立ち止まることも、怖かった。そして、この曲に想いを込めた。

 2020年4月8日に“THE SxPLAY(菅原紗由理)”がデビュー10周年を記念しての初ベストアルバム『BEST OF 3650 DAYS』をリリース!今作には“菅原紗由理”としての8曲、そして“THE SxPLAY”としての7曲、厳選された全15曲が収録されております。また、その中には、5年間ライブでのみ披露され、ファンの中でもリリースが待ち望まれていた“Dream Bird”改め「MY NEVER ENDING STORY」も収録。
 
 さて、今日のうたコラムでは両名義での様々なエッセンスを楽しめる今作から、待望の収録曲「MY NEVER ENDING STORY」についての歌詞エッセイを“THE SxPLAY(菅原紗由理)”本人に綴っていただきました! 彼女の軌跡、葛藤、決意、今、未来、様々な言葉がこのエッセイと歌詞に詰まっております。是非、その想いを受け取ってください…!

~歌詞エッセイ:「MY NEVER ENDING STORY」~

振り返ると、胸が熱くなるような感情。
心に刻まれた、美しく変わらない思い出。
誰しも一つはあると思う。

そんな「あの頃」のように
自分の心にまっすぐに生きる。

《渋谷駅前スクランブル交差点》

毎日、驚くほど人が行き交うこの場所は、
私にとって、いわば都会の象徴。

今回、このコラムを
書かせていただくきっかけになった楽曲
「MY NEVER ENDING STORY」の中でも歌っている、
東京を語る上でもかかせない、思い出の場所。

そんな、都会とは真逆の“秋田県横手市”が私の故郷。
冬の間は、屋根の上に積もった雪を放っておいたら、
場合によっては、崩壊してしまう、、、
なんてこともあるほどの、豪雪地帯。

東京からは、新幹線で約3時間ほどかかる、
いわゆる「田舎」でスクスク育った私は、
高校を卒業と同時に、物心ついた頃からの夢だった
“歌手デビュー”が決まり、上京。

テレビの画面越しに見ていた
憧れの“渋谷スクランブル交差点”を、
初めて目にした時の高揚感、
若干大股で歩いた、あの胸の高鳴りは、
今でも忘れない。

そこからは有難いことに、
走り出しから夢のような経験を沢山させてもらい、
「願えば叶う!」なんて、
苦笑してしまうほどの前向き精神で、
誰かが作ってくれた「明日」というメニューを
勢いよく乗りこなし、必死に走り続ける毎日だった。

そうして、上京して約5年の月日が経った2014年。

「自分が今、本当に、伝えたい歌とはなんなのか?」
という感情を追求すべく、
“菅原紗由理”から
“THE SxPLAY”という名前に「改名」。

これまで所属していた事務所、レコード会社も辞め、
一からスタートする道を選ぶことになるのだけど、
今思えば、一から始めるというのは、
そんな甘っちょろい話じゃない。

黙っていても運ばれてきた
「明日」というメニューを、
今度は一人でゼロから作り、
積み重ねていかなければいけない。

以前居た場所は、ある意味
誰かが助けてくれる「楽園」のような場所だった分、
自分が傷付かずに済んでいた部分が
沢山あったのかもしれない。

その「楽園」から踏み出すことを
自ら望んだはずなのに、
ちょっとした事も思うように上手くできない現実、
自分の無力さをダイレクトにくらう事で、
想像とのギャップを目の当たりにする。

ほんのちょっと前まで、光り輝いていたはずの景色は、
少しずつ、少しずつ影を落とし、

「願えば叶う」

そんな、何の気なしに発していた前向きな言葉さえも、
簡単に口にすることができなくなっていった。


“進め!進め!進め!!”

心からそう思っているはずなのに、
追いつかない心。

それを嘲笑うかのよう、
どこか冷静な、もう一人の自分が、
嫌なほど思考に入り込んできて、
我が物顔でどっしりと構えている。

うまく噛み合わず、不自然な音を立て
回り続ける歯車に気づきながらも、
必死で回し続ける日々。

泣きたいのに、笑ってる。

平気なんかじゃないのに、余裕な表情を見せる。

「私、変わってしまったのかな・・・?」

立ち止まることも、怖かった。

そして、この曲に想いを込めた。

部屋で一人、歌いながら
時にはカフェで歌詞を書きながら
ボタボタと涙を流す自分に気づく。
周りからしたら、相当怖かったと思う(笑)

強がっていないと、笑っていないと、
うまく立つことのできない自分を
自覚してしまうのが怖くて、背を向けていたこと。
向き合いたいと思うほど、臆病になっていったこと。

正直なところ、「願えば叶う」って
前向き精神で、もっとシンプルに向き合っていた
あの頃を、うらやましくも思ったこともあった。

だけど、その度に浮かぶのは
はたして「楽園」の先に生まれるものはあったのか?
ということ。

痛くて、苦しくて、またもがく。

それでも、痛みの根元に辿り着くため、
想いを一つ一つ掘り起こしていった先にあったのは、
「もう一度、素直な気持ちで自分に、歌に向き合いたい。」
と、心から願っている、私だった。

2年後、2016年。
小さな出会いをきっかけに、初めての中国ツアーが決定。
北京に1ヶ月一人暮らしをして、その後1ヶ月かけて
中国のスタッフさん、ミュージシャンと
6都市を巡る中、毎回この曲を、
ライブのラストに歌った。

ステージからは、新しい景色が目の前に広がっていた。

こんなこと、数年前の私には想像できたかな?

前を向いて進むということは、沢山傷つくこともある。
遠回りを繰り返した、今ならわかる。

踏み出してみなきゃ
見れない景色が、日常にはまだまだいっぱいある。
踏み出して、傷ついて、初めて
生まれるものがある。

光のある場所には、必ず影が存在するように、
影のある場所にも、光は必ず存在する。
一つ一つの感情は、決して無駄じゃないんだ。

光しか見ることのできなかった自分が、
「影」を知って、改めて歌える「光」があること。
傷ついたからこそ
「進め」という言葉の重みを知ったこと。

それは、以前の自分なら気づけなかった。

人は変化する。そうして、日々を生きていく。
変わることを怖がってちゃいけない。

だって、本当に大切なものは
決して目に見えなくとも、
自分の心の中に必ず残っているから。

今なら見える景色がここにある。
喜びも、苦しさも歌にするんだ。

観ていこうよ 変わっていく僕らのこの景色
この固い地面に 強く突き立てた旗が
風になびけば 始まるのさ
また新しい歌が

そうして今日も、不安と期待を胸に
スクランブル交差点を歩いている。

不器用に、
ひたすらまっすぐ生きようともがく
あなたへ。

この曲が届きますように!

THE SxPLAY(菅原紗由理)

<THE SxPLAY(菅原紗由理)>

◆紹介曲「MY NEVER ENDING STORY
作詞:THE SxPLAY・佐伯youthK
作曲:THE SxPLAY

◆『BEST OF 3650 DAYS』
2020年4月8日発売
FLCF-4521 ¥2,545円(税抜)

<収録曲>
01.君とこの空の下で
02.キミに贈る歌
03.君がいるから
04.僕はロボットごしの君に恋をする
05.『好き』という言葉
06.素直になれなくて
07.キミが残した世界で
08.Eternal Love
09.いつの日も
10.Forever…
11.For キミに贈る歌
12.Living Rock
13.未完成キャンバス
14.はばたくキミへ
15.MY NEVER ENDING STORY