「女の子」はなんなのか。

 2023年2月15日に“ゆいにしお”が新曲「会いたいな今夜」を配信リリースしました。ドラマ『来世ではちゃんとします3』エンディングテーマとして書き下ろされた同曲。歌詞は作品の主人公である大森桃江をイメージしたアップナンバー。編曲家としてPEOPLE 1等の楽曲にも参加する“Hajime Taguchi”氏を迎え、打ち込みサウンドを駆使した軽快なトラックに仕上がっております。
 
 さて、今日のうたコラムではそんな最新作を放った“ゆいにしお”による歌詞エッセイをお届け!綴っていただいたのは、新曲「会いたいな今夜」にまつわるお話です。ずっと「女の子」という定義に振り回されてきたというゆいにしお。あるとき出会った詩とは。そして「女の子」とは何なのでしょうか…。さらに今回は“音声版”もございます!ゆいにしお本人の朗読でもエッセイをお楽しみください。


ゆいにしおの朗読を聞く

思えばずっと、「女の子」に振り回されてきたような気がする。
 
女の子、女の子、女の子。こんなにも定義が曖昧で、多義的な言葉があるのでしょうか。
 
中学から大学まで女子校に通っていたときも、母親から「女の子らしくしなさい」と言われたときも、とうとう「女の子」はなんなのかわからなくなった。
 
「女の子」でいようと無理して型に押し込めてみたり、逆張りで「女の子」からはかけ離れた存在になろうと意識してみたり。
 
そんななかで、出会った詩がある。
 
What are little girls made of?
What are little girls made of?
Sugar and spice
And all that’s nice,
That’s what little girls are made of.
 
私なりのめちゃくちゃな訳をすると、
 
女の子は何でできているの?
女の子は何でできているの?
お砂糖とスパイス、
それと素敵なもの全部
そんなものでできているよ
 
これを聞いて、「確かに」と思う人もいると思う。でも、私は「お砂糖とスパイスで女の子になれるのなら、こんなに今苦労してねえよ」と思ってしまったのだった。
 
お砂糖とスパイスでできているものこと、女の子に対して、この世は定義づけに厳しい。というか、女の子が神格化されすぎていると思う。
 
万物はかわいい女の子として擬人化されていく。
「今日は女子会!」という言葉に、「女の子っていう年齢か?」なんてささやきを耳にする。
 
でも、綺麗な色のコートを着てショーウィンドウを覗いたりして、「私はお砂糖とスパイスでできているかも」なんて日もある。
 
たとえお砂糖とスパイスでできていなくたって、誰でも「女の子」を名乗っていい。
誰かを愛さなくても、誰にも愛されていないと思っていても。
 
『会いたいな今夜』は、恋人にしてくれない人を思い続ける歌だけど、「女の子」でいたい人にも聞いてほしい1曲だ。
 
私もこの曲を聴いていたら、「女の子」に振り回されることを忘れられそう。
 
<ゆいにしお>



◆紹介曲「会いたいな今夜
作詞:ゆいにしお
作曲:ゆいにしお