インタビューの最後に、読者プレゼントあり!
Kudo Ayano
工藤あやの
8th Single『 洗ひ髪 』
★ 発売初週「オリコン週間ランキング」演歌・歌謡曲 1位!
★ 2014年デビュー、山形出身の「演歌・歌謡曲」歌手!
★ 10年目、8枚目となる最新シングル!
★ 文学の香りただよう、ゆったりしたマイナー調の王道演歌!
★ やさしく、やわらかい歌声が心に響く、聴けば聴くほど好きになる歌!
★ 歌謡ミュージカル・ユニット「みちのく娘!」でも活躍中!
工藤あやの リリース情報

工藤あやの 「洗ひ髪」(あらいがみ)
シングル CD
2023年 1月18日 発売
TKCA-91475
¥1400
徳間ジャパンコミュニケーションズ
<収録曲>
1 洗ひ髪 (作詞:原文彦、作曲:弦 哲也、編曲:若草恵)
2 加賀友禅燈ろう流し (作詞:麻こよみ、作曲:弦 哲也、編曲:伊戸のりお)
3 洗ひ髪 (オリジナル・カラオケ)
4 加賀友禅燈ろう流し (オリジナル・カラオケ)
みちのく娘! リリース情報

みちのく娘!「みちのく恋の花 / 悲しいときは」(監修:花柳糸之)
シングル CD
2021年12月8日発売
CRCN-8446
¥1,350
日本クラウン
みちのく娘!(工藤あやの、津吹みゆ、羽山みずき)
<収録曲>
1 みちのく恋の花 (作詩:もりちよこ/作曲:宮川彬良/編曲:宮川彬良)
2 悲しいときは (作詩:もりちよこ/作曲:宮川彬良/編曲:宮川彬良)
3 みちのく恋の花 [オリジナル・カラオケ]
4 悲しいときは [オリジナル・カラオケ]
レギュラー番組
「ほんまもんだョ!工藤あやのです」
毎週 木曜日 21:00 〜 21:30
OBC ラジオ大阪(関西)
Song of Japan 内「んだっちゃラジオ!」
毎週 木曜日 27:30 〜 27:55
bayfm(関東)
「工藤あやのの あやラジ!」
毎週 火曜日 11:30〜11:50
毎週 土曜日 18:40〜19:00 (再)
YBC ラジオ(山形放送)
※ それぞれ、放送圏外にお住まいの場合でも、有料サービス「radiko.jp プレミアム」(月額¥385)に登録することで、パソコンやスマホで、日本中どこでも聴取が可能。
イベント、コンサート情報
<キャンペーン情報>
工藤あやの『洗ひ髪』ミニライブ&特典会
3/29(水)13:30~〈埼玉〉スーパーバリュー上尾愛宕(購入者優先入場)
3/30(木)12:00~〈東京〉町田 鈴木楽器(1部)(購入者優先入場)
14:30~〈東京〉町田 鈴木楽器(2部)(購入者優先入場)
3/31(金)14:00~〈東京〉東十条 ミュージックショップダン(購入者優先入場)
4/17(月)詳細後日 東海エリア「洗ひ髪 サークルキャンペーン」
4/18(火)15:30~〈愛知〉ヨシヅヤ Yストア西春店(購入者優先入場)
18:30~〈愛知〉JOY SOUND 金山店 2Fパーティールーム(購入者優先入場)(問) 濃尾商会
4/21(金)14:00~〈茨城〉グランテラス筑西(購入者優先入場)
※ 5月以降のスケジュールは、後日発表。
<イベント、コンサート>
道の駅常陸大宮 〜かわプラザ〜 工藤あやのショー
2023年 4月2日(日)① 11:00〜 ② 13:30〜
常陸大宮・道の駅常陸大宮 〜かわプラザ〜イベント広場
観覧無料
第306回 大阪流行歌ライブ
2023年 4月19日(水)11:00 開場 / 11:30 開演
BIGCAT(大阪府)
料金:¥3,000
徳永ゆうき&工藤あやの プレミアムディナーショー
2023年 5月3日(祝・水) 16:30 開場 / 17:00 ディナー / 18:00 ショー開演
神戸・ラッセホール 2階ローズサルーン(兵庫県)
料金:¥18,000
工藤あやの スペシャル インタビュー

山形県 山形市出身、「山形のひだまり娘」のキャッチフレーズで、2014年1月19日に シングル『さくらんぼ 恋しんぼ』(作詞:たかたかし、作曲:弦哲也、編曲:南郷達也)で歌手デビューした 工藤あやの。これまでに、シングル 8枚をリリースし、今年、2023年には 歌手デビューして10年目に入った。
ソロとしての活動と並行して、2018年からは、ともに東北出身の 3人組、津吹みゆ、羽山みずき とともに、踊りながら歌う歌謡ミュージカルユニット「みちのく娘!」のメンバー(リーダー)としても活動しており、これまでシングル 3枚をリリースし、人気を集めている。
昭和アイドル歌手のようなキュートな耳に残る歌声で、正統派演歌から昭和歌謡曲、ポップスまで、なんでも見事に歌いこなす。小さい頃に民謡をやっていたせいか、余計なチカラが入っていないから、やさしく、響きが明るい その声の魅力で、聴き手に言葉がスーッと入ってくる。
石川さゆりの『天城越え』(作詞:吉岡治、作曲:弦哲也)や、石原裕次郎の『北の旅人』(作詞:山口洋子、作曲:弦哲也)など数多くの名曲を作曲した、工藤あやの の師匠でもある作曲家 弦哲也が、「昭和の忘れ物」と称したように、工藤あやの の歌声には、どこか懐かしさも感じる。
今年、2023年 1月18日に発売となった 通算8作目となる最新シングル『洗ひ髪』(作詞:原文彦、作曲:弦 哲也、編曲:若草恵)は、ぐっと大人っぽくなった前作『白糸恋情話』(作詞:原文彦、作曲:弦哲也、編曲:若草恵、2022年 1月26日発売)と同じく、文学の香りただようマイナー調の曲。大人っぽく、石川さゆりのような雰囲気を感じさせる王道演歌となっている。
大正から昭和初期にかけての日本女性をモデルに、恋する女性の静けさと情念の激しさ、はかなさと強さを、Aメロは語るように、そしてサビでは情熱的に、より大人っぽく、より豊かになった響きの歌声で歌い上げている。
最新シングル『洗ひ髪』は、発売当日の「オリコン シングル デイリー ランキング」(1/17付)演歌・歌謡曲で 1位、さらに、発売初週の「オリコン シングル 週間 ランキング」(1/30付)でも、演歌・歌謡曲で 1位。J-POP 等を含めた シングルの総合ランキングでも、それぞれ 8位と6位を記録するなど好調だ。
いつも明るく元気、アネゴ肌で、天真爛漫な感じだが、同時に、実に繊細な人でもある。高校時代は、いじめられていて、いつもひとりぼっちだったと言う。デビュー後も、その感受性の強さゆえ、悩むことも多かった。一時は、歌手をやめようとまで考えたこともあったようだ。
しかし、歌に対する想いと、その真摯な姿勢は変わることなく、演歌・歌謡曲ファンだけでなく、より多くの人に歌を聴いてもらいたいとの想いから、演歌の「路上ライブ」までやってみたいとまで言い、日本の歌を伝えるために、海外でも歌いたいと話す。
<もくじ>
1 新曲『洗ひ髪』は、前作に続き文学調の王道演歌
〜「このくらい歌えるようになったんだな…」〜
2 一緒に作り上げた新曲
〜「優しくなれたというか…」〜
3 カップリング『加賀友禅 燈ろう流し』は、やさしい歌
〜「等身大で歌えそうだな〜と…」〜
4 発売直後に、オリコン で 週間 1位 〜
「その気持ちがすごい嬉しくて…」〜
5 デビューから10年目
〜「信じてくれてる人がいるんだな…」〜
6 コロナ禍、歌手をやめようと考えたことも
〜「なくちゃいけないことだったんです…」〜
7 ライバルでもある「みちのく娘!」のメンバー
〜「すごく "ありがとう" って思ってます…」〜
8 いじめられてた母校の高校で講演会
〜「やろうと思って行動に移したらできるんだな…」〜
9 演歌の「路上ライブ」をやりたい
〜「そっからですね、私の人生が明るくなったのは…」〜
10 今後の活動
〜「寄り添った歌手になりたいなって思います…」〜

1 新曲『洗ひ髪』は、前作に続き文学調の王道演歌 〜「このくらい歌えるようになったんだな…」〜
ーー 前作、2022年 1月に発売された『白糸恋情話』(作詞:原文彦、作曲:弦哲也、編曲:若草恵)は、泉鏡花の『義血侠血』を題材にした金沢が舞台の作品。マイナー調で、情念の世界が表現された大人っぽい、石川さゆりの『風の盆恋歌』のような雰囲気を持った曲。サビの「♪なみだ なみだ なみだ」「♪契る 契る 契る」「♪みれん みれん みれん」が耳に残るが、冒頭「♪情けは情けで 返しましょう… 命は命で 返します…」が印象的な、心に迫ってくるいい歌だ。
ーー そして、今年、2023年 1月18日に発売となった通算8作目となる最新シングル『洗ひ髪』(作詞:原文彦、作曲:弦哲也、編曲:若草恵)は、前作『白糸恋情話』の路線を踏襲した文学の香りただようマイナー調の曲。大人っぽく、今作も、若草恵によるドラマティックなアレンジも含めて、石川さゆりのような雰囲気を感じさせる王道演歌となっている。より大人っぽく、より豊かになった響きの歌声で、静かに心に沁みてくる、聴けば聴くほど好きになる曲だ。
ーー まさに、石川さゆりの『天城越え』(作詞:吉岡治、作曲:弦哲也)や、石原裕次郎の『北の旅人』(作詞:山口洋子、作曲:弦哲也)など数多くの名曲を作曲している、工藤あやの の師匠、弦哲也のチカラの入り様を感じる。
工藤: 実は、この『洗ひ髪』は、『白糸恋情話』と同時期にいただいていた曲で、「どっちを先に出すか?」ってことになって、たまたま『白糸恋情話』が先になったんです。あと、この『洗ひ髪』も『白糸恋情話』もそうなんですけど、原文彦 先生の詞がすごい好きで、そこに惚れこんで、一緒にやりたいなって思ってました。
ーー なぜ『白糸恋情話』が先になったのだろう?
工藤: あ〜、そうですね、(その前作の)『大阪花吹雪』(2019年)の次が、いきなり『洗ひ髪』だと、ちょっと変わりすぎというか……。それと、「題材のある『白糸恋情話』の方が、『洗ひ髪』よりも歌の主人公になり切ることができるんじゃないか」ってこともあったと思います。なので、一回、『白糸恋情話』をはさんで、その世界観に入ってから『洗ひ髪』に行った方が、「より深い表現ができるはず」ということを期待されていたみたいです。
ーー デビュー曲『さくらんぼ 恋しんぼ』(2014年)から、『花咲く丘』『故郷さん、あいたいよ』と、3作目までは王道演歌を歌っていたが、4枚目のシングル『恋ごよみ』(2017年)と、続く5枚目の『恋微熱 JIN JIN JIN』(2019年)は、洋装で歌うポップス調の歌謡曲。その後、6枚目の『大阪花吹雪』では演歌路線に戻り、初めて着物で歌うことになった。
ーー その『大阪花吹雪』から、次の『白糸恋情話』で、工藤あやの のイメージが大きく変わった。楽曲がぐっと大人っぽくなったこともあり、歌も大きく変わり、より豊かな響きの大人っぽい歌になっている。そして、今作『洗ひ髪』で、さらに歌の色気が増している。
工藤: う〜ん……、それまで歌えなかったような歌い回しができるようになったなっていうのは、すごく思いました。今まで、弦(哲也)先生のデモテープとかいただいても、真似できるものには限界があったんですけど、今回は「ちょっとやってみよう」と思って真似して歌ってるところとかもあって、「今の自分って、このくらい歌えるようになったんだな〜、そうさせてもらったんだな〜」っていうのをすごいかみしめながらレコーディングしてました。
ーー 意識して歌い方を変えたのではなく、それまでの積み重ねがあり、前作『白糸恋情話』と今回の『洗ひ髪』という大人っぽい楽曲がきっかけとなって、歌も大きく進化したのだろう。
工藤: 最初、『洗ひ髪』の 弦(哲也)先生のデモテープを聴いた時には、「壮大な歌だな〜」と思って、「絶対、今の私には歌えないな……」って思ったんですけど、かといって、『白糸恋情話』が歌えるかっていうと、「それもどうだろう……、くらいついていかないと歌えないだろうな」とは思ったんです。でも「こういう楽曲を私のオリジナルで出していただける日が来たんだな」っていう感動はすごくありましたね。

2 一緒に作り上げた新曲 〜「優しくなれたというか…」〜
ーー 『洗ひ髪』の Aメロは、音数が少ないから、間をとるのが難しい。
工藤: あ〜、たしかに、たしかに……、言葉が少ない詞ですからね……。あと、2番から3番に行くときが、ちょっと極端に間奏が短いので、そのタイミングを逃すと、3番の入りが……(笑)。
工藤: あと、私は、ロングトーンとかビブラートがすごい苦手だったので、それをどうやったら歌えるようになるかな〜ってすごい研究してて、それで、その中で、あんまり緊張して大きな声で伸ばそうと思わずに、何か呼吸するみたいにラクに歌うようには心がけたんです。今までは、「頑張って歌ってる」っていう感じの工藤あやの の声だったと思うんですけど、かなり地声に近いリラックスした状態で、初めの 2行は歌っています。
ーー チカラではなくラクに歌っているから、より響きが豊かになり、工藤あやの の魅力的なところもより出ていて、聴く方にスーッと入ってくる。Aメロは、響き豊かに語るように、そして、張ったサビもチカラではなく響きで歌われている。
工藤: ああ……、ありがとうございます。3行目(サビ)の盛り上がるところからは、弦(哲也)先生のデモテープを聴いて、それを真似してて、「♪ひのごとく〜 こころは燃〜えど」じゃなくて、「♪ひぃ〜のごとく〜 こぉ〜ころは 燃ぉ〜え〜どぉ〜」って、「あの歌い方を取り入れよう!」って思って、何回も聴きました。
ーー 弦哲也のデモテープは、自身によるギターの弾き語りにピアノを重ねただけのものだが、もともとは歌手でもあっただけに説得力がある。そして、今回、歌録りのレコーディングの時には、ハプニングもあったようだ。
工藤: えっと……、このレコーディングをする前日にも、(弦哲也に)レッスンをしていただいたんですけど、それまでレッスンで歌ってた歌い方を変えなきゃいけなくなったんです。「うゎっ、難しいな……、1日でマスターできるかな……、前日なのにどうしよう……」と思ってて。それで、レコーディングの当日、その時に習ったことを本番でやったら、「全然、違うよ!」って言われて……。それで、結局、その前の歌い方、今まで通りに戻ったんです……(笑)。だから、その前日、1日だけが違ったみたいなんです……、私の仕上がりのせいか……。
工藤: まぁ、結局は、なんとかなったんですけど、「臨機応変に対応しなくちゃいけないな」っていうのすごぐ思って……。で、弦(哲也)先生ご自身も、思い入れがすごくて、「ここの音色は、もうちょっとこうした方がいいよね、ああした方がいいよね」っていうのを、細かく言ってくださったんです。それで、(レコーディングが)終わって帰り際に、「成長を見れるっていうのは嬉しいもんだな〜」って言いいながら帰っていかれたんで、良かったです。
ーー 弦哲也のイメージ通りのものが出来上がったということだ。
工藤: そうですね……。『白糸恋情話』と『洗ひ髪』は、おこがましいかもしれないけど、本当に「一緒に作り上げた」っていう感じじゃないですけど、なんか、(弦哲也)先生にも「こうですか?」「ああですか?」って体当たりしていって、で、先生も、わかるまで練習に付き合ってくださいましたし……、マスターしていったら、すごい喜んでくれたし……。
工藤: なんか……、やっぱり、私は「みちのく娘!」があったから、ここまで歌も成長させてもらいましたし、人間的にも……、周りの人からも言われますけど「成長したな!」みたいな……。優しくなれたというか、カドが取れたというか。で、その中で生まれた感情っていうものを、歌声に表すことができてるな〜って。「いろんなことを経験したからこそ、この歌を歌えるんだろうな」って思います。1年前だったら、歌えなかったと思います。歌えたとしても、ただメロディーを追うだけだったんだろうなって……。

3 カップリング『加賀友禅 燈ろう流し』は、やさしい歌 〜「等身大で歌えそうだな〜と…」〜
ーー カップリング曲の『加賀友禅 燈ろう流し』(作詞:麻こよみ、作曲:弦 哲也、編曲:伊戸のりお)は、メジャー調で、ゆったりしたミディアムテンポの曲。明るい響きの甘くやさしい歌声でせつなさが伝わる、これまでの 工藤あやの のイメージ通りの曲だ。テンポは違うが、3枚目のシングル『故郷さん、あいたいよ』みたいな雰囲気もある。
工藤: ありがとうございます。この曲は、等身大で歌えそうだな〜と……(笑)。レコーディング前の練習のときも、弦(哲也)先生は、「こっちの方(『加賀友禅 燈ろう流し』)は、そのままでいいよ」みたいな感じでしたね。
工藤: でも、実は、最初、歌詞がまるっきり違ったんですよ。麻こよみ先生の詞なんですけど、「加賀友禅」だと「加賀」だけをフューチャーしてしまうっていうことで、前作の『白糸恋情話』が金沢で、石川県全体のご縁をのことを考えると、金沢も何度もお邪魔してますし「やっぱ加賀だけじゃなくて金沢も入れたいね」ってなって、ガラッと変わって……、レコーディング当日に変わったんです。でも、最初の歌詞も、実はすごい好きな歌詞だったんです……(笑)。なので、なかなか入ってくるのは遅かったですけど、だけど、これになっても、音色自体は変わらなかったですし、わかりやすい歌詞になったなって思いました。
ーー レコーディング当日に、歌詞が変わった上に、メロディも、一部、変わったようだ。
工藤: あっ、ありました……。「♪灯りの帯が ゆらゆらと〜」のところを、「何小節かに分ける」みたいな話が出てきて、一度、覚えた譜割り(音符の長さ)が(レコーディングの)当日に変わって、「わぁ〜難しい!(練習して)クセがついてるから〜」って思って……(笑)。そうそうそう。でも、みんな、より良いものを作ろうとしてくださってるんだろうなっていうのはすごい感じました。
ーー Aメロの「♪揺れて涙の 浅野川」は、メロディも耳に残るし、工藤あやの の歌声の魅力的なところが、とくによく出ているところだ。
工藤: ああ……、ありがとうございます。でも、どうしてもハネて歌ってしまうクセがあったので、最初「♪あっさ〜のっ がっ わ〜」って歌ってたんですけど、「♪あ〜さ〜の〜が〜わ〜、だよ!」って(弦哲也から)言われて、「はい、すいません!」って……(笑)、何回もやりました。
ーー 毎コーラス、サビの最後の「♪燈ろう流し」の歌声もいい。うまいなあ〜と思わせる。
工藤: イエ〜ィ! ありがとうございます! ココは褒められました(笑)。
ーー 切ない歌だけど、響きが明るくて、爽やかに歌っているから、逆にその切なさが伝わるいい曲に仕上がっている。
工藤: ありがとうございます。これまで、テンポの速い楽曲ばっかり歌ってきていたので、こういう楽曲を歌わせていただけることになるとは……、「まさか、自分が……」っていう感じでしたね。
ーー 『白糸恋情話』と『洗ひ髪』を、「師匠の弦哲也と一緒に作り上げた感じ」と言うように、この『加賀友禅 燈ろう流し』でも、弦哲也にリクエストをしたようだ。
工藤: えっと……、希望とかで言うと……、「こういう感じがいい」っていうのは、前作からいろいろ言ってたんですけど……、メロディーとか……。それで、今回、お願いしたのはカップリング曲の『加賀友禅 燈ろう流し』のイントロですね。
工藤: 登場するときに、花柳(糸之)先生の振り付けとかで、こうタカタカタカって端から真ん中の方に来てポーズを取って、そしたら歌が始まる……みたいな感じで、「この間でやりたいんです」っていうのを言ったりとかしました。
工藤: あと、『洗ひ髪』で言うと、「この "間" だとちょっと歌いにくくて、さっきの方がいいな〜」とか言いながら、小節数を減らしてもらったりとか、逆に増やしてもらったりとかしましたね。

4 発売直後に、オリコン で 週間 1位 〜「その気持ちがすごい嬉しくて…」〜
ーー 今回、発売前から、前作『白糸恋情話』と、今作のカップリング『加賀友禅 燈ろう流し』の舞台でもある石川県はもちろん、北陸をはじめ全国でキャンペーンを精力的に行なっていた。その結果、最新シングル『洗ひ髪』は、発売当日の「オリコン シングル デイリー ランキング」(1/17付)演歌・歌謡曲で 1位、さらに、発売初週の「オリコン シングル 週間 ランキング」(1/30付)でも、演歌・歌謡曲で 1位。J-POP 等を含めた シングル総合ランキングでも、それぞれ 8位と6位を記録するなど好調だ。
工藤: 本当に「皆さんのおかげだな〜」って思ってます。私は、この歌をいただいたからには、やっぱり「みなさんと一緒に育てていきたいな」って思いがあったんですけど、私の思う以上に、皆さんがそれを汲み取ってくださって、一緒に応援してくださったからだなっていうのは思います。
工藤: あとは、与えられた環境の中だけで PR するっていうのは「もう限界があるな」と私も思って、「自分にできることをやろう」と思って、「ポスター大作戦」っていうのをやったんです。
工藤:「送料とか箱代とかも、全部、私に払わせてください」って言って、そのかわり、ポスターを貼っていただける企業さんとか、公民館とか学校とか、そういう所があったら教えてくださいって言って、皆さんに営業マンになっていただいて、それで、申し込みいただいた方のところにポスターを送って、その方が、貼りに行ってくれるっていうのを全国規模でやってたんです。でも、まあ、そんなになかなか何千枚もってわけにはいかなかったんですけど、その気持ちが……、「あやのちゃんのために何かやりたい」ってやってくれる、その気持ちがすごい嬉しくて。
ーー「ポスター大作戦」は、自分からアイディアを出して、自分で動いた。言われてやるのと、自らが発信してやるのでは、与える印象が全く違う。オリコン 1位には、そんな、自らが発信した「ポスター大作戦」の効果もあったのだろう。
工藤: 少しでもあったら嬉しいですね〜。だから、本当に、10年ってここまでやってきて、初めて「ひとりじゃ、やっぱり何にもできなかったな〜」って……。今までは何でもできるって思ってたけど、みんなと手を取り合って、ひとつの目標に向かったときに、達成したらこんなに嬉しいんだって……。だから、「頼れるところは頼って甘えていこうかな」っていうのをすごく学んだ楽曲でした。
ーー さらに、1月からは、会場の大きさを問わない定期ライブ「逢いたいツアー」も始めている。

5 デビューから10年目 〜「信じてくれてる人がいるんだな…」〜
ーー 山形県 山形市出身、「山形のひだまり娘」のキャッチフレーズで、2014年1月19日に シングル『さくらんぼ 恋しんぼ』(作詞:たかたかし、作曲:弦哲也、編曲:南郷達也)で歌手デビューした 工藤あやの。これまでに、シングル 8枚をリリースし。また、ソロとしての活動と並行して、2018年からは、ともに東北出身の 3人組、津吹みゆ、羽山みずき とともに、踊りながら歌う歌謡ミュージカルユニット「みちのく娘!」のメンバー(リーダー)としても活動しており、これまでシングル 3枚をリリースし、人気を集めている。そして、今年、2023年には 歌手デビューして10年目に入った。
工藤: この 9年間を振り返って……、う〜ん……、そうですね……、人生がガラッと変わったなっていうのは思います。その……、歌手になって人生が変わったのはもちろんだったんですけど、そこからも、性格がどんどん変わっていったんです。初めは「いい子でいなくちゃ」って、「みんなに求められてる工藤あやのって何だろう?」って悩み続けたのがデビューからの 3年で、それが、若干、ストレスになってしまって……、「期待に応えなくちゃいけない」みたいな……。
工藤: ただ、本来の自分は、もうちょっと天真爛漫で、何か「はっちゃけタイプ」だったので、それが爆発してしまって……。それで、その後ぐらいに、ちょうど出させていただいたのが 4年目、5年目ぐらいの、ああいう男性を手のひらで転がすような楽曲(『恋ごよみ』『恋微熱 JIN JIN JIN』)。
工藤: 私、楽曲に、結構、憑依してしまうところがあるので、それはもう、そこで今までの分すごく弾けてて、それで、6年目『大阪花吹雪』で、はっちゃけは はっちゃけだけど着物になって……。
工藤: で、演歌で「こういう歌い方かっこいいな」って思うけど、できなかった自分が悔しくて、なんか避けてたんですけど、「みちのく娘!」っていう活動を通して、「こういう入り方もあるんだな」と思って演歌が好きになって、『大阪花吹雪』のあとは、テレビ番組でもいろんな演歌を歌わせてもらって「楽しい!」って思うようになったんです。
工藤: そこを融合しながらやっていくようになって、少し……、なんだろうな、今までやらなかったことも楽しみながら挑んでいけるような成果が出たかなって思います。
ーー「今までやらなかったこと」とは、どういうことなのだろう?
工藤: ああ……、たとえば、「無理!」と思ったらやらないとか……、「やりたい人がやってればいいんじゃないかな」みたいな……(笑)。そんなとこもあったんですけど、なんかせっかくそういうチャンスもらったんだったら「やってみようかな」って思ったりとか……。
工藤: そういう楽曲って、自分ができないと思ってたけど、「できる」って思ってくれてる方が「歌ってみたら?」ってくれるものじゃないですか……。「ああ、信じてくれてる人がいるんだな」と思って……。いなかったんですよ……、それまで……、本当にいなくて。
工藤: でも、それは自分も悪かったと思うんですけど、だから、今は、「その人たちの期待に応えなくちゃ」っていうのを、すごいちゃんと思って。そんな中、「みちのく娘!」で、メンバーの 2人にも、私のわがままで迷惑かけたときもあるし、でも、それでも、一緒に仲間としてやってくれたことにすごい感謝もしてるし、花柳(糸之)先生とも何度もぶつかったんですけど、でも、結局は、すごいかわいがってくれて、今も普通に電話する仲で……。
ーー ともに東北出身で、デビューが1年ずつ違う27歳〜31歳、工藤あやの、津吹みゆ、羽山みずきによる 3人組ユニット「みちのく娘!」は、それぞれがソロ歌手としてデビューした後に結成され、結成後も、それぞれのソロ活動と並行して活動している。業界では知らない人のいない大御所の振付師、花柳糸之がプロデュースしていて、2018年5月に、テレビの音楽番組で、初めて「みちのく娘!」として歌ったのが、美空ひばりの『お祭りマンボ』。複雑なフォーメーションダンスで元気に踊りながら歌うという、見たことのなかったその斬新な姿に問い合わせが殺到したことで、同年、2018年11月14日に「みちのく娘!」として、アップテンポでキャンディーズを彷彿とさせるようなポップス調の歌謡曲『春ッコわらし』でデビュー。これまでシングル 3枚をリリースし、人気を集めている。
ーー その「みちのく娘!」のプロデューサーであり、振り付けを担当する 花柳糸之 とぶつかったということだ。しかし、自分の意見をちゃんと言ってるからぶつかるわけで、言わない方が不健全だし、ぶつかることで、お互いの理解も深まる。
工藤: うん……、でも、なんかそれで(花柳糸之)先生が帰っちゃったりとかっていうのも何回かあったんで……(笑)。でも、そういうのがあって、コロナをはさんで、声が出なくなったときに、「なんかもっと、ボイトレとかも限界とか決めないでやれるとこまでやってみよう」って、「いつ歌えなくなるかわかんないし」と思って奮起してやってからは、すごい人間が丸くなったというか……。丸にはなってたんですけど、ちょっとトゲトゲがあったと言うか……。それが、だんだん完全に丸くなってきてるっていう……。
工藤: とにかく、この10年がなかったら、多分、自分の意思っていうものは、いつまでたってもなかったと思います。今回の楽曲とか、「自分の生き方、こうしたい」っていう気持ちで今動いているので。

6 コロナ禍、歌手をやめようと考えたことも 〜「なくちゃいけないことだったんです…」〜
ーー 2020年〜2021年のコロナ禍で、歌手をやめようと思ったこともあった。
工藤: はい、思いました。その……、『白糸恋情話』(2022年)を出す前に、私の中で心境の変化があって、「歌手を続けるか、やめるか」とか……。
工藤: あの……、ファンの方は、もちろんいてくださるんですけども、やっぱり、いろいろあるじゃないですか……。それで、ある時に「必要とされてないな」って感じた瞬間があって……。けど、それをどこで言うってわけでもないですけど、なんか「いらない」って思われるのって、こんなショックなんだなと思って……。「いらない」ってことは、「もう、いる必要がないか……」とか、人間をすごい否定されたような感覚になってしまったんです。そこで、「なにくそ!」っていうエネルギーがその時なくて、ちょうどコロナで、みんなケチョンケチョンになってた時だったし……。で、「どうしようかな〜」ってすごい考えて……。
工藤: ただ、なんだかんだ言いながらも、ちゃんと新曲のことを考えてくれて、「次の あやの には、こういう楽曲ね」っていただいたときに、もう「情けは情けで返しましょう 命は命で返します」(『白糸恋情話』の歌詞)って、あれでもう涙が止まらなくなってしまって、それで、「あと 1年 頑張ろう」と思って……、1年続けたら、今回の『洗ひ髪』もいただいて……。
工藤:でも、正直、自分の中で「10年」っていう区切りを設けていて、この楽曲で何も成果を残せなかったら、また考えなくちゃいけないなってすごい思うんですけど、でも……、う〜ん……、なんか「自分は絶対大丈夫」っていう自信がどこかにあるので、そこに、「本当に大丈夫!」っていう自信をつけるために、歌を一生懸命頑張ろうと思って、今は、毎日、楽しくステージに立ってます。
工藤: だからこそ、今回、オリコン ウィークリー 1位を獲れた時は、すごく嬉しかった。だから、1回1回のステージを「もう立てないかもしれない……」という覚悟で、「楽しみながらやっていこう」っていう気持ちで今年はやってて、今は全力で頑張ってます。そのせいか、ファンもすごい増えました、この半年、1年で。
ーー 2020年〜2021年、コロナ禍で音楽業界が低迷する中、自身もコロナにかかったり、声が出なくなったりした上に、「必要とされてない」と感じた時には、さぞつらかっただろうと思う。しかし、そんなことも、結果的には良かったのかもしれない。
工藤: そう、私の人生にとっては、なくちゃいけないことだったんですよね……、はい。
ーー 変な話だが、あらためて覚悟も決まったし、ただ単に覚悟を決めてやるだけじゃなく、楽しんでやれているということは強い。だから、ファンも増えるのだろう。
工藤: うん……、なんか面白いらしい……、私の生き方が……(笑)。

7 ライバルでもある「みちのく娘!」のメンバー 〜「すごく "ありがとう" って思ってます…」〜
ーー 2018年から、ソロと並行して活動する 3人組ユニット「みちのく娘!」の他のメンバー、津吹みゆ、羽山みずき とは、仲間でもあるが、歌手としてはライバルでもある。
工藤: あ〜……、2人のことは、すごく大好きですし、でも、そこに、何だろう……、たとえば、自分の中の「ライバル心」みたいな、嫉妬みたいなこともあるから、これまで、「うらやましいな……」って思ってしまうことがたくさんあって、尊敬できなくていたんです。
工藤: だけど、ここ最近は、なんかもう、それすらも、「私はこういう運命だけど、2人はそういう運命だった」っていうだけで、「その人を否定するのは違うな」ってすごい思って、「いいところはいいってやっぱ認めないと駄目だな」って思えるようになったので、今は、もう、2人を すごい尊敬してます。
工藤: 今までは、「自分が!自分が!」って私自身もやり過ぎちゃってたので……(笑)。だから、今は、「真ん中よりも端が好き」みたいな……(笑)。なんかそういう感じに最近はなってて、なんかメンバー同士の会話とかも、すごい 2人が ぐっと成長なさってたんで、「自分が置いてかれてるな……」ぐらいの感じ。
工藤: だから、「いついつ新曲が出る」とかっていう話も全然しないし、どの番組に出るとか、こういうオーディションを受けるとかって話も本当にしなくて……。でも、そういうものって、多分、もっと早くに私がリーダーのあり方みたいなのを考えて接してなかったからなのかな〜と思って……。「イヤな奴だったな……自分……」って、めちゃくちゃ思います。今さら、その関係修復みたいなことは、多分、無理だと思うんですけど、でも、すごく「ありがとう」って思ってます。
工藤: この間、『新・BS日本のうた』で、「みちのく娘!」史上最多の 9曲を歌わせてもらった時なんか、もう、すごいかみしめてましたね。「みちのく娘!で何着るか?」っていうのも考えましたし、何かできること全部したいなっていう……。だから、メンバーの 2人には、「ごめんね」っていう気持ちと、「ありがとう」って気持ちと、「リスペクト」がすごいあります。
工藤: そうですね〜、『洗ひ髪』が歌えるのも、やっぱり「みちのく娘!」があったからこそですね。やっぱり(みちのく娘!の)2人には、すごくお世話になってるし、花柳糸之先生に育てていただいてるし……。

8 いじめられてた母校の高校で講演会 〜「やろうと思って行動に移したらできるんだな…」〜
ーー 昨年、2022年6月に、母校の「山形県立 上山明新館(かみのやま めいしんかん)高等学校」から依頼され、「工藤あやの ひだまりの輪 ~人生ポジティブに生きてみよう!~」のテーマで、約1時間20分におよぶ講演会を高校の講堂で行った。
工藤: もともと、年に一度、その明新館高校を卒業した OB の人たち、基本的におじいちゃんたちなんですけど、その人たちの前で歌うっていう会があったんですよ。それが、コロナでなくなってしまって……。ただ、明新館高校とのご縁はずっとそこで繋がってて、そしたら、高校から「今度、講演会してください」って言われて、「公演? 歌ですか? 全然、大丈夫ですよ!」って言ったら、公演じゃなくて講演だったみたいで、「いえ、お喋りで」って言われて、「そんなのやったことないから無理ですよ!」って……(笑)。
工藤: 高校の時は、めちゃめちゃイジメがすごかったし、「とくに高校の思い出とか、ほぼないですけど大丈夫ですか?」って……、抹消しちゃってるところもあるんで……(笑)。それでも「いや、今の工藤さんとしてお話してください」って言われてやることになりました……。
ーー 高校生のころは、人付き合いが苦手で、友達もいなかった。移動教室や修学旅行なども、ひとりぼっちだったと言う。
工藤: まあ、でも、ありがたいことに、(地元山形で)ラジオ(YBCラジオ「工藤あやの の あやラジ!」)とかもやってるので、知名度は、段々と、この 8年 9年でようやく上がってきて、それで、ステージ(講演会)では、嘘も言いたくないし、「思ったことバンバン言ってくね」って言って、ちっちゃいときの自分の話とか、学校での生活とか、今の仕事とか、未来に向けての話とか、いろいろしたんですけど、「その中で、一番しんどかった時期はマジで高校だった」って話をして、いじめられてたとか、仲間はずれになってた話もして、だけど「自分は絶対大丈夫!」っていう気持ちがあったし、「何があっても自分だけは信じてた」っていう話をして……、なんかいろんなこと喋ったんですよ。
工藤: でも、そしたら、思いのほか反響がすごくて、マンモス高校なので、何人ぐらいいるんだろう 600〜700人ぐらいいるのかな、その中で 300件以上 感想が来たんです。学校に掲示板みたいなのがあるらしくて、なんかそこに 300件以上 来たと。で、「先生、これって、みんなに強制的に書かせたんじゃないですか?」って聞いたら、「いや、書きたいと思った人だけが書いたんだ」って。「今はすごい明るいあやのさんなので、そんな背景があるなんて思ってなかったです」とか、「生きててよかったです」とか、そういうのを全部、先生が文字で打ってメールで送ってくれたんです。
工藤: で、それを見た時に、「自分って、人に影響を与えられるぐらいの人になってんだな」っていうのをすごい感じて、「この子たちのために何かできないかな」っていう頭にすごい変わったんです。
工藤: その時、「進路指導室に行った方が早いんじゃないかな?」っていうぐらいの進路の相談とかもいろいろ来てて、多分、業界に行きたい子とかもたくさんいるだろうし、学校の先生になるか、どこかに就職をするか、「親には公務員になれとか言われてるんですけど」とか、「すぐ働けって言われてるんですけど」っていうような話とかも結構来て、それで、「今の経験だけじゃ駄目だな」と思って、ちゃんと「受験アドバイザー」とか「メンタル・ケア・アドバイザー」の資格を取って、進路指導室に行きたいなと思ったので、その勉強を今してたりします。
工藤: 私が学校に通ってた時は、その面談では「え〜、芸能界に行ったという前例がないので、工藤さんならできると思います!」って言われて終わったんですけど……(笑)。
ーー「この子たちのために何かできないかな」という思いは、さらに、講演会のあとも続いた。
工藤: この子たちは、(コロナで)文化祭も体育祭もなかったので、「花笠」(山形花笠まつり)っていう山形のイベントがあるんですけど、うちの団体を作って一緒に出て欲しいなと思ったんです。それで、声をかけて、その人数が何人になるかもわかんないし、必ず笠を持たないといけないんで、できることなら同じ衣装で揃えて欲しいし……、「どのぐらいお金かかるのかな?」って不安だったんですけど、「思い出をみんなで一緒に作りたいんだ」っていうのを SNS で 発信してたら、「あやのちゃんの夢は僕たちの夢だから、僕たちに その Tシャツ代を出させてくれ」とか、「笠代を出させてくれ」って言ってくれる人が本当に多くて、その二つは、生徒さんたちの、もう皆さんの募金で出させていただいて、余ったお金は、来年からの運営資金にさせていただきますねってしました。
ーー そうして、「工藤あやの 花笠愛好会 ひだまり」として、山形の 8月の風物詩「山形花笠まつり」に参加が叶った。
工藤: でも、最初、もう、なんにもわかんなかったんで、「山形花笠」ってネットで調べて……(笑)。どこに問い合わせればいいかっていうのも調べて、自分で電話して、実際に行って参加登録の手続きもして、看板も作ってもらって……。そしたら、私の周りでクラスターが発生して、私は出れないっていう……(笑)。
工藤: ただ、その時も、「あやのさんがやってくれたそのメンバーだよ」って、テレビ電話でずっと中継してくれて、「本当にいい仲間に支えられてんな」って、すごい思って。なんか、「やろうと思って行動に移したらできるんだな」っていうのをすごい実感しました。

9 演歌の「路上ライブ」をやりたい 〜「そっからですね、私の人生が明るくなったのは…」〜
ーー 母校の高校での講演会では、歌も披露した。
工藤: その講演会の中で、「今は、演歌歌謡というジャンルにいるんだけど、演歌歌謡って知ってる人いる?」って言ったら、もう全然手が上がらなかったから、「じゃあ、たとえば、『天城越え』っていう楽曲があって、カラオケの履歴とかにももすごい入ってるし、うちの師匠(弦哲也)が作ったんだけど、ちょっと歌ってみるわ!」って言って、カラオケで歌ったんですよ。で、歌ったら、「お〜っ!」みたいな……(笑)。学校の先生たちは、「ナマで聴けた〜!」って大拍手で……(笑)。
工藤: そのあと、自分の人生を変える曲になったオーディションで歌った楽曲、今井美樹さんの『PIECE OF MY WISH』も歌ったんですけど、1年生はリモートで教室のスクリーンで見てたらしくて、めちゃめちゃ音が悪かったらしいんですけど、そしたら、すっごい生徒たちが胸を打たれたらしくて……。
工藤: それで、なんかその子たちが興奮気味に家に帰って、「お父さん、お母さん、今日、工藤あやのさんが来てね、こういう話があったんだけど、今度、あやのさんの実家に行ってみたいから連れてって」言ってくれた子が、実際に、(実家の)惣菜屋に買いに来てくれて。で、その子の親からめちゃくちゃ感謝されて、「なんか、その日はスッゴイ明るい顔をして帰ってきました。明日からも学校が楽しみなんて初めて聞きました。ありがとうございます」とか言われたんですけど、「私、なんにも言ってないですよ」って(笑)。
ーー 工藤あやの の実家は、地元の山形市内にある「たかはしそうざい店」という惣菜屋さんだ。昨年末には、実家を手伝いに帰って、店にも立ったりしていた。
工藤: でも、何だろう……、今まで、わりと年齢層の高い方たちの前でしかあまり歌う機会がなかったけど、「その子たちの目線に立って、その子たちの気持ちになって喋ったり、歌ったら、伝わるんだな」と思って……。
工藤: だから、私、「路上ライブ」をやりたいと思ってるんですけど……、「演歌で路上ライブやってる人っていないな」と思って……。だからこそ、その気持ちを持って「路上ライブ」をしたいなっていう……、熱い思いを歌だけじゃなくて、喋りでも伝えたいなって……。
工藤: 実は、もう何年も前からやろうとしてるんですけど、やっぱり「駄目だ」って言われて……。まあ、もちろんそうなんですけど、でも、「ちゃんと手続きを踏んで、認められた環境の中でやれるんだったら良くない?」と思って……。交番にも行きましたもん。「すいません、路上ライブをするときってどういった手続きをすればできるんですか?」っていうのを渋谷の交番に聞きに行ってきました(笑)。
ーー ただ単に、演歌・歌謡曲に触れる機会がないだけで、講演会で、そういう後輩の高校生の子たちにも、直接、聴いてもらうことで伝わるということがわかったからこそ、いろんな人に聴いてもらいたいとの思いから、「路上ライブ」という発想なのだろう。
工藤: そうそうそう。その場を作れば、きっと興味を持つ人はいるだろうしと思って……。だから、すごいいい講演会でした。そのことでも、「人生が変わったな」って思いました。そっからですね、私の人生が明るくなったのは。それまでは、ケチョンケチョンにヘコんでたんですけど、「この人たちのために」とか、「自分がやり残したことを全部やろう」っていう頭に切り替わりました。

10 今後の活動 〜「寄り添った歌手になりたいなって思います…」〜
ーー 気の早い話だが、前作の『白糸恋情話』、今作の『洗ひ髪』と、文学調の曲が 2作続くと、次も、3部作として同じような曲を期待してしまう。あるいは、さらに、いい意味に裏切るような楽曲で、また、新しい工藤あやの に出会えるかもしれない。
工藤: ああ……、そうですね〜。でも、今は『洗ひ髪』をいただいて、「これ以上の曲があるのか?」って感じです。
ーー ほかに、自分で歌ってみたい曲調はあるのだろうか?
工藤: あ〜……、コミックソングやりたいです(笑)。私、「かしまし娘」さんがすごい好きで……、あのご自身たちで歌われる登場ソング「♪ウチら陽気なかしまし娘〜」とかが好きで……(笑)。あと、牧伸二さんの「♪あ〜 やんなっちゃった〜」とか、そういうのを歌ってみたいです。でも、期待されているのは、そうじゃないから……。
工藤: あと、浪曲……かな。私、あんまり「節」はまわらないんですけど……。実は、(所属するレコード会社)「徳間ジャパン」が 50周年記念の時に、いろんなジャンルから 1人ずつ選抜されて「浪曲」をテーマに何か披露するっていうイベント(2015年2月「浪曲新波 U-50」)があったんですけど、私は、弦(哲也)先生が書き下ろしてくださった『鶴の恩返し』っていうのを歌ったんです。浪曲が入ってたり、歌もあってセリフもあってっていう……、それをまたやりたいですね。
ーー 歌謡浪曲みたいなものだろうか?
工藤: ですね。あんまり……、私が歌うことによって軽くなっちゃうっていうか、重みはないと思うんですけど、何か私なりの良さが出ればいいなって思います。なんか、本当、絵本を読んでるような、小説を読んでるような、そんな楽曲をやりたいですね。その……、女優業とかにも転身できるように、長いセリフは覚えたいなと思ってます(笑)。女優、やってみたいです。ただ、セリフを覚えるのが全然苦手で……(笑)。
ーー 女優のほかに、今後、やってみたことを聞いてみた。
工藤: やっぱり、「メンタル・ケア・アドバイザー」の資格を取りたいですよね。あと、今年も「花笠」に出たいですね。もっと団体を大きくして出たいなとか……。あとは、そうですね……、「路上ライブ」をやりたいし……、あと、なんだろう……、海外で歌いたい、日本の音楽を伝えたい。
工藤: それと、現実的なところで言うと、やっぱり、今まで出たことない番組は全部出たい。年始の 1月4日に伍代夏子さんの NHK の番組(「らじるラボ」)に出させてもらって、新人の人たちが集まって、2分 PRタイムっていうのがあったんですけど、「紅白も出たいです」「NHKさんのラジオ番組、テレビ番組、全部出たいです」って時間ギチギチに言ってきたので……(笑)、それを1個でも叶えたいです。あと、バラエティーにも出たい。体当たり系やりたいです。
ーー 最後に、どんな歌手になっていきたいのかを聞いた。
工藤: あ〜、そうだなぁ……、「あやのちゃんの歌を聞きたい」って思ってくださった方に、寄り添った歌手になりたいなって思います。なんか、「歌、聴いてください!」って言って歌うってよりかは、ひとりでも「聴きたい!」って言ってくれる人がいるんだったら「そこに行って歌を届けたい」って思いがすごくあって……。みんなと近い存在なんだけど、ちゃんと有名な番組とかも出て、実績を残していけたらなって思います。「あの人に会いたい」って言われるような歌手になりたいです。
(取材日:2023年2月6日 / 取材・文:西山 寧)
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みちのく娘!(工藤あやの)ロングインタビュー 第2弾(2021年)MUSIC GUIDE
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