苦い煙

Kucci
苦い煙
2025年5月1日に“Kucci”が『ときめきEP』をリリース! タイトル曲「ときめき」は、彼女のメジャーデビュー曲であり、映画『女神降臨』主題歌です。マンガ版『女神降臨』を愛読していたというKucciは、改めて日本版映画の脚本を読み、主人公・麗奈の心情に寄り添う楽曲を書き下ろしました。 さて、今日のうたではそんな“Kucci”による歌詞エッセイを3週連続でお届け。最終回は、収録曲「苦い煙」にまつわるお話です。この曲の制作のきっかけとなった実話とは。そして、作曲に対する概念が変わったとある発見とは…。また、今回も音声版がございます。本人の朗読でもエッセイをお楽しみください。 こんにちは、Kucciです! 第3回目は本日5月1日に配信リリースされたばかりの『ときめきEP』に収録されている「苦い煙」についてお話ししたいと思います。 この曲は実話というか、実話を少し別の視点から見て作った曲というのと、曲作りの概念が変わった曲でもあるんです。 実話というのは、高校時代の友達3人と数ヶ月ぶりに会って、いつもと変わらず他愛もない話をしていたんです。 一人の子が「ちょっと行ってきていい?」っていうから、私は「どこに?」って聞いた。そしたら「吸いに…」って。 「…わお!どうぞ!」って私は咄嗟に返答したけど、彼女が外でタバコを吸ってるのを見て、そっち側に行っちゃったんだってなんか勝手に悲しくなっちゃって。 そんなことをお家にまで持ち帰ってしまって。 これを曲にしたい、でもシュチュエーションがちょっとわかりにくい。 だから、「ずっと片想いしていた人に久しぶりに再会したら、新しい恋人の影響で大人になっていた」っていう設定にして書いてみた曲なんです。 “あなたは変わった 変わった 変わってしまった 咄嗟に僕は笑った 笑うことが僕を保った” 平然を装うことで精一杯。本人に言える立場ではないというこのもどかしさ。 そんなやるせない気持ちが詰まった1曲です。 あの時はモヤモヤして仕方なかったけど、こんなにも素敵な曲になったのでお友達ありがとう(笑)。 それから、作曲に対しての概念が少し変わったというのは、 私は曲を作る時、いつも物事について、「きっとこれってこうだよな」とか「こういう見方をしたら前を向けるかな」とか、結論づけるように考えていたけど。 「あれ、このモヤモヤだけを閉じ込めるのもいいのか、ありじゃん」みたいに新しい気づきがありました。 何かをきっかけに凹んだり落ち込んだりして、すぐに前を向けなくて焦る時もあるけど、「私は今焦っているんだ、辛いんだ」ということを叫んでもいいのか、なんてことをこの曲を作ってる時に学んじゃいました。 そんな思い出と発見が詰まっている「苦い煙」沢山聴いてくれると嬉しいです!! そして、3回もコラムを書かせてもらえて、配信リリース当日に掲載してもらえて、とっても嬉しいです。 初めてのエッセイで何を書こうかすごく迷ったし上手く書けていないけど、私のことを少しでも知ってもらいたいという想いで書きました。 最後まで読んでくれてありがとう。 <Kucci> ◆『ときめきEP』 2025年5月1日発売