さて、今日のうたコラムではそんな最新作を放った“緑黄色社会”の長屋晴子による歌詞エッセイをお届け!綴っていただいたのは、新曲「結証」に通ずるお話です。みなさんは、人と人との“運命”というものを信じますか? 今回は彼女自身が“運命”を実感したときの想いを明かしてくださいました。是非、歌詞と併せて受け取ってください…!
~歌詞エッセイ:「結証」~
新曲「結証」は、運命や絆といった形のないものこそ信じて守っていきたいというテーマで歌詞を書いた楽曲です。
はて、
形のないものって?運命って?絆って?実際どんなもの?本当にあるの?
絆はなんとなく分かるかも。あるとかないとかじゃなくて、自分で築き上げていくことができるものだから。
じゃあ、運命って一体なんだろう。
うんめい【運命】
人間の意志にかかわりなく、身の上にめぐって来る吉凶禍福。それをもたらす人間の力を超えた作用。人生は天の命めいによって支配されているという思想に基づく。めぐりあわせ。転じて、将来のなりゆき。
(広辞苑より引用)
どうやら人間の意志とは関係ないらしい。人間の力を超えるらしい。
自分でどうこう出来るものではないとしたら、神様なのかそれ以外の何かなのか分からないけれど、人間以外の何かの力が加わらなければ、一生、運命というものに出会うことはないのかもしれない。
これでは運命に対してあるないの論争が繰り広げられるのも頷ける。
かくいう私は、運命を信じている。あるとかないとかではなく、信じている。
中学3年生。高校では絶対にバンドを組むと決意し、軽音部のある高校を探して受験した。
無事合格し、入学前からSNSでバンドメンバーを探した。軽音部入部希望者は数人いて、その中でも一際変なやつがいた。ギターボーカル志望は被っていたけれど、絶対にこの人とバンドを組みたいと思い連絡をした。
入学式の日、SNSで友達になっていた女の子と校門で出会い話を聞くと、ピアノを長年習っていたという。迷いも躊躇いもなく、バンドを組まないかと声をかけた。迷いも躊躇いもなく「いいよ」と返事をくれた。
軽音部で活動して少し経った頃、それまでのベースが抜け、新しいベースを探していた。ギターが「幼なじみなんだ」と連れてきた2歳年下の男の子がいた。年齢も学校も違う初対面の男の子、同い年で同じ学校の誰よりもガッツがあって不思議な魅力があった。
そんな3人と一緒にやっていこうと決めたのは間違いなく自分の意志だったから、先程の定義に基づけばこれは運命ではないのかもしれない。
それでもこの出会いを運命だと信じたい所以がある。
普段、お店で料理を頼むにも同行者の注文を聞いて回ってからでしか決められないくらい優柔不断な私が、一切迷わなかった。まるで最初から決まっていたかのように、この人だと思った。
自分でもびっくりするくらい、一寸の迷いもなく決めたので、神様のお告げなのか、天使の導きなのか、あの時の決断は何者かに誘導してもらっていたような気さえする。
とするならば、この出会いを運命と呼んでも良いのかもしれない。
運命はあるのかないのか、正直分からない。
分からないので、この話は一旦置いておいて、否、永遠に置いておいて。
運命は信じるか信じないかの話だと思う。
もっと言えば、運命は信じた者勝ちだと思う。
だって
信じていなければ、強く願っていなければ、
運命が存在していても、気付くことさえ出来ずに通り過ぎてしまうから。
<緑黄色社会・長屋晴子>
◆紹介曲「結証」
作詞:長屋晴子
作曲:小林壱誓
◆3rd SINGLE「結証」
2021年2月3日発売
初回生産限定盤 ESCL-5480~1 ¥3,545+税
通常盤 ESCL-5482 ¥1,091+税
期間生産限定盤 ESCL-5483~4 ¥1,818+税