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  • Sano ibuki
    最後の日の過ごし方
    最後の日の過ごし方

    Sano ibuki

    最後の日の過ごし方

     2024年11月27日に“Sano ibuki”が2部作からなる3rd Full Album『BUBBLE』をリリース。デビューアルバム『STORY TELLER』以来、新たに書き下ろした空想の物語をもとに、2部作(side-DUSK/DAWN)となる本作。「夢」に憧れ、旅を始める二人の少年による、異なる時空で繰り広げられる冒険譚をもとに書き下ろされた作品となり、前篇「BUBBLE side-DUSK」は10月30日に配信リリース。    さて、今日のうたではそんな“Sano ibuki”による歌詞エッセイを2回に渡りお届け!第2弾は、「BUBBLE side-DAWN」収録曲「 きっと ずっと 」にまつわるお話です。この歌を作る動機を得た大事な日。誰に何を言われても、大切な自分の“好き”があるあなたへ。ぜひ歌詞と併せて、このエッセイを受け取ってください。 前書き 日記のように書き留めていた文章に少し手を加えたものになります。思えば、「きっとずっと」という曲を作る動機を得た日だったなと思い、世の中に送り出そうと思います。2024年8月28日「三千世界」のレコーディングの日のことです。 推しが卒業するという体験を初めてした。 卒業の日には配信ライブが20時から行われ、21時からレコーディングだった僕は、電車に揺られながら実感のないままスマホの画面を眺めていた。 配信はまだ始まってもいないのに、大量のコメントが流れていく。まだかなあ。長いなあ。なんて思えるほど不思議と心は平然としていた。   思えば、僕は1人の人間を推すという行為をアニメのキャラクターや作品の中にしかしたことがなかった。 その最後のお別れのやり方はどれも決まって、"辛くて最終回以外は何百回も観たのに最終回だけがどうしても一度しか観れない"といったもので。分断された世界に対して投げかけることなんて無粋で、ただ悲しむしかない。受け入れないぞと拒絶するしかない。そんな終わりだった。   だからこそ物理的に言葉、文字を投げかけることができる卒業というものがこんなに生々しく、現実世界で起きている事象なんだと無理矢理、理解させられる体験が新鮮で、そしてこんなにも実感の湧かないものなのかと驚いた。   独り、薄暗い部屋で菓子パンを齧った時も、上手く眠ることが出来なくなってしまった朝6時のベットの片隅にも、動いているものがないと頭がおかしくなってしまいそうになった作業中にも、かわるがわる新しい人と話しては引き攣った笑顔を拭うように死んだ目で揺られた満員電車のイヤホンの中にも、その側には配信という近くも遠くもない距離に彼女がいた。   画面の向こうで人見知りしながらも人と関わることをやめず、「えへ、えへへ」と下手な相槌を打ちながら、向き合っていた彼女は、人と向き合うことをやめた部分さえ除けば、自分とあまりに重なっていた。   幼少期、まだアニメやゲーム、漫画が好きだということで迫害を受けるようなことがあった頃、僕はクラスメイトから、「そんなもの好きなんて気持ち悪い」と言われたことがあった。 テレビでは、"ゲームのやり過ぎ、アニメの見過ぎは馬鹿になる"や"オタクは罰せられるべきだ"と言わんばかりにコメンテーターが吠えていた。   隣で父親に、「いぶきもこんな風になるんじゃないかって不安やぞ」とため息を吐かれながら、身に覚えもないお説教を受けることもあった。親なりの心配だったのだろう。今では有難いとさえ思える。   でも自分をまだしっかり保てるような歳でもなかったからか、スポンジのように言葉を吸い込んでは、自分とその殺人鬼の何が違うのか悩み、強烈な不安と共にクラスメイトから投げかけられた、“気持ち悪い”という言葉を自分に投げるようになっていた。   自分の基礎にある自己肯定の低さはここから来ているところもあるだろう。いまだに声高々に好きなものを好きだというのが少し怖くなる時がある。 そんな諦めが癖になった頃に見つけたのが彼女だった。   味のしなくなった食事を流し込むために、YouTubeでお供を探していた時、偶然、切り抜きを見つけた。 SAO(ソードアート・オンライン)を好きだとちょっと怯えながら早口に話す彼女にそんな自分を重ねていた。そして「誰かの光になりたい」と直向きに頑張り、確実にそうなっていく姿に、いつのまにか純粋に憧れていた。   20時45分、レコーディングスタジオに着いたが、まだライブは中盤で終わりそうにもなかった。 慌ただしくスタッフの方々が準備をしてくださっている中、イヤホンをつけて画面から目を逸らさず見つめ続けた。ディレクターが怪訝そうにこちらを見つめているが、「後でアーカイブを見ればいい」と妥協してしまったら後悔しそうでやめることはできなかった。   卒業発表を見た時に意外と動揺しなかった。 日常に溶け込んでいたものが消えることの大きさを認識していなかったこともあるのだが、まあそのタイミングはいつか来るよな。と楽観的にお知らせを見ていた。 強いて言えば、出来ることは何もない、ということになんとなくその日のデザートを残してしまうくらいのショックを抱えたくらいだった。   卒業を発表して約一ヶ月の猶予期間、配信を欠かさずに観たわけではない。アーカイブあるし、また明日見ればいいし、曲作らないといけないし、練習あるし、眠いし、なんか気分じゃないし、そんな理由で見れる時に自分のペースで見ていた。少し後悔している。   彼女がちゃんと一つ一つ、最後まで残そうとしてくれているその場に行くことが数少ない出来ることの一つだったようにも思えた。コメントだってほとんどしたことない。でもそれでもいいと言ってくれる彼女に、余計罪悪感が募った。   最後だし、コメントしようかなと悩んで「ありがとう」とだけ送った。高速でコメントが消えていく。 涙ながらに歌う彼女へのエールと感謝の気持ちが飛び交っている。知らない間に涙が溢れていた。 それは寂しさではなく、当たり前の日々をくれた彼女に対して感謝が溢れるように流れたものだった。   ライブが終わった。派手なセットがあった画面だとは思えないほどさっぱりとしているYouTubeは真っ暗な画面と、配信は終了しました。という文字を映していた。   ティッシュで涙を拭っていると、ディレクターに、「何、画面観て泣いてるの。面白いなあ」と冗談を言うように笑われた。 もう21時を少し回っていて、レコーディングのメンバーが到着していたので、挨拶に向かう。初めましての方もいたのでしゃんとしなきゃなあと心のネクタイを結び直す。 準備されていた皆さんに声をかけると朗らかで、挨拶と共にもらえた「曲めちゃくちゃいいですね」という言葉に少し安心する。隣からディレクターが、「さっき、Sanoの推しが卒業しちゃったみたいで、画面眺めて泣いてたんですよ~もうレコーディングだって言うのに困っちゃいます」と場を和まそうと話をし始めた。 するとすぐにドラムを叩いてくださった吉田雄介さんが、「えっもしかしてあの人ですか」と返してくれた。 同じく推しがいるらしく、和やかに好きを語ってくれた吉田さんは次に「大丈夫ですか」という言葉をくれた。 胸にグサッとその言葉が残った。   少し談笑をしてからブースを離れたが、吉田さんの「大丈夫ですか」という何気ない一言が胸に漂い続けていた。それは久しくされていなかった自分の好きを誰かに大事にしてもらえた瞬間のようだった。   永らく、こういう趣味は誰かと分かち合うものではないからと笑われても、馬鹿にされても、気持ち悪がられても仕方ないと蓋をしていた。そうやって怯えて殻にこもってしまっていた。同類を見つけても、趣味が違うからとかそんなことで否定されることを恐れては避けてきたツケだとも思っていた。   でもこうして、「画面越しでも大事を失くすことが大丈夫じゃないことに気づいてくれる人がいる」。そんなことに気づかせてもらえた。きっかけをくれた吉田さんや、今まで見ないふりをしてきた人達もそういう気づきをたくさんくれていた。それに気づけなかったことが悔しくて、あったかくてまた少し泣いた。   推しのおかげで久しぶりに人の優しさに気づけた。最後の最後まで貰いっぱなしだった。   すごく素敵な憧れる人でね、卒業配信も素敵だったんだよ。とディレクターに伝えた。誰かに伝えたかった。 それが僕にできる精一杯だった。   明日になれば、過去のアーカイブを眺めながらまた味のしない飯を流し込むのだろう。僕には他にも推しがいる。他で事足りていってしまうのかもしれない。 でもこの気づきを思い出すたびに大切なものとして引っ張り出すと思う。 沢山の愛に包まれて前へ進んだ彼女のように、誰かの光と成れるように僕も駆け抜けたい。そんなきっとをずっと願っていた。 始まりの曲だけど、夢を諦めた人の歌でもある曲を録りながら思った。そして自分も彼女のように誰かの心に宿り続けるものをと、描き切りたいと、そんなことを思うのだった。 <Sano ibuki> ◆紹介曲「 きっと ずっと 」 作詞:Sano ibuki 作曲:Sano ibuki   ◆3rd Full Album『BUBBLE』 2024年11月27日発売

    2024/11/20

  • Sano ibuki
    無駄と夢は紙一重
    無駄と夢は紙一重

    Sano ibuki

    無駄と夢は紙一重

     2024年11月27日に“Sano ibuki”が2部作からなる3rd Full Album『BUBBLE』をリリース。デビューアルバム『STORY TELLER』以来、新たに書き下ろした空想の物語をもとに、2部作(side-DUSK/DAWN)となる本作。「夢」に憧れ、旅を始める二人の少年による、異なる時空で繰り広げられる冒険譚をもとに書き下ろされた作品となり、前篇「BUBBLE side-DUSK」は10月30日に配信リリースとなります。    さて、今日のうたではそんな“Sano ibuki”による歌詞エッセイを2回に渡りお届け!今回は第1弾です。自身にとっての“春休み”を抜けて、収録曲「 三千世界 」が生まれ、アルバム『BUBBLE』が生まれるまでのもがきあがいた軌跡とは。そして、バイト先の先輩が迎えた結末は…。ぜひ歌詞と併せて、エッセイを受け取ってください。 自動販売機で、毎日ホットコーヒーを買う。 当たりがついているそれが一度も当たったことがないらしい深夜コンビニバイト先の先輩は、バイト終わりの早朝に願掛けのように、癖のように買っていた。   「当たらないですよ、また」って僕がいうといつも 「そうですね。何年、買っても当たらなくて、もう意地みたいなもんなんですよ。当たるとこ見てみたくないですか?」と言った。 「無駄遣いだなあ」と返しながら、面白い人だなと思った。それは自分にはない感情で、やらなければいけないことじゃないなら切り捨ててしまえ、の精神で生きてきた自分にとって衝撃的だったことを覚えている。   そんな先輩と出会ったのは、大学一年生になる直前の春休みのことだった。僕が大人でも子どもでもなかった頃の話。 僕はもう随分と長いこと、この高校三年生から大学一年生になるまでの少し長い“春休み”にいる気がする。 実際には大学へ行き、僕は今働いていて、あの“春休み”とはお別れをしたはずなのだけども、ここ数年まで本気でそう思っていた。 思えば、自分が何者かになってしまう恐怖と、根拠のない自信が本当に根拠がないと自覚してしまう前の、逃亡のようなものだった。   自転車をぶっ飛ばして、何時間もかけてたどり着いた場所には、電車で数分、車で数十分で着くようになった。 俺と上京してビックになろうぜ!!と肩を組んだ少しおバカで可愛らしいあいつは、休日を必死に作っては子どもの世話をする頼り甲斐のあるお父さんという名前をもらった。 口癖のように吐いていたため息は世の中に対する不満より、不甲斐ない自分に対する不満の方が増えた。 初めて一人暮らしした自由なワンルームは、不自由を感じて選択肢からも外れるようになった。 両親に無理を言いながら、自分でも必死になってバイトして買ったギターが世界を変えるほどの音ではなくて、なんだったら修理しないといけないことを知った。   どれも自分にとってかけがえないものだった。 じっくり実感していくように自分から青春が抜けていくようだった。 それはよく考えれば、思春期を通り過ぎかけた頃の自分にとってはすごく自然なことで、無駄なこと、嫌ってやらなければいけないこと以外を切り捨てる方が生きやすかったはずなのに、いつの間にかあの頃の先輩のように当たりがついている自動販売機に毎日通うような日々を過ごしていた。 気がついてしまったからか、すーっと血の気が引いていくように青春時代の残り香が消えていくのを感じた。 これが“春休み”を抜けていくような感覚だった。 なーにやってるんだろう自分は、という虚無のような心はそのうち、脳を蝕んで、筆が進まないどころか、持ち上げることすら難しくなった。   それは自分にとって初めての経験で、真っ暗闇でもない、自分の足跡も形跡も誰かのことすら認識できない真っ白な部屋に閉じ込められたような感覚だった。   自分で自分を諦めることを覚えてしまった。   でもだからこそ気がついてしまった。今だからこそ言える。あの早朝の自販機に通う癖みたいなものを僕は無駄だなと思ったけど、先輩はそんなこと思ってもいなかったのだろう。 きっと夢を描いていた。 当たったら面白いな。とか。 その姿はどこか青春をしているようだったと今だから思える。 僕はまだその青春を迎えにいけてなかった。   一度抜けてしまった春休みを超えた先で、振り返らずに青春をしようともがいた。 自分に残っているものはなんだと向き合い続けて、真っ白な部屋の中、『BUBBLE』というアルバムが産まれ、最初の一曲として「 三千世界 」という曲が産まれた。 残り滓のようなもので必死につけた炎だった。   春が終わった真っ白な部屋の中で、その灯火が誰かに届くように今も祈っている。 自己満足の成れの果てかもしれないそれを世界で一番凄いんだと、胸を張りながら思う。   ある冬の朝、先輩はいつものように自動販売機に向かうと、「今日はなんか違う気がしますよ」と言った。 何言ってんだかなあと思いながら、朝日が眩しくて、上手く上を向くことが出来ず、白い息を吐きながら、バイト中に完成させた“魔法”の歌詞を、改めて新鮮な気持ちでとスマホの画面を見つめていた。 ガタン!という缶の容器がひしゃげてしまいそうな勢いの自販機の音と共に安っぽいルーレットの音が聞こえる。ぴー!ぴー!ぴー!と初めて聞こえる音がした。 上を向くと満面の笑顔で、「さのさん!もう一本選んで良いですよ」と語りかける先輩がいた。   <Sano ibuki> ◆紹介曲「 三千世界 」 作詞:Sano ibuki 作曲:Sano ibuki ◆3rd Full Album『BUBBLE』 2024年11月27日発売 DISC:1「BUBBLE side-DUSK」(2024.10.30配信) 01. bubble 02. 三千世界 03. twilight  04. 快晴浪漫 05. 天国病 06. かりそめ / Sano ibuki +なるみや 07. eclipse 08. クロニクル 09. プラチナ    DISC:2「BUBBLE side-DAWN」(2024.11.27配信) 01. NULL 02. ZERO 03. ミラーボール  04. 致死量のブルー 05. きっと ずっと 06. 久遠  07. 革命を覚えた日 08. 罰点万歳 09. 終夜 10. GOOD LUCK 11. YUIGON

    2024/10/29

  • Sano ibuki
    思い出はいつだって自分本位
    思い出はいつだって自分本位

    Sano ibuki

    思い出はいつだって自分本位

     2024年7月10日に“Sano ibuki”が今年第3弾シングルとなる新曲「快晴浪漫」をリリースしました。アレンジャーに100回嘔吐を迎えて作られた歌詞に綴られているのは、切なくもきらめく片思いの心情。また、リリックビデオでは“最後のラブレター”になぞらえた楽曲のジャケットビジュアルと連動して、便箋にSano直筆の歌詞が書かれております。    今日のうたではそんな“Sano ibuki”による歌詞エッセイをお届け!綴っていただいたのは、新曲「 快晴浪漫 」にも通ずるお話です。自身のラブソングは実体験なのか、そうでないのか。よく聞かれるその問いの答えを改めて考えてみると…。ぜひ歌詞と併せてエッセイをお楽しみください。 恋愛曲を書くと、これは実体験ですか? と言われることがある。そんなときいつも迷ってしまうのです。   曲を書く時には自分が体験したことが色濃く出ているので、そうといえばそうですし、そのままあったことを描いてるわけじゃなく、色んな自分の体験をコラージュして物語を創り上げているので、そうじゃないといえばそうじゃないです。 これはどっちと答えるのがいいのでしょうか。   あ、それでいうならば、明確に実体験をそのまま書かないようにしようと決めている理由があります。   それは例えば、もう大昔に目の前から消え去った、かつて愛していた人を思い出して、綴った時、これが本当に実体験だったのかすら、自分には分からなくなってしまうと思うからです。   創り上げてしまっただけのあなただったり、君だったりはどうしたって、あった事実だけが貼られて、僕の脳みその海を泳いでは、僕の知り得る感情だけで動いている。いや、“今の”僕が知り得る感情なだけで、過去の自分のことすら全部覚えているわけでもない。そうやって創り上げた二人は、決して本物になり得ることなどない。そうだった気がする残像が作り上げられていくだけです。 そんな苦しくて、辛いことないじゃないですか。 大切だったものは、曖昧になっていくと知りながらもやっぱり自覚はしたくないものです。   まあそれでも少しだけ引っ張りだして、自覚しては傷ついて、得られた世界を曲に落とし込んでいく作業をコラージュしているわけですから、同じようなことなのかもしれませんね。   結局、悔しいですが、知らぬ間に自分を形成している大切だった人達は曲の中に溶け込んでいるのでしょう。 そう思うと、少しくらい、聴いては思い馳せろなんて、やっぱり思ってしまうのです。 おんなじように苦しんで、辛くなってしまえばなんてやっぱり思ってしまうのです。 勝手に知らぬところで泣いて、勝手に解決して、勝手に健やかに幸せになってくれと思うのです。   こんなこと思うってことは実体験なんですかね。 僕の中で、去った人に対して幸せになってほしいなんて思ったこと、一度もないんですけどね。   ところで最初にしたデートってどこでしたか? 思い出した彼や彼女は誰ですか? それは本当に実体験ですか?   <Sano ibuki> ◆紹介曲「 快晴浪漫 」 作詞:Sano ibuki 作曲:Sano ibuki 

    2024/07/25

  • Sano ibuki
    涙は必需品じゃないからこそ美しい
    涙は必需品じゃないからこそ美しい

    Sano ibuki

    涙は必需品じゃないからこそ美しい

     2024年4月3日に“Sano ibuki”が新曲「ミラーボール」をリリースしました。同曲は、人気を博しシリーズ化しているドラマ『ソロ活女子 のススメ』シーズン4のエンディングテーマ。Sanoが同ドラマのテーマ曲を担当するのは、2021年放送のシーズン1のオープニングテーマを手掛けて以来約3年ぶり。シーズン4では、初の海外ソロ活として台湾を訪れるとのこと。ドラマに彩りを添える新曲をお楽しみに!    さて、今日のうたではそんな“Sano ibuki”による歌詞エッセイをお届け! 綴っていただいたのは、新曲「 ミラーボール 」にも通ずるお話です。思い出すたびに、ペンを握り、曲を書く、とある記憶。そして今、Sano ibukiが思い描く自分の音楽の在り方とは…。 保育園の先生が泣いている姿を今も思い出すことがある。   悲しかったからなのか、悔しかったからなのか、それとも僕がおバカさん過ぎて困り果ててしまったのかは覚えていないのだけど、辛い表情の先生の涙を拭ってあげたい気持ちとなんで泣いているのか分からない困惑と、冷たく、人っこ一人いない夕暮れ、保育室前の下駄箱を何故か覚えていて、良く見る夢のように思い出しては、その度にやっぱりちょっとだけ胸が痛んで、ちょっとだけ衝撃的なものを見た興奮のようなものを覚えるのだ。   きっと物心がついて初めて見た、他人の"大人"が泣いた瞬間で、そして明らかに自分のことを想っての涙だった。辛そうな人がいて、助けたくて、一緒に悩みを解決したくて、そんな想いの真ん中には自分のことを大切に想う人を見つけたという嬉しさが溢れ出ていた。   僕のために泣いてくれる人がいるんだ。と、この人のことを大切にしなきゃ。と、心に決めたからこそ未だに脳裏に焼き付いているのだろう。   大人になって泣くことを恥ずかしいと言う人がいるが、僕はそうは思わない。自分を守るために大切な機能だ。 寧ろ、耐え忍び、飛び出すことなく忘れ去られてしまった涙を無視して生きていくのはあまりに寂しい。   大人である先生の涙に愛情を感じた自分がいるように、言葉という感情の抜け殻では伝えられない何かを届けることができる手段だ。 まあそんなことを言ってもそれが簡単に出来たら苦労はしない。泣きたくなっても泣けない時も、泣きたくても泣ける相手がいない時もある。   そんなとき、少しだけ心の窓にカーテンを掛けて、誰にも見られず泣ける場所に僕はなりたい。 夕暮れ時、届かなかった先生の頬に今は届くように、拭える音楽でありたいなと、弱くいられる場所でありたいと思うのだ。   そうしたらいつか、記憶の片隅にもあの日のことを覚えていないであろう先生が、もし名前だけでも覚えていたのなら。誇りに思ってもらえる日が来るのかもしれない。僕が取り出せるハンカチはきっとそれくらいで、あの日何も出来なかった自分にできることなのだろう。   だからこそ思い出す度にペンを握り、曲を書く。 きっと今日も曲を書くのだろう。   <Sano ibuki> ◆紹介曲「 ミラーボール 」 作詞:Sano ibuki 作曲:Sano ibuki 

    2024/04/05

  • Sano ibuki
    視界は不良が、心の良好。
    視界は不良が、心の良好。

    Sano ibuki

    視界は不良が、心の良好。

     2023年10月18日に“ Sano ibuki ”が3rd Mini Album『革命を覚えた日』をリリース! 昨秋リリースしたMini Album『ZERO』以来、約1年ぶりとなる新作。3月「眠れない夜に」、6月「下戸苦情」、そして8月に発表した「少年讃歌」の新曲3曲をはじめ、MBSほかドラマシャワー『ワンルームエンジェル』エンディング主題歌として書き下ろした「久遠」を含む全6曲を収録したアルバムとなっております。    さて、今日のうたコラムではそんな“ Sano ibuki ”による歌詞エッセイを3週連続でお届け! 今回が最終回です。視力が落ちて朧げな世界。それでも Sano ibukiが眼鏡をとって世界を見つめるその理由は…。ぜひ今作と併せて、エッセイをお楽しみください。 眼鏡をとって、世界を見つめている。   それは僕にとっては自然なことで、朧げな世界が当たり前だ。かすんでいて、水彩絵の具が滲んだような、その世界はあまりにも綺麗に見える時があります。 汚いものなんて、一つもないような、気持ちになる時があります。でもそれって汚いものに蓋をしているだけで、何も見ていないだけですよね? と言われればその通りで、ぐうの音も出ないのです。 なのに何故、それを続けるのか。 これが僕の逃避行のやり方なんだと気づいたのはここ最近のことでした。   視力が落ちたのは小学四年生の頃でした。 僕は普段からテレビゲームに齧り付いて、図書館で本の虫となって、薄暗い部屋で夜な夜な誰にも見せない物語を作っていたので、視力が落ちるのは時間の問題だったと思います。何より、クラスメイトがこれみよがしに眼鏡をかけている姿を羨ましくも思っていたので、初めて黒板が霞んで見えなくなった時、これで遂に眼鏡を買ってもらえる、とうきうきしたものでした。 今思えば、なんて馬鹿だったのかと頭を抱えてしまいます。   一度視力が落ちてしまえば、後は早いものでたった一年で眼鏡をかけないと日常生活が難しいところにまでなっていました。この頃、僕はクラスメイトから除け者にされていました。詳しくは書きませんが、意地悪もされていましたから学校という社会に対して心の底から嫌悪感と“??”感を覚えていました。   だからといって、誰かに助けを求めることはしなかった。それは自分が惨めに感じるとか、恥ずかしいとか、認めたくないとかそんな感じだったと思いますが、とにかく自分が変われば、世界が変わるんじゃないかと信じて止まなかった世界が、実は何も変わることなんてないし、汚れていて、誰かの揚げ足ばかりとる世界なんだと知ってしまったのです。   諦めて、期待しなくなれば、存外一人でいることは簡単なことでした。かといって逃げる場所がなければ、心を保てませんでしたから、そんな自分が逃げたのは視力が落ちた朧げな世界だったのです。   人と話すことも怖くなっていたのに、目の前の肌色の何かが揺れているだけなら会話もできたし、なにより塵やゴミに気づけない僕の視界はあまりにも美しいものしか映さないようになっていました。 そんな世界に慣れきってしまって、そのうち視界が良好な世界が何処かで怖いと感じるようになりました。   コンタクトレンズを付けて、眼鏡を付けて、世界を眺めている時間より、自分一人以外、人間なんて存在していないような世界の方が安心出来るようになっていたのです。これではいけないな…と、外の世界に触れたい。と勇気を振り出した瞬間が、音楽を作り始めた瞬間でした。   視界で繋がることのできなかった誰かとの世界と音で繋がりたい。そんなことを思い、書き殴っていました。   最近、視力がさらに落ち、今では朧げどころか色でしか判断出来なくなってしまって、転ぶことも増えましたが、未だに良好な視界でいる時間より、ぼやけた世界にいることの方が多いです。でもちゃんと、窓にこべりついた水滴の汚れからも、手荒れがひどい手からも、誰かが置いていった缶コーヒーのゴミからも逃げずに見つめることが出来るのです。 現実逃避の先で、現実を受け止めることができるきっかけを貰えることもあると思うのです。 だから僕は逃げることも、正しい姿で美しいと今は思えるのです。逃げてもいいよ。とよく歌うのはそういうことなのです。   <Sano ibuki>   ◆3rd Mini Album『革命を覚えた日』 2023年10月18日発売 <収録曲> 01. 少年讃歌  02. 罰点万歳  03. 下戸苦情  04. menthol  05. 眠れない夜に  06. 久遠 <bounus track>※CDのみ 07. エイトビート

    2023/10/30

  • Sano ibuki
    ちくり
    ちくり

    Sano ibuki

    ちくり

     2023年10月18日に“ Sano ibuki ”が3rd Mini Album『革命を覚えた日』をリリース! 昨秋リリースしたMini Album『ZERO』以来、約1年ぶりとなる新作。3月「眠れない夜に」、6月「下戸苦情」、そして8月に発表した「少年讃歌」の新曲3曲をはじめ、MBSほかドラマシャワー『ワンルームエンジェル』エンディング主題歌として書き下ろした「久遠」を含む全6曲を収録したアルバムとなっております。    さて、今日のうたコラムではそんな“ Sano ibuki ”による歌詞エッセイを3週連続でお届け! 今回は第2弾です。みなさんは胸が“ちくり”と痛む、という経験をしたことはありますか? なぜ私たちは“ちくり”を感じるのか。“ちくり”とは一体どんなものなのか…。今作と併せて、エッセイをお楽しみください。 胸がちくりと痛む。という経験をしたことがある人はどれくらいいるのだろう。僕はしょっちゅうある。   がんばって育てた紫陽花が枯れてしまった日に。 地元の駅で、母校の制服を着た学生に自分を重ねた時に。 ライブの後のひとりぼっちの帰り道に。 ずっと隠していた嘘がバレた時に。 大切だった人が吸っていた、たばこの匂いを嗅いだ時に。 初恋の人とよく似た姿の人を見かけた時に。   これら、情動反応という現象らしいです。   全身に血液と酸素を送って、逃げるにせよ戦うにせよ、生き抜く行動を取るための手段で、特に脳と筋肉の血流が増すらしいです。感覚を研ぎ澄まし、生存するための行動を取る態勢に、全身が瞬時にセッティングされ、血液を流す装置の心臓の辺りが痛むみたいです。   …なんだか分かるのだけれども、分からないような、要領を得てないような、そんな気になる説明文ですよね。“ちくり”ってこんな生物として正しい反応なのかなって少し違和感も抱いてしまいます。   そもそもこの“ちくり”大きく3種類存在している気がしていて。一つが出会えてよかったと思うと同時に失いたくないと切に願ってしまった時。もう一つがもう手に入らない大切だったものを振り返った時。そして悪だとわかっていることをしてしまった時。大きくこの三つな気がします。   あ、失った瞬間はちくりではなく、ずきずきとし、見つけた瞬間はばくばくだとしたのでこれらは省いてます。 あくまで“ちくり”だとした時に、どれも僕にとっては生き抜くための事象ではなかったと思うのです。   じゃあ無くてもいいのかというと、そうでもないと言いたい。   生き抜くためなんてたいそうなもんではなく、感情の無駄な部分の煌めいているもので、それは汚くて、酷い部分だとしても人間らしいと言える瞬間でもあって。 僕らは要らないけど、そういう感情の機微に生かされていて、心が揺れて、傷ついて、満たされている。 そういうことに気付ける可能性として、“ちくり”と痛むことがあるんじゃないかと思うのです。   そういう愛すべき無駄の一つな気がするのです。   ちくりとする匂い、音、感触、景色、味。どれも大切な自分を形成している一つで、そして自分が出来ているかどうかは分からないけれど、無駄さえ愛せた時、無駄に惹かれる自分のことも愛せる気がするのです。 蓄積した思い出と共に“ちくり”が肯定してくれると思うと、その事象も愛したいのです。   長くなりましたね。まあ何が言いたいか纏めると、“ちくり”がちゃんとある人生でいたいのです。   <Sano ibuki>   ◆3rd Mini Album『革命を覚えた日』 2023年10月18日発売 <収録曲> 01. 少年讃歌  02. 罰点万歳  03. 下戸苦情  04. menthol  05. 眠れない夜に  06. 久遠 <bounus track>※CDのみ 07. エイトビート

    2023/10/23

  • Sano ibuki
    一駅、二駅分の永遠
    一駅、二駅分の永遠

    Sano ibuki

    一駅、二駅分の永遠

     2023年10月18日に“ Sano ibuki ”が3rd Mini Album『革命を覚えた日』をリリース! 昨秋リリースしたMini Album『ZERO』以来、約1年ぶりとなる新作。3月「眠れない夜に」、6月「下戸苦情」、そして8月に発表した「少年讃歌」の新曲3曲をはじめ、MBSほかドラマシャワー『ワンルームエンジェル』エンディング主題歌として書き下ろした「久遠」を含む全6曲を収録したアルバムとなっております。    さて、今日のうたコラムではそんな“ Sano ibuki ”による歌詞エッセイを3週連続でお届け! 今回は第1弾です。大人になればなるほど、増えていく“知っている”こと。果たしてそれは幸せなのか。無垢で無知だったあの頃は罪なのか…。今作と併せて、エッセイをお楽しみください。 お日様の香りを目一杯に吸い込んだ。   パリパリに乾いた、柔らかいとは程遠い洗濯物から、やさしくて、やわらかい香りがふわっと香った。この匂いのために週一、布団を洗濯してると言ってもいい。   そのお日様の香りの正体を知ったのはいつ頃だったろうか。知ったというより読み漁っていた雑学本の中で見つけたといった方が正しいのだろうけど、そんなことはどうでもいい。今、それでも好きだと言えるけれど、純粋にお日様には香りが存在していて、日向を優しいものだと思えていた頃の方が素直に素敵に生きていた気がする。   無知は罪である。というソクラテスの言葉がある。 無知な人間は無知を取り繕うと無責任な発言を行い、その結果に納得できないと隠蔽しようとして嘘を重ね、さらに悪い結果を導き出し、罪を産むという意の、ぐうの音も出ないほど、その通りの言葉がある。   でも僕は知りすぎるのも罪なのではないかと思ってしまうのだ。 自転車が移動手段の主な方法で、隣町にいくだけで大冒険だった少年時代のあの頃。無垢で無知だったあの頃は果たして罪だったのだろうか。それは子供だから。とか幼い子を舐めた思想で終わらせてはいけない。大人だって無垢でいいはずだった。それでも無垢ではいられず、汚れて、傷ついて、無知であることを咎められ、恥じてしまうのだ。そんな世界が素敵だとは、繋げたいとはやっぱり思えないのだ。そしてそれなのにまだ期待してしまう自分が何より、惨めに思えて仕方ないのだ。   無知を恥じることが罪なのであって、無知であることは罪ではないのではないだろうか。取り繕うことを、無責任な言葉の吐き方を、隠蔽のやり方を、嘘のつき方を知ってしまうことの方がよっぽど罪で、無垢でいられなかった罰なのではないのか。 そんなことを思ってしまうほど、この世は知っても得することが少ないような気がしてしまう。知ってしまった罰を受け続ける僕には世界の広さを知らなかった頃の方が幸せだったという気がしてしまうのだ。   最寄りから一駅、二駅分くらいの世界が丁度よかった。そんなことを思いながら、今日も洗濯物に残った皮脂や洗剤などの残留物が太陽光の紫外線に当たることで起こる化学反応により生成される、アルデヒドやアルコール、脂肪酸などの香りを嗅ぎながら眠るのだった。   < Sano ibuki >   ◆3rd Mini Album『革命を覚えた日』 2023年10月18日発売 <収録曲> 01. 少年讃歌  02. 罰点万歳  03. 下戸苦情  04. menthol  05. 眠れない夜に  06. 久遠 <bounus track>※CDのみ 07. エイトビート

    2023/10/16

  • Sano ibuki
    好きだけじゃなく、嫌いの反対も無関心。
    好きだけじゃなく、嫌いの反対も無関心。

    Sano ibuki

    好きだけじゃなく、嫌いの反対も無関心。

     2021年7月7日に“Sano ibuki”がニューアルバム『BREATH』をリリースしました。今作には、ドラマ『ソロ活女子のススメ』のオープニングテーマ「Genius」や映画『滑走路』の主題歌「紙飛行機」、映画『ぼくらの7日間戦争』の主題歌「スピリット」「おまじない」を含む12曲が収録。彩り豊かな“BREATH”の世界をお楽しみください…!    さて、今日のうたコラムでは最新作を放った“Sano ibuki”による歌詞エッセイを2ヶ月連続でお届け。今回は第2弾です。みなさんは誰かのことを「知りたい」と思ったとき、最初にどんな質問を投げかけますか? 「どんな〇〇が好きですか?」と聞くことが多くはありませんか? でも実は“好き”よりも相手の本質に迫ることができるのは“嫌い”なのかもしれない。そんなお話を綴っていただきました…!是非、今作と併せてお楽しみください。 ~歌詞エッセイ第2弾~ おはようございます、こんにちは、こんばんは。Sano ibukiです。歌ネットさんのコラムに登場させて頂くのは二度目で、一度目は「音楽について」という主題で自分なりにエッセイ風な文を書かせていただきました。その際、ろくに自己紹介もしないままだったので今回しようと思います。 さて、早速していこうと思うのですが、何から話しましょうか。血液型、誕生日、どれが良いでしょうね。“好きな”食べ物とかどうでしょうか。そういえば、はじめましての際に使われる質問として、「好きな~は何?」という質問、実にポピュラーですが、あまり“人を知るため”“人に知ってもらうため”の手段として効果的では無い気がします。 そもそも“好き”って言葉、広すぎると思いませんか? “少し”といった副詞、喩えを使って表すことはありますが、それにしたって海くらい広大ですし、深いです。 例えば、好きな音楽はなに? という質問。そもそもその人が音楽をどれくらい好きなのか理解していないといけない質問じゃないかなと思うのです。音楽を愛してるぜ!って言っても、恋人や家族、大切なもの、自分自身よりも愛してるか? と聞かれれば、ほとんどの人がそうではない、と答えるでしょう。同じように映画、食べ物、動物に比べたらそうでもないかな、という場合は多々あるわけです。 そうなれば、きっとその人と音楽の話をしたところで広がらないでしょう。早々に撤退して切り替えた方が良い。それほど“好き”には幅があり、その尺度を知らないといけないことを忘れがちです。好きなものはなに? の質問は簡単そうで、実は深くまで相手のことを理解していないと膨らまない難しい質問なのです。 でも話はしたい。どうすればいいかわからない。その人のことを詳しく知りたい!と思うのであれば、寧ろ嫌いなものを聞いてみた方が効果的な気がします。僕は苦手な文化ですが、往々にして好きな人の事を話すよりも愚痴を話す方が盛り上がります。屋上で好きな人を叫ぶ番組がありましたが、教室で嫌いな人の陰口をする。という行為のアンチテーゼに見えるほど、“嫌い”は学校文化や社会で盛り上がり、尚且つ、人同士の距離が近付く理由が出てきやすい話の一つでしょう。 僕にも経験がありますが、例えば、“好き”で触れた音楽について。昔、音楽に興味のないほぼ初対面の方に苦手な音楽を聞いてみたら「昔、コンビニでバイトしていた頃、ずっと流れていたBGMでノイローゼになりかけて、それからちょっとその曲が苦手なんですよね」とすっと答えが出てきたことがありました。 音楽以外に、バイト遍歴、それも店内BGMがノイローゼになるほど長い期間コンビニ勤務し、そしてそこまで長らく勤めたバイト先を辞めている。そんな膨大な情報を一発の質問で引き出せたのです。悲しいかな、それほど負の質問には人が食いつきやすく、答えやすいのです。 故に逆手に取るのです。“嫌い”を聞くことが大切ではありません。寧ろ、“嫌い”に潜んでいる、その人が大切にしている物、者、事を見つけることが重要です。 好きな理由など無いことがほとんどです。「だって好きなんだもん。仕方ないじゃん!」その通り。ただ、嫌いなものには思い出が付き纏っていることがほとんどです。恋人を好きになった瞬間は意外と覚えてなくても、嫌いになった瞬間は覚えているものでしょう。その瞬間を知りたいと思うのです。そこを知ることが近づくことの大きな一歩になるとも思うのです。 わざわざ“嫌い”を聞く必要はないかもしれません。けど、“嫌い”にこそ主観や、直感、時間が詰まっている気がします。そして、“好き”を共有するよりも“嫌い”に共感できる人との方が、友人でも恋人でも仕事仲間であってもより深い付き合いになることが多いです。 愛するなら勇気を持って、人と接する。これは僕のモットーの一つです。“嫌い”に踏み込むことも人と関わる上で大切で、なによりも重要なことなのかもしれません。偉そうに語っておいて、僕には友達が少ないです。きっとそれは“嫌い”を言える、聞ける勇気がないからでしょう。気をつけないといけませんね。 あれ、結局、ほとんど自分の紹介をしていないですね。最後にしておきましょう。 好きな食べ物はさつまいもです。 好きなことは寝ることです。休日はずっと寝てます。 あと本も好きで、アニメとゲームも好きです。 沢山好きなものがあります。 Sano ibukiです。宜しくお願いします。 嫌いな場所は人の多い所です。人で溢れた場所でどんなに好きなもの、例えばさつまいもとか出されても美味しく食べられないですね。というかそもそも食にそんなに興味ないのかも知れません。ご飯は忘れてしまう事がほとんどで、知らぬ間に一週間、断食してたことがあったくらいです。Sano ibukiです。宜しくお願いします。 どちらの僕の話の続きを聞きたいですか? <Sano ibuki> ◆2ndフル・アルバム『BREATH』 初回仕様 UPCH-29396 ¥3,300(税込) 通常仕様 UPCH-20586 ¥3,300(税込) <収録曲> 1. Genius 2. ムーンレイカー 3. ジャイアントキリング 4. pinky swear 5. lavender 6. あのね 7. おまじない 8. 伽藍堂 9. スピリット(BREATH ver.) 10. emerald city(BREATH ver.) 11. 紙飛行機 12. マルボロ

    2021/09/21

  • Sano ibuki
    宿題と時間と恋心は忘れるためにある。
    宿題と時間と恋心は忘れるためにある。

    Sano ibuki

    宿題と時間と恋心は忘れるためにある。

     2021年7月7日に“Sano ibuki”がニューアルバム『BREATH』をリリースしました。今作には、ドラマ『ソロ活女子のススメ』のオープニングテーマ「Genius」や映画『滑走路』の主題歌「紙飛行機」、映画『ぼくらの7日間戦争』の主題歌「スピリット」「おまじない」を含む12曲が収録。彩り豊かな“BREATH”の世界をお楽しみください…!  さて、今日のうたコラムではそんな最新作を放った“Sano ibuki”による歌詞エッセイを2ヶ月連続でお届け。今回は第1弾です。とある日、混雑した病院へ行ったことがきっかけで改めて考えた、苦手なもの、一種のアレルギー。そして、印象的だった女医さんの言葉。どこか今のSano ibukiの音楽に通じているかもしれないお話を綴ってくださいました。 ~歌詞エッセイ第1弾~ 病院に行くときはスマホはマナーモードにしておくべきだ。 久しぶりに病院に行った。病院といっても歯医者なのだが。夏休みの子供達と親御さんでごった返しており、地方イオンのフードコート並に音で溢れていた。私は人の多い場所が得意ではない。苦手だ。 もう今日は諦めて帰ってしまおうかとも思ったが、そんな私を救うかのように、「予約をしていたサノさんですね。診察室Aへお願いします」と受付の方に奥に通された。半個室のようになっている診察室は待合室よりも少しだけ冷房が効いていた。そのせいか、ひやっとしており、カーディガン持ってくればよかったな…なんて事を思っていると、「椅子にどうぞ。あっ、荷物、そちらのカゴに入れてくださいね」と同い年くらいであろうか、今時の紺色インナーカラーをちらっと覗かせた女医さんに勧められた。手早く荷物をカゴに置き、椅子に座った私は、マスク越しでも分かる笑顔を向けた女医さんのおでこを見つめながら、診察室にも轟く、待合室の子供と親御さん達の声が鳴り止むことを願っていた。 音楽を聴くと辛い瞬間がある。いやもう少し語弊のない言い方をするならば、人の声が極端に苦手になる時がある。一般的な歌声のある音楽が総じて、苦手になるのだから、音楽を聴くと辛い時期があると言っても過言ではないだろう。作っている本人がこんな事を書くのはどうなのか? とは自分自身でも思うが、好きだが苦しくもなるのだ。仕方がない。 この症状を私は突発性声アレルギーと呼んでいる。このアレルギー、ある日突然ではなくジワジワと体感していくもので、気づいた時には発症していた。特に酷かった学生時代、友人に相談した際、人酔いじゃない? と一掃されてからは、治るまで待つ。という荒療治のみでどうにかしてきた。 しかし全く音楽を聴いていなかったわけではない。寧ろ、人よりも聴くことは多かったと思う。そもそも声が苦手になるということは、音楽だけではない。声で溢れている日常の世界は、船の上のようなもので、船酔いが止まらなかった。当時、今ではお世話になりっぱなしのノイズキャンセリング付きイヤホンを買うお金もなく、それに加え、クラスに居場所がなかった私にとって、音楽は一つの城壁であり、「敢えて一人でいるんです」と主張するための技でもあったため、酔うからと簡単に手放すわけにはいかなかった。 イヤホンを付けているだけでいいだろう。という声が上がりそうだが、それではいけなかった。万が一「何、聴いてるの?」とまだ見ぬ友人、恋人に、片耳からイヤホンを取り上げられた時、何も音が鳴ってないことがバレでもしたら、貼られるレッテルは口にもしたくないものであろうことは要因に想像できたからだ。 そんな好きなものに苦しめられるというジレンマを抱えた自分を支えてくれていた音こそが、サウンドトラックだ。ゲームやアニメ、映画の中で流れている音楽であり、台詞がある事を前提として作られているため、基本的には人の声が入っておらず、声が苦手な私でも聴けるものは多く、尚且つ思春期特有の自分だけが知っているという優越感にも浸れた。 周りの音をかき消すように爆音で聴きながら、本を読む時間はアレルギーの事も、一人であるという事も忘れさせてくれた。問題の本質から逃げていると言われれば、その通りだったが、逃げること、忘れることで私は私を救っていた。 「うーん」とも「むーん」ともつかない女医さんの唸り声で我に返った。しまった。雑談にしては重過ぎた。「人が多い場所って平気ですか?」なんていう質問をされたせいで、律義に声アレルギーのことを答えてしまった。早い者勝ちということわざがある。何か言われる前に冗句の一つでも披露しなければ。 「まあ、僕はちょっとネガティブな思考なので、もう少しこう、変わらないと駄目ですね」 うーん、と女医さんが唸りながら言った。「私、やっぱりこういう仕事なんで、歯が汚い人って苦手だなって思うんですよ。でもそれ以上に私が治してあげたい!って思っちゃうんですよね。だからどんどん惹かれていくことがあるんですよ。サノさんも世の中の音を自分好みに変えてやる!って思えば、良いんじゃないですかね?」 正直、好きなものも苦手になってしまうというジレンマを話した事への返答としては、的外れも良いところだったが、自分が音楽を作っている真理を当てられたような気持ちになった。 私みたく好きなものにすら拒まれ、苦しくなってしまう。逃げたい。忘れたい。と思っている人のそばにいられる音を作りたい。そんな一心で音楽を作ってきた。でもそれは当たり前のように、自分自身のためでもあった。生きるための逃げ場を作る。それが誰かのためにもなっていたら嬉しい。それこそが私の根底になっていた。 ユニットに座らされ、大きすぎるライトに照らされながら、「じゃあ、大きく口開けてくださーい」と語りかける女医さんの声、コポコポと鳴り続ける機械音、高らかに鳴り響く誰かの懐かしいゲームのバッタもんみたいな着信音、キュイーンという音と共に、響く、少年達の叫びにも近い泣き声、それを叱咤する母親の声、全て心地がいいと思えた。それは新鮮で、嬉しくもあり、心が温かくなった。 懐かしい。この着信音、ロックマンじゃん。あの中にも自分と同じようなものに惹かれ、好きになって、同じように、傷ついて、苦しんで、逃げ続けた人がいるのかもしれない。そう思うと一人じゃないのかもしれないな。寂しく思うことはないな。ありがとう、女医さん。アレルギーも克服できそうだ。 と柄にもなく、ポジティブな事を考えていた私に「サノさん。スマホ、鳴ってますよ。ゲームの音楽ですかね? こういうのって良い意味で、オタクって感じで良いですね」とにこやかに女医さんがロックマンのテーマを響かせるスマートフォンを渡してきた。 「やっぱり、おれは独りだ。それでいい」 これほど強く心に思ったのは久しぶりだった。終業式に「サノくんって下の名前なんだっけ?」と言われた時と同じくらいの強さだった。 あと“良い意味で”を枕詞にすれば、なんでもフォロー出来ると思っている人は、本を読んだ方がいい。もっと言葉が溢れている。とも思った。これは間違いない。彼女に勧める本を見せるために、スマホを受け取った。 おまけにもう一つ、私は忘れていないぞ。人の渾身の駄洒落を無視するな。 <Sano ibuki> ◆2ndフル・アルバム『BREATH』 初回仕様 UPCH-29396 ¥3,300(税込) 通常仕様 UPCH-20586 ¥3,300(税込) <収録曲> 1. Genius 2. ムーンレイカー 3. ジャイアントキリング 4. pinky swear 5. lavender 6. あのね 7. おまじない 8. 伽藍堂 9. スピリット(BREATH ver.) 10. emerald city(BREATH ver.) 11. 紙飛行機 12. マルボロ

    2021/08/23

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