私はいつでも、言葉を音に乗せてファイリングして部屋に飾ります。

 2020年2月5日に“リーガルリリー”が1stアルバム『bedtime story』をリリースしました。彼女たちは、東京都出身の3人組バンド。今作には、新曲11曲と映画『惡の華』主題歌「ハナヒカリ」の全12曲が収録されております。儚く透明感のある独特な詩世界と切り裂くような鋭いサウンドが響き合う作品になっているので、是非じっくりとご堪能を。

 さて、今日のうたコラムではそんな最新作をリリースしたリーガルリリーのボーカル&ギターであり、全曲の作詞作曲を手掛けている“たかはしほのか”による歌詞エッセイを【前編】【後編】に分けてお届けいたします!今回は【前編】に続く【後編】。綴っていただいたのは、アルバムリード曲「GOLD TRAIN」にまつわる散文と、アルバムに関してのお話。是非、歌詞と併せてご堪能ください。

~スペシャルエッセイ【後編】:「GOLD TRAIN」~

このアルバムの制作をしている時、川沿いに住んでいました。トラス橋の上を通る電車が水面に映ると、わたしも何処かへ行けるようです。満員電車の窓から顔を覗かせたサラリーマンも、水面に映り美しく揺れています。「GOLD TRAIN」は、電車の光に包まれた人々の帰る場所を曲にしました。私はどこへ向かうのだろうか。最終地点はきっと誰にも訪れる死です。

誰の元で死にたいんだろう、一生の無意識の中。
わたしは、そこへ向かいます。


宝石を覗き込んだ君の目は宝石だった

僕を覗き込んだ君の目は僕だった!


このアルバムで1番大切にしたのは、五感です。もし、その一つ一つが考える力を持っていたのなら、それぞれの目先の風景もまた違います。

初めて空の大きさに気づいた足。

月の小ささに泣いた目。

誰かを喜ばせた手。

ノイズに手を伸ばす耳。

私はいつでも、言葉を音に乗せてファイリングして部屋に飾ります。音楽を使って写真を撮るように、またその雰囲気に帰ることができるように。いつまでもこのアルバムが私の隣で元気付けてくれますように。

<たかはしほのか>

◆紹介曲「GOLD TRAIN
作詞:たかはしほのか
作曲:たかはしほのか

◆1st Full Album『bedtime story』
2020年2月5日発売
KSCL-3205 ¥2,727+tax

<収録楽曲>
1. ベッドタウン
2. GOLD TRAIN
3. 1997
4. 林檎の花束
5. キツネの嫁入り
6. そらめカナ
7. ハナヒカリ
8. 猫のギター
9. まわるよ
10. 子守唄のセットリスト
11. ハンシー
12. bedtime story