もしも、コロナが無かったら。

 豊島こうき(Vo.&Gt.)、福島拓人(Gt.&Programming)からなる2人組バンド“Amber's(アンバーズ)が新曲「DRIVE」と「アブノーマル」を2作連続配信リリース!1作目の「DRIVE」は2021年6月18日に配信リリース、2作目の「アブノーマル」は7月にリリース。2曲ともAmber'sのTikTokアカウントで既に公開されているものから、さらに磨きのかかった音源となっております…!
 
 さて、今日のうたコラムではそんな最新作をリリースした“Amber's”の福島拓人による歌詞エッセイをお届け。今回は第1弾。新曲「DRIVE」にも通ずる、コロナ禍での本音を明かしてくださいました。もしも、コロナが無かったら。みなさんもきっと考えたことのあるこの言葉。彼はその先に、一体どんな言葉を続けるのでしょうか。是非、歌詞と併せて受け取ってください。

~歌詞エッセイ第1弾:「DRIVE」~

はっきりと、この言葉を口にすると負けな気がする。
だけど、僕と同じ事を考えた人は沢山いるはず。

“もしも、コロナが無かったら”って。

「コロナ渦にどうしたら自分たちの音楽が届くだろうか」これは去年の3月以降、音楽活動をしている人たちが悩まされた大きなテーマだと思う。次々と人気アーティストたちのライブ中止が発表され、嘆くアーティスト本人のSNSを見るたびに複雑な気分になったりもした。「俺らよりマシだろ」と。

これまで人を羨ましいとか妬ましいと思うことがあまりない人生だったが、今現状として知名度のない僕らからすれば、人気アーティストはライブができない“だけ”だろとやさぐれたくもなった。

まだ多くの人に音楽を届けることができていない僕らは、どうやって音楽を多くの人に届けたらいいのか。20代としては珍しく、これまでSNSよりも、ライブハウスで直に届けるという手法を取ってきた僕らには分からなかった。

去年の3月に発売されたアルバム『VOSTOK』で初の全国流通デビューを果たし、ツアーも控えていたのだが、もちろんそれはできなくなった。ちなみにアルバム名は「多くの人へどこまでも届くように」と願いを込め、人類初の有人飛行を成功させた宇宙船「VOSTOK」から名前を取ったのだが、なんだか皮肉な結末となった。

ライブ活動が不要不急と言われたあの時、自分のモチベーションを保つ唯一の手段は曲を作り続けることだった。マスク必須の世の中はそう長く続かないと思っていた。来たるべき日に備え、ひたすら今の感情を曲に落とし込んだが、来たるべき日はなかなか来ない。

こんなご時世だからこそ、音楽で寄り添いたいのに。。。

日に日に強くなる思いから、画面越しでもいいから。と、止まっていた時間を取り戻すように一日一曲、毎日オリジナル曲をSNSで投稿した。想像を遥かに超える数の人が僕らの曲を受け取ってくれた。音楽を期待してくれた。存在を知ってくれた。

音楽の発信場所を探していたように、音楽を愛するみんなも受け取り場所を探していたのだ。

こんなご時世だからこそ、届いた音楽や支えになれている音楽がある。僕らの曲を生きる糧にしている人がいる。皮肉にも、コロナのお陰で気付かされた。

“もしも、コロナが無かったら”
新曲「DRIVE」は生まれていないだろう。ライブができない反動から今までで一番ライブを意識した楽曲になった。

“もしも、コロナが無かったら”
SNSに100曲以上オリジナル曲を公開するようなぶっ飛んだことはしないだろう。いま、読んでくれているあなたにも出会えなかったかも知れない。

足枷でしかないと思っていた“ヤツ”の存在に背中を押されるとは思っていなかった。

とはいえ、東京 渋谷 下北 吉祥寺のライブハウスでテレキャスターを早くかき鳴らしたい。

<Amber's Gt/Programming 福島拓人>

◆紹介曲「DRIVE
作詞:豊島こうき
作曲:Amber's