植田真梨恵

このアルバムのテーマは「愛と血」だということがわかった。

 2020年8月26日に“植田真梨恵”がニューアルバム『ハートブレイカー』をリリース。「メジャーデビュー5周年を終え、植田真梨恵とはなんぞやというところに立ち返った。この先も私がメジャーシーンで歌っていくために、“植田真梨恵にしかできない音楽”を見つけ、金字塔となる一作を作りたい」そう強く感じたという彼女。そこからひたすらに音楽に没頭する制作期間を経て出来上がった、全17曲が収録されているのが今作です。
 
 さて、今日のうたコラムではそんな“植田真梨恵”による歌詞エッセイを3ヶ月連続でお届けしてまいります。今回は第1弾第2弾に続く最終回。綴っていただいたのは、ニューアルバム収録曲であり、アルバムタイトルにもなっている「heartbreaker」にまつわるお話。みなさんにとって、愛するとは? 幸せとは? そんなことを考えながら、最後までご堪能ください…!

~歌詞エッセイ最終回:「heartbreaker」~

雨が降っている。梅雨なので当然だけど、今は雨が降ると心配なことがある。もうあんまり降らないで欲しい。

歌詞を書くということへの今回の私のエッセイももうこれが最終章。不器用な人間です。って口に出すのは逃げにも感じる。不器用だからってなんでも許されるわけではないから。完璧な人間なんてどこにもいないから。だから、ちゃんと気を配りながら、言葉や態度を選んでみんな生きている。

新しいアルバムのことが発表になった。今年に入ってからずっと取り組んできたアルバムで、私にとって大切な1枚になった。8月26日に発売するから、もう完成していて、手を加えることはできないけれど、みなさんのところに届くまではまだ時間がある。この時間のあいだをどう過ごすのが正解かわからないけど、すでに次の曲たちに手をつけたい気持ちがふつふつと膨らんでいる。かんたんに言えば、手持ち無沙汰だから。歌詞や曲を書いて形になるものを作って満足感を得たい。何かしていないとなんだか心が落ち着かない。

『ハートブレイカー』というアルバムにした。アルバムの曲を書き始めて、「heartbreaker」という曲が書けて、このアルバムを代表するのはこの曲だと思った。まだ聴いてもらっていない曲の説明をするのはちょっと野暮にも感じるので、関係あるような無いようなことを書いておこうと思う。

このアルバムの曲たちを書いてる間、読んでいる本があった。長年そばでお仕事をしてくれているマネージャーさんから借りたもの。マネージャーはとても本が好きで、関わり始めてすぐの頃から、何冊かの本を貸してくれた。いまだに読み終わってないものもあって、返せていない本の方が多い。でも今回お借りした本は、歌詞を書いている期間中何度も開いて、全部読んでしまった。だからこれはもうちゃんと返せる。ウィリアム・ブレイクの「無心の歌、有心の歌」という詩集である。

何かの映画の台詞で「詩の翻訳はレインコートを着てシャワーを浴びるようなものだ」というのを聞いた。この本を貸してくれるとき、マネージャーさんも「英語のままで読んだ方がいいんですけどね」と言っていた。確かにほんとにそうだろうなと思った。翻訳をする人はたいへんだなと思う。違う国の言語に言い換えただけで、もう別の物になってしまうもんな。言葉を扱うお仕事をさせてもらっているけれど、言葉とは本当に難しい。人に何かを伝える事は難しい。

表題曲の「heartbreaker」という曲は“昔見たアラブの王様と”という歌詞から始まる。語感や韻とかを重視して書いたわけじゃなくて、とってもシンプルに、愛するとは?ということを書いた歌。メロディに引っ張ってもらいながら、メロディをねじ伏せながら、この歌に書くべき歌詞だけを綴った。これ以上他に何も言えないし、これを短くまとめることもできない。

この曲ができて、他の曲たちが出揃ってきて、このアルバムのテーマは「愛と血」だということがわかった。生まれもった血、誰かと分け合った血。生まれてきて、死ぬまでに、いったい私は何をして過ごしていればいいんだろう。大きな仕事を成し遂げたり、成功を収めたり、子供を持って子孫を残したりすることだろうか。手持ち無沙汰に過ぎる時間を、歌詞を書いて歌を作って過ごす以外に、何をして過ごせばいいんだろう。特に他に今なんにも見当もつかないので、私はまた歌を作り歌詞を書き、歌って過ごすんだろうと思います。

みなさんの日々はどうですか。やっぱり、家族ができると毎日の意味はもっともっと大きくなったりするのでしょうか。幸せっていうのはどういう瞬間のことでしょうか。わたしは今日、今もたぶん、とっても幸せです。大好きな人たちがいます。私の歌を大好きとか言って、聴いてくれる人たちがいます。それでもう本当に、十分です。退屈したら、歌詞を書きます。

これで私の歌詞エッセイはおしまいです。おんなじようなことを何回も何回も書いてしまったような気もするけれど、読んでくださって、ありがとうございました。歌詞のことについて何か書くのは結構ふしぎなきもちでした。

今度のアルバム、どれも好きな歌詞が書けたので、お届けできる8月26日になったら、きっと聴いてもらえたらいいなと思いながら。あなたにも、好きっていうものがその中に見つかったら、私にとっては何よりのしあわせです。まだ雨は止みません。平穏に暮らせるいつものしあわせな日々がはやく、みなさんのところへ戻りますように。

<植田真梨恵>

◆紹介曲「heartbreaker」
作詞:植田真梨恵
作曲:植田真梨恵

◆3rd Full ALBUM『ハートブレイカー』
2020年8月26日発売
【コレクション盤】 GZCA-5297 ¥4500(tax out)
【通常盤】GZCA-5298 ¥3000(tax out)

<収録曲>
1.heartbreaker
2.WHAT’s
3.まぜるなきけん
4.Black Cherry In The Dirty Forest
5.Stranger
6.小さな恋の誓い
7.眠れぬ夜に
8.鍵穴
9.スルー
10.my little bunny
11.REVOLVER
12.バニラフェイク
13.I JUST WANNA BE A STAR
14.てとてとめとめ
15.IN TO
16.憂うべき
17.ERROR





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