ただ歪に、しかし真っ直ぐに愛したい!愛されたい!

 2022年11月9日に“yonawo”が3rd Full Album『Yonawo House』をリリースしました。今作には、6月にリリースしたサマーチューン「After Party」、7月にリリースしたドラマ『晩酌の流儀』OP テーマ「yugi」、そして初めて客演を迎えてリリースしたシングル「tokyo feat. 鈴木真海子, Skaai」といった話題曲の収録はもちろん。上京してからメンバー4人で暮らすスタジオ“Yonawo House”で制作された、バンドの新たな魅力を味わうことができる新曲の数々が収められております。
  
さて、今日のうたコラムではそんな最新作を放つ“yonawo”の荒谷翔大による歌詞エッセイをお届け!今回は【前編】です。綴っていただいたのは、アルバムのタイトル『Yonawo House』についてのお話。そして、改めて気づいた今作のテーマ「愛」についてのお話です。ぜひ歌詞と併せて、このエッセイをお楽しみください。
 


皆さま、こんにちは、yonawoのボーカル荒谷翔大です。はじめましての方も、お久しぶりの方もいらっしゃるかと思いますが、有難いことに、うたコラムでの執筆は今回で二回目になります。2020年11月にリリースしたファーストアルバム『明日は当然来ないでしょ』の際に一度お話をいただきまして、それから数えると約2年ぶりにこのような機会をいただき、ドキドキワクワクしとります!
 
では、始めに余談にはなるんですが、最近観たオススメの映画『The Story Of My Wife』を紹介します。大まかなあらすじとしては、美しい女性・リジーと出会ったその日に結婚を取りつけた男性・ヤコブが、その後の結婚生活で葛藤する様を描くというものです。
 
すこし大胆な設定なんですが、終始物語は男性・ヤコブの目線で描かれ、映画を観ているお客さんとしても、ついつい感情移入しちゃいます。特に男性諸君はリジーの言動や行動にドキッとしてしまう場面が多々あるかと思いますので要注意です。
 
そんなはじめての結婚生活に戸惑いながらもリジーのことを心から愛し、愛されたいと願いもがく彼の勇姿を一度皆さまにも観てほしく、紹介させていただきました。さて余談はこの辺にして、なぜいきなり映画紹介? と思った方もきっといますよね。でもこんな余談や雑談も時には大事な調味料、いや隠し味になるのです!きっと、、、
 
というわけで、本題に入ります!まずは僕たちのサードアルバムのタイトル『Yonawo House』についてお話しします。“House”と聞くといろいろ想像が膨らんじゃいますが(なんちゃらハウスというものはこの世にたーーーくさんありますよね)、なんと僕たちyonawoは、デビュー当時から拠点として活動してきた地元福岡を離れ、今年1月から上京しまして、4人でシェアハウスなるものを始めたのです!その名もYonawo House!!!
 
そんなメンバーみんなのお家兼スタジオで制作、レコーディングして完成した作品なんですが、前作同様アルバム一枚通してのテーマは特に決めてなかったのもあり、細野晴臣さんの『HOSONO HOUSE』やHarry Stylesの『Harry's House』などにあやかりまして、このようなタイトルをつけました。
 
でもこの度、音楽エッセイを書くにあたって改めて楽曲たちを見返すと、どうやらぼくたち人間にとっても身近で馴染みのある「愛」がテーマにあるんだと気がつきました。愛といっても定義は人の数だけあり、そもそも僕自身もどう定義したらいいのかはっきりとはわからない、そんな厄介で曖昧な、とても手に負えない代物です。しかし未知で難解なものについつい手を出したくなる、それが人間の性というやつです。
 
そんなわけで、今までの作品たちも「愛」についての歌が多いのですが、そこで歌っている「愛する」とは“個人が他者に対して、できるだけ客観的な立場をとり、他者の中に自分を見出し、それぞれが抱く「私」をみつめること”と定義しています。そしてその感覚を詩を通して表現していました。
 
しかし今作では、その定義を踏まえた上で、主観的に愛すること、愛されることを求める自分の生々しい欲求に着目して詩を書きました。そこには何か生きる上での答えや啓示になるようなものは見出せないかもしれません。ただ歪に、しかし真っ直ぐに愛したい!愛されたい!という不条理で救い難い叫びが、そこにはあります。願わくはいつの日か、そんな叫び声が歌声になれば嬉しいです。

<yonawo・荒谷翔大>


◆3rd Full Album『Yonawo House』
2022年11月9日発売
 
<収録曲>
 
01.After Party 
02.tokyo feat. 鈴木真海子, Skaai 
03.Lonely
04.yugi
05.tonight
06.sunset
07.日照雨
08.ダンス
09.涙もがれ
10.hanasanai
11.Yesterday