臆病なパレット。

 2022年5月2日から全国オンエアされている『アクエリアス』新TVCMソング(広瀬アリス・生瀬勝久が出演)に、“eill”の楽曲「palette」が起用!さらに6月17日には、6th配信シングル「HAPPY BIRTHDAY 2 ME」(読み:ハッピーバースデートゥーミー)をリリース!
 
 今日のうたコラムでは、そんな“eill”の歌詞エッセイを2カ月連続でお届けいたします。今回は【後編】です。綴っていただいたのは、楽曲「palette」にまつわるお話。自身の音楽に、自身の人生に、名前をつけるとしたら…? たどり着いたのは“パレット”という言葉。楽曲に込めた想い、そしてこれからの意思を、歌詞と併せて受け取ってください。



2021年4月。
メジャーデビュー「ここで息をして」をリリースしてから
右も左も分からず我武者羅に走ってきた。
 
真っ赤なリップで強くなれた日も
真っ白な心でやり直した時も
新緑の風に吹かれた朝も
桃色の恋に落ちた瞬間も
綺麗な花が灰色に見えたことも
ぜんぶ音楽に変えた。
 
音楽を始めた時から
ずっとずっと、私に纏わりつく
「ジャンルレス」という言葉
いろんな表情の楽曲たち
溢れ出てくる、ちぐはぐなメロディー
正直、悩んだ時もいっぱいあった。
 
決してひとつの色とは、言い切れない。
私の音楽に、私の人生に
名前をつけるなら…?
 
「パレット」
 
なに色でもない自分も
なに色にでもなれる自分も
やっと肯定してあげられた。
ずっと探していた自分の居場所が見つかった。
 
 
アルバムのタイトルが決まって
急遽、曲数を増やして描いた
palette
 
スタジオに入って
迷うことなく曲を作った。
あっけらかんと書いた歌詞。
 
わたしはこの曲のBメロがだいすき。
 
もし、ベストBメロ賞があったら
確実に受賞できると思う。笑
 
1.red、2.white …
どんどん増えてく色と共に
自分の中にあるすべての感情が肯定されていく
ような感覚
 
軽快なピアノとアコースティックギターが微笑みながら背中を押してくれて
力強い4つ打ちのビートが足を止めないで。とエールを送ってくれて
半分から入ってくるベースが優しく見守ってくれる。
 
毎回聴くたびに
ほんと、奇跡みたいなアレンジだな。と思う。
 
なぜ、こんなに心惹かれるのか。
それは、この曲が本当にひとつのパレットになってるからなのかな?と…
 
一緒に奏でてくれる仲間の音が何色も重なって
その人の人生も、魂もきっと全部のっかって。
 
この曲は、目に見えない、耳で聴こえてくる
パレットになったんだ。
 
 
最近思うことは
案外、自分のことが1番摩訶不思議だったりする。
人から見たらカラフルに見えても、自分は気づいてなかったり。
自分にとってなにが幸せなのかも、よくわからなかったり。
 
でもそんなんも全部。
とりあえず、乗せてみよう。
憂鬱でブルーな気持ちも
いつか飼い慣らして、味方する。
 
完璧なんて最初からどこにもない。
どんな1日も、どんな私も
同じ色なんてひとつもない。
 
ぜんぶ、人生という
わたしだけのパレットに乗せて。

<eill>



◆紹介曲「palette
作詞:eill
作曲:eill・Ryo'LEFTY'Miyata