大切な人を応援してあげたいとき、どんな言葉をかけるだろうか?

 2023年10月25日に“コアラモード.”が約5年ぶりのオリジナル・アルバム『COALAMODE.3 ~Blue Moment~』をリリース! 今作には、TVアニメ『俺だけ入れる隠しダンジョン』エンディングテーマ「ネモフィラ」をはじめとしたアニメタイアップ曲や、TVCMソングなど多数タイアップ曲が収録。彼らの多面的でバラエティに富んだ楽曲たちを楽しめる一枚となっております。
 
 さて、今日のうたコラムではそんな“コアラモード.”による歌詞エッセイを4週連続でお届け! 今回は第2弾。執筆を担当したのは小幡康裕です。綴っていただいたのは収録曲「アンダンテ」にまつわるお話。大切なひとを応援したいとき、「頑張れ」以外に言葉をかけるとしたら…。ぜひ歌詞と併せて、このエッセイを受け取ってください。



あなたは、身近にいる大切な人を応援してあげたいとき、どんな言葉をかけるだろうか?
僕の場合、これまでによく使っていたのが、ある種のカジュアルさと共に伝えることができる「頑張れ」という言葉。
 
ところが! 時代は「頑張る」ことなんてもはや当たり前に求めてきて、頑張っていること自体を、社会は褒めてくれない。
そんな現実に途方に暮れている時に、「頑張れ」という言葉を無条件にギフトとして受け取れたらいいのだけど、残念ながらそんな余裕がないことが、僕にはある。
あえてその心の余裕のなさを言語化してしまうと----頑張っても頑張っても、報われないことの方が多い現状において、「いや、頑張ってはいるのよ!」とか「これ以上頑張れって言うの!?」とさえ思ってしまうことが、恥ずかしながら、たまにあるのだ。
さらには日々SNSを見ていると、さまざまな苦境に立たされている人々の投稿を見るほどに「頑張れ」という言葉がむしろ人を追い詰めることだってあるんだ、って痛感させられる。
 
「頑張れ」のストレート球をガッとキャッチできる心の元気がある場合はいいのだけれど、そうでない場合にどんな言葉をかけられたら、気持ちが上向くだろうか?
そんな事をぼんやり考える機会が増えていた。
 
そんな中、あるとき、職業も全く違う友人にかけてもらった「頑張ろうね」という言葉。
なんだか不思議な程にスッと心に入ってきたのだった。
表現としては「頑張れ」と大差ないのに……。その理由はなんだろうか?
きっと、冷たい社会の中で孤軍奮闘することが当たり前だと思い続けてきた自分にとって、フィールドは違えど「一緒にいるからね!」と言われたような、急に共闘する仲間ができたような心強さが、妙に心地良かったのだと思う。
「頑張れ」が命令形なのに対して、「頑張ろうね」は強要しないニュアンスで、どこか「マイペースでいてもいいんだ……」と許されているような気持ちになるのも良い。
 
と、いうことで「頑張ろうね」という表現を妙に気に入った自分が、意気揚々と中心部分にその詞を添えた【アンダンテ】という曲。
この曲は、ただ頑張っているだけでは褒めてもらえないような冷たい社会で、孤軍奮闘するあなたへの「応援歌」であり、そんなあなたと“今”を共闘していきたい、ひとりじゃないよ、という気持ちを伝えたいコアラモード.からのメッセージ。
 
歩くようなスピードでいい。マイペースにそれぞれの今日を頑張ろうね。そんな思いを込めたこの曲で、今日のあなたを元気付けられたらいいなと願っています。
 
<コアラモード.  小幡康裕>



◆紹介曲「アンダンテ
作詞:小幡康裕
作曲:小幡康裕

◆オリジナル・アルバム『COALAMODE.3 ~Blue Moment~』
2023年10月25日発売
 
<収録曲>
1.ネモフィラ
2.ラッタッタラッタ
3.アンダンテ
4.わたしの願いごと
5.思い出コレクション
6.雨上りには好きだといって
7.ユラユラリカ
8.ビデオテープ
9.ビューティフルデイズ
10.I‘LL BE
11.カンパイ!
12.あなたに会えて
13.はるつげどり