ずるくてもいい、代わりでもいい、君の悲しみの一番近くにいたい。

平井堅
ずるくてもいい、代わりでもいい、君の悲しみの一番近くにいたい。
2019年12月4日に“平井堅”がニューシングル「#302」をリリースしました。タイトル曲は、福士蒼汰×菜々緒の金曜ドラマ『4分間のマリーゴールド』主題歌として書き下ろされたラブソングです。リリース前から歌詞人気が高く、歌詞先行公開時に【注目度ランキング】で首位も記録。今日のうたコラムではそんな話題の新曲をご紹介いたします。 「カラオケしたいな」と君が突然言い出す 街は夜をはじめたばかり 面倒臭そうな顔をつくってみたけど 本当は凄く嬉しかった 人混みかき分け公園通り抜ければ やたら派手な電飾のBOX ぶっきらぼうな声で部屋番号告げられ 二人きりで部屋に入る 「#302」/平井堅 平井堅が“自らの身を削るほどに、焦がすほどに相手を想う気持ち”という、ドラマとの共通項をテーマに描いたこの曲。舞台はとあるカラオケBOXです。そして歌の中の<僕>と<君>はおそらくかなり仲の良い友達。これまでの<君>の恋愛事情も、今の<君>がとてもつらい状態にあることも、会う前に<君>から聞いていたと想像できます。 一方でずっと<君>に密かな恋心を抱いていた主人公。言ってしまえば、これはチャンスです。もちろん<君>を元気づけたい気持ちはあるし、空気が重くならないようにわざと<面倒臭そうな顔をつくって>いつものノリでいようともしているのでしょう。でもやっぱり、この状況で<二人きり>になれる<カラオケ>に誘ってもらえたことが<本当は凄く嬉しかった>というのが、今の<僕>の本音なんです。 また、その“チャンスに対する嬉しさ”があるから、大好きな<君>と一緒にいられるから、目に映るものすべてが鮮明に刻まれているのだと思います。<やたら派手な電飾のBOX>も、カラオケスタッフの<ぶっきらぼうな声>も、「#302」という部屋番号さえも特別。まだ<夜をはじめたばかり>の街。二人にはどんな<夜>がはじまるのか、きっと<僕>の胸中にはどこか、そんなワクワク感もあったのではないでしょうか。 僕が歌うラブソング 真面目に聴いてる 淋しげな横顔 忘れられぬ思い出重ねて こぼれそうだよ 「#302」/平井堅 ゆえに、あえて<君>に<ラブソング>を歌ったのでしょう。単に元気づけたいだけなら避けるべき選曲ですが、それ以上に自分の気持ちを伝えたくて…。しかし<君>を見てみれば、そんなラブソングを<真面目に聴いてる 淋しげな横顔>。ここにはいない“あのひと”を思って、<忘れられぬ思い出重ねて こぼれそう>になっている心が伝わってきます。すると同時に<僕>の心も痛み、こちらもまた、<こぼれそう>なのです。 ずるくてもいい 代わりでもいい 君の淋しさの一番近くにいたい いつか僕を いつか僕を ホントに好きになるその時まで そばにいるよ 「#302」/平井堅 サビではまさに“自らの身を削るほどに、焦がすほどに相手を想う気持ち”が溢れ出します。それは、カラオケに誘われて<本当は凄く嬉しかった>ときの感情や、ラブソングを歌う前のワクワクドキドキ感とも、少し異なるものでしょう。明らかに“僕を好きじゃない”と、心にいるのは“あのひと”だと思い知ったからこその、決意なのです。 ずるくてもいい 代わりでもいい 君の悲しみの一番近くにいたい いつか僕が きっと僕が 彼を忘れさせるその時まで そばにいるよ ずるくてもいい 代わりでもいい 君の淋しさの一番近くにいたい いつか僕を いつか僕を ホントに好きになるその時まで そばにいるよ 「#302」/平井堅 また、最後まで繰り返される<ずるくてもいい 代わりでもいい>というフレーズ。これは<僕>自身に言っているようでもあり、<君>に伝えているようでもありませんか? <僕>には<君>のつらい恋の癒し場所や、会いたいときに会えない“あのひと”の代わりになることで、いつかは自分が恋人になれたら…と願う“ずるさ”があります。 でも、たぶん<君>のほうにも<僕>の気持ちを知っていながら、都合のいいときだけ呼び出して、弱さを受け止めてもらおうとする“ずるさ”があるのです。ただ、それでも、全部わかっている上で<僕>は何度も<ずるくてもいい 代わりでもいい>と伝えるのです。僕を利用してもいいから、あのひとの代わりにしていいから、近くにいて、と。 ずるくてもいい 代わりでもいい 君の悲しみの一番近くにいたい いつか君が いつか君が ホントに笑える時が来るまで そばにいるよ 「#302」/平井堅 <僕>が本当に<一番近くにいたい>のは<君の悲しみ>でも<君の淋しさ>でもありません。<僕>がもっとも望むのは<僕が彼を忘れさせる>ことでも<僕をホントに好きになる>ことでもありません。最後のワンフレーズ<いつか君が ホントに笑える時が来る>ことがすべてなのです。何より<僕>は“君の笑顔”を願っているから。その日が来るまで<一番近くにいたい>。その日に<一番近くにいたい>のです。 いつか好きな人が心から笑顔になれる日がやってくるためなら<ずるくてもいい 代わりでもいい>。そんな“自らの身を削るほどに、焦がすほどに相手を想う気持ち”が綴られているのが、平井堅の「#302」です。今、叶わない恋をしているあなた。好きな人には他の好きな人がいるあなた。その想いを重ねながら是非、この歌を聴いてみてください。 ◆紹介曲「 #302 」 作詞:Ken Hirai 作曲:Ken Hirai ◆46th single「#302」 2019年12月4日発売 初回生産限定盤 BVCL-1025~1026 ¥1,500+税 通常盤 BVCL-1027 ¥1,136+税