小春が足りない。

 2020年10月28日に、歌とアコーディオンの姉妹ユニット“チャラン・ポ・ランタン”がニューアルバム『こもりうた』をリリースしました。今作のコンセプトは、自粛期間中に制作した「こもりうた」。全ての収録曲を宅録にてチャラン・ポ・ランタン2人で完成させた作品となっております。是非、その楽曲と歌詞をご堪能ください…!
 
 さて、今日のうたコラムではそんな最新作を放った“チャラン・ポ・ランタン”による歌詞エッセイを2週連続でお届け!【前編】はももが執筆を担当。そして今回は小春が執筆を担当!綴っていただいたのは、作品作りに対する様々な想いです。2009年に結成、2014年にメジャーデビューを果たし、今に至るまで、常に新しいものを生み出し続けている彼女のこれまでと今とこれからの気持ちとは…。

~歌詞エッセイ:小春が足りない。~

髪の毛千切ってフッてやって
わいわいわいと小春が沢山できたら
それもそれで恐ろしい世界だろうけど
1日くらい体験してみたい。
1人で作業するには多すぎるような気もしている。
こうした作業ができる人間がもう1人居たら
どれくらいの作品とイベントを作ったり
できるだろうとか思ったりしている。
時間は無いようで有って、だからといって
寝ないでやったら似たようなものができたり
ミスっている。
体力が欲しいとかとはなんだか違う。
脳内キャパの話なんだろうか。
おそらく人に何かを任せるのが苦手なんだろうから
そんなような発想にたどり着くのだろうけども
多分他人に期待しすぎているんだよ、と
言われたことがある。間違いない。

私が行っていることってずっと
自分の頭の中にあるものを
具現化するという作業を淡々とこなしているだけ。
この頭にあるものをもっと早く出せたら楽なのに。
とか思うけど割と時間がかかったり
譜面にするのに手こずったりするもんだから
10あるものの中から2くらしいか出ない日もある。
実にもどかしい。もどかしい上に腹も立ってくる。
自分に。
助手みたいなのが居たら良いのかな。
こういう系が得意な人がいいな…
LogicとfinaleとIllustratorと
FINAL CUTが分かる人…
そしたらもっと沢山作れるのに、なんて。

トップに立つ人って多分
人を動かすのが上手い人なんだろう。
私にはそれがなかなかできなかったりで
だから世界を大きくできないのではないかとか
ぼんやり思う。

あとどれくらい何かを作ることができるんだろう。
あとどれくらいの人に作品を
聴いて観てもらえるんだろう。
頭の中を印刷したい。
プランが自分でも読めてこない。
別に路頭に迷っているわけではない。
作品を作るという気持ちが芽生えてから
今日までずっと、似たようなことを考えている。

本当はもっと頑張れる。
沢山やりたいこともある。
いつのまにか人生が過ぎていきそうで怖い。

満たされないままずっと時が流れている。
でもこれが正解なんだろうと思う。
ずっと不満のまま、次はこれが作りたいんだ
これが本当はやりたかったんだ、と
新しいものを作るの繰り返しが
生きるということなのかもしれない。
未練の塊である。

髪の毛千切ってフッ
はらはらはら

<チャラン・ポ・ランタン 小春>

◆ニューアルバム『こもりうた』
2020年10月28日発売
AL+DVD AVCD-96587 ¥3,700+税
AL+Blu-ray Disc AVCD-96588 ¥5,000+税
AL AVCD-96589 ¥2,500+税

<収録曲>
1. 空が晴れたら  
2. 進捗インジケータ 
3. 透明の恋 
4. ゆううつなデイ 
5. おとなの螺旋階段のマーチ
6. ハッピーマイサマーダーリン 
7. 新宿で映画を観る
8. あの丘の向こう
9. ルージュの伝言 (bonus track) 
10. Bonetrousle (bonus track)