フレンズ

夜よ、このまま明けないで。

 2021年8月4日に“フレンズ”が2ndフルアルバム『SOLAR』をリリースしました。本作には、ドラマ『きのう何食べた?』の主題歌「iをyou」をはじめ、数々のタイアップに起用されたこれまでのシングル曲のほか、新曲「東京今夜」を含む全15曲を収録。加えてBonus Rare Trackとして新録で「NIGHT TOWN(神泉ver.)」まで収められた、これまで以上の多彩なサウンドが詰まった、まさにフレンズの真骨頂と言える作品となっております。
 
 さて、今日のうたコラムではそんな最新作を放った“フレンズ”のおかもとえみによる歌詞エッセイを3週連続でお届け!今回はその第1弾。綴っていただいたのは、今作の収録曲「東京今夜」にまつわるお話です。東京の夜の中、とあるひと言から蘇ってきた光景とは…。みなさんにとって“東京”とはどんな存在の街ですか?

~歌詞エッセイ第1弾:「東京今夜」~

東京の夜は冷たく光っている。

夜の帳が下りた後、駅前で別れを惜しみながら抱き合うカップル、一方ビルの隙間からは微かにすすり泣く声、それをなだめる低い声。2人の愛は私にまでたどり着いた。正直、家でやってくれ!と思いながら横目で見つつ通り過ぎた時、「帰りたくない」という一言が聞こえてきた。その一言は、私をタイムマシーンに乗せた。

2010年、8月、0時、渋谷駅。当時学生だった私は実家に住んでいた。門限を守るタイプだったので、基本的に終電には間に合うように帰るようにしていた。

楽しい時間はあっという間に過ぎ去り、気付けば終電ギリギリの時間に。その頃、たまにバイトをするくらいでお金もそんなに持っていなかったので、タクシーに乗るという選択肢は頭にもなかった。

時間は刻々と迫っている中、今日を振り返ってみたり、次のデートの行き先について話してみたり。2人の時間を少しでも伸ばそうと、昨日見たドラマの考察をもう一回してみたり、友達の噂話をしてみたり。話せば話すほど名残惜しい。

恋をしているその瞬間は、いつも見慣れている風景が舞台のセットの様で、書き割りの空の下、大きくて丸い月のスポットライトが優しく見守ってくれているような気持ちになった。

このまま何処かへ行けたらいいのだけれど。願いが叶わない夜の終わりはとても短い。

人混みの中、彼の後ろに広がる景色は誰もが思い描く東京だった。

東京は華やか。
東京は夢を叶える場所。
東京は私をドラマの主人公にしてくれる。
東京。

「またね。」の、余韻を残したまま電車に飛び乗る。満員電車に揺られながら今日のことを思い出しては愛しさで胸が苦しくなった。

東京のイメージを
こう描いている人の声もよく耳にする。
東京は冷たい。
東京は怖い。

東京はずるい。華やかでいて冷たいんだから。あの日の気持ちとリンクしてしまった。

2021年の東京にもあの日と同じように、駅前にはカップルがいる。あと数分で最終電車がやってくる。愛してるって言ったって構わず電車はやってくる。東京の夜は冷たく光っている。

夜よ、このまま明けないで。

<フレンズ・おかもとえみ>

◆紹介曲「東京今夜
作詞:おかもとえみ
作曲:おかもとえみ

◆2ndフルアルバム『SOLAR』
2021年8月4日発売
初回盤 AICL-4030-4031 ¥4,400(税込)
通常盤 AICL-4032 ¥3,300(税込)

<収録曲>
1.東京今夜
2.急上昇あたしの人生
3.FUTURE PEOPLE
4.Hey Boy Hey Girl
5.夢って
6.海のSHE
7.元気D.C.T~No at all~
8.いつものサタデー
9.iをyou
10.8月31日の行方
11.約束
12.あくびをすれば
13.楽しもう
14.ボルテージ!
15.いいんじゃない?
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