テレビアニメ『逆転裁判 ~その「真実」、異議あり!』のエンディングテーマとして、コロナ禍に入る直前、2019年に書き下ろした楽曲です。
 
書き下ろしは、ストーリーやキャラクターの関係性を踏まえつつ、その作品のために一から作るのですが、この楽曲はあえて歌詞を抽象的に表現することによって、聴いてくださる人達のこれまでの人生の記憶に寄り添えるように意識して制作しました。
 
しかし先日、ファンクラブの生配信で久々にこの楽曲を演奏して驚きました。
 
それはまるで、コロナ禍を経て作った楽曲なのでは? と思ってしまうほど、わたしの中で歌詞の響き方が変わったんです。
 
これはあくまでも自分の感想ですが、この楽曲を歌っているとき、こんなにひとつひとつの歌詞、メロディー、アレンジ、始めから終わりまで全てに渡って、具体的な意味を持ったのは初めてでした。
 
自分の中からじんわり湧いてくる切実な感情に、うんうん、と頷くようにして言葉を紡ぎ、マイクに乗せました。
その日のわたしは、歌い終わってもしばらく曲の中に浸かったまま動けませんでした。
まるで別の曲みたい。
 
この曲をリリースしたときはまだ、コロナという言葉すら知らなかったはずなのに、本当に本当に不思議です。
 
ライブの中止や、制作の制限、コアラモード.の活動も思うようには進められず…
テレビ、SNSでは毎日のように悲しいニュースが飛び交い、いつ自分の身の周りに起きてもおかしくないと、恐る恐る耳を傾けながら過ごした日々。
コロナ禍を通して、家族や親しい人達が健やかでいてくれることが何よりも愛おしく、当たり前ではないと感じたのは、きっとわたしだけではないはず。
 
この経験を通して絶対に守りたいものや、忘れたくない大切な存在が、以前より実感としてわたし達の心に、強く刻み込まれました。
 
生きていると、素晴らしい出会いはもちろん、悲しいお別れもきっとありますよね。
でも大切な人が残してくれた言葉って、ずっと聞こえてくるから…嬉しいし、おかしくて笑っちゃうこともある。
あの人だったらきっとこう言うだろうなって。
買い物をしていても、人生の分岐点で迷った時も、ちゃんと教えてくれる。
 
 
目には見えないけれど、温かいなにかにいつも守られているような感覚ってありませんか?
それはきっと、今まであなたがもらってきた、優しさなんだと思います。
大事な大事な、あの人からの。

コアラモード. あんにゅ>



◆紹介曲「ビューティフルデイズ
作詞:あんにゅ・小幡康裕
作曲:あんにゅ

◆オリジナル・アルバム『COALAMODE.3 ~Blue Moment~』
2023年10月25日発売
 
<収録曲>
1.ネモフィラ
2.ラッタッタラッタ
3.アンダンテ
4.わたしの願いごと
5.思い出コレクション
6.雨上りには好きだといって
7.ユラユラリカ
8.ビデオテープ
9.ビューティフルデイズ
10.I‘LL BE
11.カンパイ!
12.あなたに会えて
13.はるつげどり