インタビューの最後に、読者プレゼントあり!
Ichikawa Yukino
市川 由紀乃
New Single『 都わすれ 』
★ 1993年、高校在学中の17歳の時に歌手デビューした紅白出場歌手!
★ 2019年、日本レコード大賞「最優秀歌唱賞」受賞!
★ 歌唱力が際立つ、切なさの中に希望のあるマイナー調の王道演歌『都わすれ』!
★ 吉本新喜劇 川畑泰史との心地よいデュエット曲『運命と呼ばせて』も収録!
★ 2月には、夢だった 吉本新喜劇とのコラボ公演が実現!
★ その凛とした歌唱のイメージとは違う意外な素顔 … 叶った夢とは…!
リリース情報
市川由紀乃「都わすれ」
シングル CD
2022年2月2日 発売
KICM-31049
¥1,400
KING RECORDS
<収録曲>
1 都わすれ (作詞:吉田旺、作曲:幸耕平、編曲:佐藤和豊)
2 かげろう橋 (作詞:石原信一、作曲:幸耕平、編曲:南郷達也)
3 都わすれ (オリジナルカラオケ)
4 都わすれ (一般用カラオケ半音下げ)
5 かげろう橋 (オリジナルカラオケ)
6 かげろう橋 (一般用カラオケ半音下げ)
市川由紀乃「都わすれ」【由紀乃の夢盤】
シングル CD
2022年2月2日 発売
KICM-31050
¥1,400
KING RECORDS
<収録曲>
1 都わすれ (作詞:吉田旺、作曲:幸耕平、編曲:佐藤和豊)
2 運命と呼ばせて [市川由紀乃・川畑泰史](作詞:及川眠子、作曲:幸耕平、編曲:佐藤和豊)
3 都わすれ (オリジナルカラオケ)
4 運命と呼ばせて (オリジナルカラオケ)
5 運命と呼ばせて (男性用カラオケ)
6 運命と呼ばせて (女性用カラオケ)
いろいろわかる… 市川由紀乃 ロングインタビュー! 第1弾(2021年)
市川由紀乃 ロング インタビュー 第2弾
市川由紀乃は、本当に歌がうまいと思う。もちろん、歌手なのだから「うまい」のは当然だが、それでも、自身のオリジナル曲もカバー曲も、それも、演歌だけでなくポップスでも歌謡曲でも、何を歌っていても「うまいなぁ〜」と思ってしまう。
技術的にうまいからそう思うのではなく、声の良さと、そのやわらかい響き、明るい言葉のトーンで、その曲の良さが伝わってくるからだと思う。素直で嫌味がないから、歌われている言葉の裏にある気持ちまで伝わってくる。そういう意味では、若手女性歌手の中では圧倒的だと思う。それは、2度の「NHK 紅白歌合戦」出場に、2019年には『雪恋華』で「日本レコード大賞」の「最優秀歌唱賞」を受賞していることでも証明されている。
歌手の役割は、まず、言葉を出すことができる唯一の楽器である声を使い、歌詞とメロディを音として再生することだ。その楽曲本来の良さを聴き手に伝え、聴く人を感動させなければならない。しかし、ただ単に声が良いとか、正確に歌えるとか、技術的にうまければ感動するというわけでもない。
市川由紀乃は、そういう「伝わる歌」が歌える歌手だ。
1993年、高校在学中の17歳の時にシングル『おんなの祭り』で歌手デビュー。市川の芸名は、デビューの時に恩師である作曲家・市川昭介からもらった。『アンコ椿は恋の花』『涙の連絡船』『好きになった人』『大阪しぐれ』『さよなら海峡』など、都はるみの多くのヒット曲や、島倉千代子『恋しているんだもん』、水前寺清子『涙を抱いた渡り鳥』、五木ひろし『細雪』、大川栄策『さざんかの宿』、森昌子や松原のぶえが歌った『なみだの桟橋』などで知られる昭和の大作曲家だ。
しかし、デビューしてからの歌手人生は決して順風満帆ではなく、デビューから9年目、26歳の時に、一度、完全に引退している。老舗の天ぷら専門店で働いた後、4年半後の 2006年に歌手に復帰するが、それでも、すぐに売れたわけではなく、2015年の『命咲かせて』と、翌2016年、通算26枚目のシングル『心かさねて』のヒットで、デビューしてから実に23年もの月日を経て、念願の紅白に初出場。ようやく人気歌手の仲間入りを果たした。
今年、2022年2月2日には、通算33作目となる最新シングル『都わすれ』が、「通常盤」と「由紀乃の夢盤」の 2形態で発売となった。
表題曲の『都わすれ』は、マイナー調のドラマチックな王道演歌で、市川由紀乃のやさしくも凛とした歌声で、一途な思いが心に響くいい歌だ。通常盤のカップリング『かげろう橋』は、マイナー調のゆったりした歌謡曲で、やさしく語るような歌唱が印象的な曲。
そして、今年 2月に行われた「大阪新歌舞伎座」での座長公演を記念したコラボ盤「由紀乃の夢盤」のカップリングには、座長公演の第1部で共演している 吉本新喜劇の川畑泰史とのデュエット曲『運命と呼ばせて』が収録されている。マイナー調でテンポのいい「これぞ!デュエットソング!」と思わせてくれる曲で、サビのリズムとハーモニーが心地よい。川畑泰史のクセのない素直な歌唱との相性もいい。
関東では、川畑泰史という名前を聞いてもピンとこない人が多いと思うが、関西では、誰もが知る吉本新喜劇の人気座長だ。1962年(昭和37年)から、毎週、土曜の昼過ぎにテレビ番組として放送されている『よしもと新喜劇』(MBS 毎日放送)は、『探偵!ナイトスクープ』(ABC 朝日放送)と同じく、関西では 見たことがないという人はいないだろう。
もともと、市川由紀乃は、以前から吉本新喜劇の大ファンで、ずっと、毎週、録画して見ているくらいだ(関東では「TOKYO MX TV」「TVK」で放送)。その静かで落ち着いた見掛けによらず、ステージでは吉本新喜劇のギャグもやったりするほどだ。
2月に行われた「大阪新歌舞伎座」での座長公演『市川由紀乃 特別公演』は、その市川由紀乃の「吉本新喜劇好き」を知っていたマネージャーが話を持ちかけ、第1部の芝居では、吉本新喜劇から川畑泰史のほか、大人気の吉田裕、浅香あき恵らも出演した。また、第2部の歌唱ショーでは、川畑泰史とのデュエット曲『運命と呼ばせて』も披露され、大喝采を浴びた。
夢が叶った瞬間だった。
<もくじ>
1 最新曲『都わすれ』は詞にこだわった作品 〜「歌い手になって初めての自分のわがまま…」〜
2 通常盤のカップリング曲『かげろう橋』 〜「その先を歌わせてもらえなくて…」〜
3 夢が叶った川畑泰史とのデュエット曲『運命と呼ばせて』 〜「独り言のように言ったら…」〜
4 吉本新喜劇とコラボした大阪新歌舞伎座での座長公演 〜「毎日、変わるんですよ、芝居が…」〜
5 座長公演 第2部の歌謡ショーでは シャンソンも 〜「歌っていきたいって思いましたね…」〜
6 心を落ち着かせる呪文 〜「自分自身にイライラしてしまったりとか…」〜
7 がんばれる原動力は母のチカラ 〜「楽しめることを増やしてあげたいし…」〜
1 最新曲『都わすれ』は詞にこだわった 〜「歌い手になって初めての自分のわがまま…」〜
2022年2月2日に発売された、通算33枚目となる最新シングル『都わすれ』。表題曲『都わすれ』の作曲は、代表曲の『命咲かせて』や『心かさねて』『雪恋華』(いずれも作詞は石原信一)などを含め、2013年の『流氷波止場』以来、市川由紀乃のシングル曲をほぼ全て書いている作曲家・幸 耕平(みゆき こうへい)。
作詞は、2020年の「第53回 日本作詩大賞」大賞受賞曲にもなった市川由紀乃の『なごり歌』を書いた 吉田 旺。『喝采』『冬隣』『紅とんぼ』『雨に濡れた慕情』など、ちあきなおみ の代表曲の多くや、 内山田洋とクール・ファイブの『東京砂漠』、森昌子の『立待岬』などでも知られる作詞家だ。
幸 耕平、吉田 旺 のコンビは、2020年の『なごり歌』、そして、前作、2021年の『秘桜』から、連続 3作目となる。
『都わすれ』(作詞:吉田旺、作曲:幸耕平、編曲:佐藤和豊)は、マイナー調のドラマチックな王道演歌で、市川由紀乃のやさしくも凛とした歌声で、一途な思いが心に響く。ただ、これまでの市川由紀乃多くの曲とは違い、悲恋の歌ではなく、「都落ち」するようなシーンの中でも、愛する人と一生を添い遂げる覚悟と希望が歌われている。
市川: そうですね〜。実は、曲先行だったんですね。で、曲を先に聴いていて……、幸(耕平)先生って、独特のメロディ展開と言うか……、聴いたら「これは幸(耕平)先生の曲だな」っていう香りがするフレーズがあって、そこがすごく好きなんです。それで、吉田(旺)先生に詞をお願いしていただいてるっていうお話を聞いて、吉田(旺)先生もやっぱり体調のこととかいろいろあったので、「ここまでにレコーディングをしておかないと、発売が2月に間に合わない!」みたいなこともあって……。
市川: それで、だんだん締切が近づいてくると、「他の作家の先生で……」っていう話もあったんですけど、たぶん……、歌い手になって初めての自分のわがままなのか、「絶対に吉田(旺)先生にお願いしたいので、ギリギリまで待ってもらえないですか?」ってお願いしたんです。それで、吉田(旺)先生も、そのギリギリのところで仕上げてきてくださって、詞を読んだときに、「あ〜……、やっぱり吉田先生だ……」って思って……。(作曲の)幸(耕平)先生も「やっぱり吉田(旺)先生にお願いして良かった」っておっしゃってくださって。
サビの「♪あなた あなた この手を離しちゃいやですよ」が耳に残るが、2コーラス目の Aメロ「♪なんにもいいこと なかったけれど ふたり出逢えた 幸せだけは」も、市川由紀乃の歌声でグッとくるところだ。『都わすれ』は、歌詞を見なくても、聴いていて言葉がちゃんと伝わるように、メロディが出来ている。というか、言葉が音として耳にしてキチンと伝わるように、吉田 旺 が見事な歌詞を乗せている。超一流の作詞家は、メロディの理解度も違う。そして、それを、市川由紀乃は、喋るように、語るように歌っている。
市川: あの……、やっぱり、メロディと詞がピタッと合っているところが、私もすごく感じてます。100%幸せな歌ではないってところが、また、私は好きで……、「幸せに向かってはいくんだけど、いろんなことがあったけど、あなたに出会えたことが一番の幸せ」っていう、何かそういう温かさを吉田(旺)先生の詞からも感じて……。
メロディのリズムや動きを考え、言葉が訛ったりしないように乗せられた歌詞だ。しかも、「都わすれ」という花があることを知っていて、それをうまくかけて、「都落ち」ではないけれど、そういう設定にしたところも見事だし、サビの最後の最も印象的なメロディに、1番では「あなた この手を 離しちゃいやですよ」、2番では「あなた 私を 離しちゃいやですよ」、そして、3番では「あなた 一生 離しちゃいやですよ」という言葉を乗せている。
市川: そうなんですよ〜、うまいですよね〜。でも、歌ってみると、結構、難しくて……。でも、歌えば歌うほど、自分の中での愛着というか、愛情がどんどん増えていくというか……。
歌っていて気持ちが入りそうな曲だ。
市川: 入りますね〜。実際、あの……、去年の「作詩大賞」のあと、アレンジが完成した時に、(吉田旺)先生とお電話でお話ができたんですよ。その時に、吉田(旺)先生が「微笑んで歌ってほしい」っておっしゃってくださったんです。その……「満面の笑みではなく、今回は、ちょっと微笑んで最後のところを歌って欲しい」っていうアドバイスをいただいて、そこは、すごく自分の中で、一番心がけましたね。
マイナー調の曲でも、言葉の響きが明るいから、歌詞が伝わってくる。
2 通常盤のカップリング曲『かげろう橋』 〜「その先を歌わせてもらえなくて…」〜
最新シングル『都わすれ』は、「オリコン週間演歌・歌謡シングルランキング」で、発売初週 2位を 獲得し、J-POP なども含めた「オリコン週間シングルランキング」でも 7位にランクインを果たす好スタートを切った。
市川: ありがたいですね……。お客様は、やっぱり……『秘桜』『なごり歌』、その前の『雪恋華』と、ちょっとドラマティックな歌が続いていたので、ファンの皆様からしたら、久しぶりの王道的な演歌というか……。そういう意味では、すごく今回の歌は、受け入れていただいてるのかなっていうのは……、やっぱり生で歌ったときに、お客様の拍手とかで感じられますね。
通常盤のカップリング曲『かげろう橋』(作詞:石原信一、作曲:幸耕平、編曲:南郷達也)は、マイナー調のゆったりした歌謡曲で、やさしく語るような歌唱が印象的な曲。サビの「♪つかのま咲いて 春が 花散るように ゆくの」が耳に残る。カップリングにするにはもったいないくらいの曲だ。
市川: ありがとうございます。
不倫の歌なのだが、2コーラス目の Aメロの「ガラスの理屈が 砕けたの」という歌詞には、思わず唸ってしまった。「頭では、そうしまいと思っていたのに、でも、そうなっちゃうのが人間だよ……」と言われているようだ。
市川: あっ、私も、そこがすごい残りました。もう久しぶりに石原(信一)先生の歌をいただけたので、やっぱり、石原(信一)先生の詞の世界観というのが、またすごく感じられて……。
市川: この歌も、レコーディングは、結構、時間かかっちゃったんですけど……。どうしても、日頃から演歌を歌ってると、「軽く歌う」とか「言葉を置く」とか、そういうところがどうしても……。幸(耕平)先生から、「喋るように」とか「ささやくように」とか、そこをすごく先生からアドバイスをいただいて……、歌ってたらもう途中で止められて「もう1回最初から!」とか……(笑)。
気持ちよく歌える作品だけに、どうしても、気持ちが入ってしまい、自然と歌い上げてしまうようだ。
市川: なんか……、その世界に入ってっちゃうと、自分で気持ちよくなってっちゃうんですよね、歌ってると。でも、先生には、もう「由紀乃が気持ちよくなるんじゃなくて、聴いてる人を気持ちよくさせる歌を歌わなきゃいけないから、それそうい歌い方は駄目だ」って言われて、自分で「あ、今、気持ちよく歌えてる〜」って思ったら、もう、その先を歌わせてもらえなくて(笑)。そこで、もう1回りセットして「もう1回最初から!」って、何回も何回も……(笑)。それで時間かかっちゃいました。
歌手が感情を入れすぎてしまうと、歌手は気持ちいいかもしれないが、聴く人にとっては、必ずしもそうではないこともある。聴き手の感情の入る余地がなくなってしまうからだ。
市川: で、よく、レコーディングの時、前奏って「途中から出します〜」ってなるんですけど、それがイヤなので、毎回「アタマから出して下さい」ってお願いして……。そうすると、その世界観にやっぱりきちんと自分も入っていけるので。それは、最近のレコーディングで、全てお願いしてることですね。
歌録りで、何回も歌い直す場合、長いイントロを最初から全部聴いたりはせず、「歌い出し 4小節前から」とか流すのが普通だが、それがイヤだということだ。時間はかかっても、イントロも最初から全て聴いて歌に入りたいということだろう。
市川: そうなんです。だから「ちょっと前から出します〜」は、「ごめんなさい、すいません、頭からお願いします」っていう……。
3 夢が叶った川畑泰史とのデュエット曲『運命と呼ばせて』 〜「独り言のように言ったら…」〜
「通常盤」と同時に発売された「由紀乃の夢盤」は、2月に「大阪新歌舞伎座」で開催された座長公演『市川由紀乃 特別公演』を記念したコラボ盤で、カップリングには、座長公演の第一部で共演している 吉本新喜劇の人気座長、川畑泰史とのデュエット曲『運命と呼ばせて』が収録されている。
マイナー調でテンポのいい「これぞ!デュエットソング!」と思わせてくれるいい歌で、サビのリズムとハーモニーが心地よい。川畑泰史とのデュエットということで、歌詞も大阪が舞台になっている。川畑泰史のクセのない素直な歌唱との相性も良く、2月の座長公演 第2部の歌唱ショーでは、このデュエット曲も披露され、大喝采を浴びた。最初に「大阪新歌舞伎座」での座長公演が決まっていて、そこから生まれたデュエット企画だ。
市川: あの……「新歌舞伎座の公演で、喜劇をやりたい」って言ったのは自分で、その「喜劇をやりたい」っていう話を、マネージャーさんが「だったら、大阪だから吉本新喜劇の皆さんとコラボできないか」って、吉本新喜劇さんにお願いしに行ってくれたんですね。もう、ホントにありがたいです……。
もともと、市川由紀乃は「吉本新喜劇」が大好きで、毎週、録画して見ているほどだ。それを知っていたマネージャーが吉本新喜劇と話をつけてきてくれた。出来るマネージャーは違う。マネージャーのことを単なる付き人だと思っている人も少なくないが、マネージャーとは、本来、仕事を作ってくるのが仕事だ。
市川: それで、デュエットの話は……、最初、吉本新喜劇さんから、川畑(泰史)さんと、吉田(裕)さんのお二人は(芝居で)出演していただけるっていう話をお聞きしてて、それで、川畑(泰史)さんが YouTube とかでギターで弾き語りをしていたりするのを知っていたので、「川畑(泰史)さんは、例えば、ご一緒に歌っていただけるなんてことはできないんですかね〜」って、独り言のように言ったら(笑)、それをまたマネージャさんが、吉本さんにお話ししてくれて、吉本新喜劇さんも「ぜひ!」っておっしゃってくださって、デュエットができたんです。で、今回、2部の歌謡ショーにも出ていただけることになったんです。
吉本新喜劇の人気座長の川畑泰史、リーダーで人気者の吉田裕の二人が市川由紀乃の座長公演に出演するということは、関東ではピンとこないかもしれないが、関西では、すごいことだ。もちろん、関東でも、吉本新喜劇の人情喜劇を解する人はいるが、1962年(昭和37年)から、毎週、土曜の昼過ぎにテレビ放送されている『よしもと新喜劇』(MBS 毎日放送)は、『探偵!ナイトスクープ』(ABC 朝日放送)と同じく、関西では 見たことがないという人はいないくらい人気だ。
そして、川畑泰史とのデュエット曲『運命と呼ばせて』が発売されることになったことで、座長公演 第1部の芝居(喜劇)だけでなく、2部の歌謡ショーにも川畑泰史が出演し、ソロ、デュエット含め 毎日、3曲を披露した。川畑泰史は、昔、バンドでボーカルを担当していたこともあり、歌には定評がある。この『運命と呼ばせて』でも、素人にありがちなヘンなチカラが入っておらず、やわらかく明るい響きで歌っているから、市川由紀乃とのハーモニーも心地よく耳に残る。
市川: はい、川畑(泰史)さんは、すごいお上手です。
『運命と呼ばせて』は、もともと、「川畑泰史とのデュエット曲」として、幸 耕平 が作った曲で、「聴いてよし、歌ってもよし」のデュエット曲になっている。どこか、ヒデとロザンナの『愛の奇跡』と似た雰囲気のある曲だ。
市川: はい、まさしくです……。幸(耕平)先生に「どういう歌がいい?」って言われた時に、私が『愛の奇跡』って言ったんです……(笑)。で、「最初に男性から始まって、次が女性、サビは一緒」っていうのがイヤで、最初からデュエット感を……「最初から男女で歌いたい」っていうのがあったんです。最近、あんまりそういう歌がないので、やっぱり「男性から入る……」とかっていうのが多いので、「そういうふうにしたいです」っていうのを、ありがたいことに、幸(耕平)先生が全部取り入れてくださって……。
こういうポップス調でリズムのある歌は、また、一層、市川由紀乃の歌のうまさを感じさせる。サビのあとの「♪抱きしめて」の「て」の丁寧で絶妙な置き方、響かせ方などは見事だ。
市川: え〜、ホントですか〜、ありがとうございます、うれしいです……。
こういうデュエット曲をレコーディングする場合、二人が一緒に歌わず、別の日にそれぞれの歌を録ったりすることもあるが、今回、ちゃんと、二人で一緒に並んで歌録りをすることができた。
市川: レコーディングは、(川畑が大阪在住なので)大阪でやらせていただいたんです。最初、リモートというか、最初に自分が吹きこんでっていう予定ではあったんですけど、一緒に歌ってレコーディングができたんです。一緒に歌う時には、目と目を合わせてっていう感じで出来たので、よかったです。別録りはイヤですね〜、やっぱり一緒に歌いたいですね……。で、その時、初めて「声を合わせる」っていう日だったんですけど……、でも、そんなに歌わなかったですね。もう 3〜4回 歌ったら、ディレクターさんも「OKです」みたいな感じで。
『運命と呼ばせて』は、座長公演 第2部の歌唱ショーで披露された。
市川: とにかく、お客さまは、みなさん、とにかく喜んでいただいて……(笑)。
それはそうだろう。座長公演を見に来ている関西在住の市川由紀乃ファンにとっては、この川畑泰史とのデュエットは、たまらない。
4 吉本新喜劇とコラボした大阪新歌舞伎座での座長公演 〜「毎日、変わるんですよ、芝居が…」〜
その「大阪新歌舞伎座」での座長公演『市川由紀乃 特別公演』は、今年、2022年2月5日〜14日の10日間にわたり 全14公演が開催された。約60分のお芝居と、休憩をはさみ、約90分の歌謡ショーという 2部構成。
第1部の芝居は『娘の夢は母の夢』と題された人情喜劇で、大阪のとある商店街が舞台。歌手を目指して定食屋で働く主人公の京歌(市川由紀乃)のまわりをかためる出演者には、定食店の主人役、クリーニング店主役、京歌の母 よしみ役で、それぞれ、吉本新喜劇から 川畑泰史、吉田裕、浅香あき恵の 3人が客演という豪華なもの。しかし、休みなしの 10日間、14公演は、さぞ大変だっただろう。
市川: めちゃめちゃ楽しかったです……、はい。今、何か、いわゆる……「新歌舞伎座ロス」です……、あははは(笑)。
市川: でも、毎回、いい意味での緊張感があって、あの……、毎日、変わるんですよ、芝居が。演出家の先生が「ここはカットします」とか、「由紀乃さん、あしたはココに、このセリフを入れてください」とか。それとか、動きが今までハケていた(退場していた)のを、「やっぱ残ってください」とか……。実際、演出家の先生も客席でお客様の反応を見て、それで、日々変わって……、日々、開始10分前に緞帳裏で、そこの訂正した部分また場当たり(動きのリハーサル)するんですよ。「新喜劇ってやっぱりすごい」って思いました。
市川: だから、日々、そのお客様の感じを演出家の先生が受け取って、「ここでこれをこれを入れましょう」とかってするんです。島田一の介さん(吉本新喜劇の人気者)が客席に見に来てくださった時は……、「一の介さんのギャグをぶっこみましょう」ってなって、「じゃあ、このセリフからぶっこみますから、そこの場当たりをしましょう」ってなって、(本番の)10分前くらいに「みんな集合!」って言って、マスクつけた状態で、そこを場当たり 2回ぐらいして、もう本番って……。一の介さんのほかにも、あと、(吉本新喜劇の)めだかさん(池乃めだか)も、藍ちゃん(酒井藍)も見に来てくださったんですよ〜。
この芝居の脚本と演出は、普段、吉本新喜劇を書いている構成作家によるものなので、つまりは、まるで吉本新喜劇をそのままやっているようなものだ。
市川: そうですね〜。大変だったのが、台本の第1稿が送られてきたのが……、え〜っと〜、顔合わせの1週間前で……、で、その第1稿が 80%くらい変わったのが、顔合わせ 5日前だったんですよ(笑)。登場人物も変わったり、本当は「自分は田舎に帰りたくない」って言っていたのが、今度は「田舎に帰る」っていう流れになったり……。そこは、演出家の先生と、今回、川畑(泰史)さんも、構成、演出で入ってくださってたんです。
まさに、吉本新喜劇の座長の役割だ。
市川: そうです。それで、いろんなことが変わっていったので、もう立ち稽古から、皆さん台本を持ちながら、あの動きをしましたね。
今回、稽古は 10日間やった。
市川: いや〜、もう、だから新喜劇は、ほとんど稽古されないって聞いてたんで……。
吉本新喜劇は、週替わりで、毎週火曜日から新しい演目に変わるが、稽古は、月曜の夜に2回、火曜の朝に1回するだけらしい。
市川: すごいですよね〜。だから、こういうふうに(10日間も稽古して)お芝居をするのは、新喜劇の皆さん、初めてだっておっしゃってましたね〜。でも、私自身が……、それこそ、前に何回か(座長公演で芝居を)やらせていただいたときは、もうちょっと稽古の期間があって、台本ももっと早くいただけたりはしたんですけど……(笑)、やっぱり新喜劇は、皆さんすごいな〜って思いました。
『娘の夢は母の夢』と題された今回の芝居は、市川由紀乃の母親がお笑い好きで、お笑いを目指していたことをアイディアの元にして、芝居の脚本ができたようだ。
市川: そうですね……、そういう部分もちょっと取り入れてくださって。ウチの母は……、そうなんです、(母は)漫才がやりたかったんですよ〜。母は、こういう華やかな世界がすごく好きで……、なんか「さんきゅう・てるよ」さん(春日三球・照代)っていうお二人がいらっしゃって、で、女性の方が亡くなられて相方を募集されてて、母は真剣にそこに応募しようと……。で、そんな矢先、私が、スカウトしていただいて「歌手になる」ってなったので……、高校生くらいの時ですね。それまで、全く何もやってなかったんですけどね(笑)、普通にパートですね(笑)はい。
『娘の夢は母の夢』は、吉本新喜劇のように、笑いがあって、最後にはホロリとさせる人情喜劇だった。そして、母親も大阪まで見に来た。
市川: はい、2回、来てくれました。なんか、泣いてたみたいですけど……。でも「面白かった」って言ってくれました。
母親も、さぞ嬉しかっただろうと思う。しかし、「絶対に休めない10日間」だっただけに、体調管理にはさぞ気を使ったのだろうと想像できる。
市川: やっぱり、そうですね……、気をつけました、はい。ほぼ、外で食事することはもうなかったですし、規則正しい生活と……、やっぱノド痛めちゃうのがイヤだったので。
1日2回公演が 2日間 続いた時もあった。
市川: その日が一番きつかったですね〜。
逆に、1日1回、昼公演しかなかった日はどうしていたのだろう?
市川: その日は、ちょっとした反省会をして、あと、第2部の(歌謡ショーでの)川畑さんとのコラボレーションの曲も、日替わりで変えてたので、終演後にバンドさんと川畑(泰史)さんと私とで残って、音合わせみたくしたりとか……。あと早く終わったら、もうそれこそ、そのままホテルに戻って、その日の動画を自分で見て……、っていう感じですね。
芝居では、ハプニングもあった。
市川: 一度ありました〜(笑)。私がセリフをかんでしまって……。一番そこが、ひと息でガーって言うとこなんですけど「何言ってるんだかわかんない」みたいになってしまって……(笑)。新喜劇の作家の先生によると、新喜劇では「噛み散らし(かみちらし)」って言うらしいんですけど……。で、私が噛み散らしたことで、皆さんも、噛み散らしてくださったんです(笑)。
市川: で、終わったあとに、作家の先生が来て、「もし、あした噛んでしまったら、"ストップ〜!巻き戻し〜!" って言ってやり直してください」って言われて、「そしたら、それに応じて、皆さんも合わせてくれますから」って。
さすが 50年以上の歴史を持つ吉本新喜劇だ。そういうミスも笑いに変えるアイディアをちゃんと持っている。
実は、市川由紀乃は、今年 2月の「大阪新歌舞伎座」座長公演の前、1月5日に、本家「なんばグランド花月」で行われた吉本新喜劇のステージにも立っている。すっちーと川畑泰史の2座長が揃い踏みした『すち子の、失われたパスワード』という吉本新喜劇の本公演にサプライズゲストとして出演した。
出演した際、ヒット曲『命咲かせて』の一節をアカペラで披露したほか、大阪新歌舞伎座での『市川由紀乃 特別公演』を PR し、川畑泰史座長とのデュエット曲を収録したCDが発売されることも発表した。
市川: はい、今年の初仕事が……(笑)、なんばグランド花月にお邪魔しました。いいお話の回でしたね〜。
5 座長公演 第2部の歌謡ショーでは シャンソンも 〜「歌っていきたいって思いましたね…」〜
その座長公演では、なんと、同じく吉本新喜劇の人気座長 すっちー(すち子)と吉田裕がやっているギャグ「乳首ドリル」(「ドリルすんのかいせんのかい」)まで、市川由紀乃はやった。
市川: はい、やらせていただきました……、本物の棒で、あはははは……(笑)。
しかも、第1部の喜劇の芝居ではなく、第2部の歌謡ショーでやったようだ。
市川: はい、「乳首ドリル」は歌謡ショーで……(笑)。それはですね……、後半の5日間は、事務所の後輩の青山新くんが今回出てくれたんですけど、「セリから登場するっていうのが夢です」って言ってたので、「じゃ、せっかくだから、その夢叶えてあげよう」ってなったんです。でも、時間がないから「じゃもう、ココ(セリに)乗って下がって上がってきて」って川畑(泰史)さんが言ってくださったんです。
市川: で、「青山くんが下がります、で、今度は吉田さんが出てきます」って、そのアイディアを出してくださったのが川畑さんで、それで吉田さんもバレないように顔が見えないように出てきて、歌おうと思ったら「違うやないか〜い!」って言って私が入って行って、「待て 待て 待て〜」って言って(吉田裕を)脱がして、でも、川畑さんが(乳首ドリルを)を出来ないっていう設定で、(吉田裕に)「どうしてくれるん!」って言われて、「じゃあ、ちょっと由紀乃さんやってくださいよ〜」って言われて、「出来ますか?!私が!」って言って、やる……(笑)、っていうのを、後半の5日間やらさせていただきました……、ははははは(笑)。
この通称「乳首ドリル」(「ドリルすんのかいせんのかい」)は、関西ではテレビCMでも使われていたりもしたこともあって、知らない人はいない。さぞウケたことだろう。
市川: はい、楽しかったです……、あはははは……(笑)。
そして、この歌謡ショーには、第1部の芝居に引き続き、川畑泰史が登場するコーナーがあり、川畑泰史がギターの弾き語りで「バンバン」の『「いちご白書」をもう一度』を歌い、『都わすれ』のカップリング曲『運命と呼ばせて』をデュエット、さらに、もう1曲、日替わりで、アン・ルイスの『グッド・バイ・マイ・ラブ』などをデュエットした。
市川: そうですね。『グッド・バイ・マイ・ラブ』(アン・ルイス)と『ラヴ・イズ・オーヴァー』(欧陽菲菲)と、あと『春よ、来い』(松任谷由実)を、川畑(泰史)さんのギターだけで、デュエットさせていただきました……。その3曲が、女性のキーのままで、川畑(泰史)さんが歌えるっていう曲だったので……、川畑(泰史)さんが出してくださって。
さらに、今回、歌謡ショーではシャンソンも歌った。
市川: 今回、舞台をいろいろとやってくださってるスタッフの方々が、「シャンソンの世界に、ぜひともチャレンジしてほしい」っていうことを以前からおっしゃってくださってて、でも、まだ年齢的にも、やっぱ諸先輩方がやられてる、歌われてるイメージがあるので、「まだ私は……」って思ってたんですけど、でも、「今の市川由紀乃が歌うシャンソンでいいんじゃない?」っていうお話いただいて、やっぱり、今回、いろんなことに挑戦している姿を見ていただきたかったので……。
今回の座長公演のテーマでもある「挑戦」のひとつだ。
市川: はい、そうですね。なので、今回、オープニングからシャンソンで……、『ろくでなし』『ラストダンスは私に』と『愛の讃歌』の 3曲を歌わせていただきました。
誰もが耳にしたことのある有名な 3曲だけに、プレッシャーもあっただろう。
市川: でも、楽しかったです(笑)。難しいですけど、ちょっと、こう違った世界観なので、あの〜、面白かったですね。歌っていきたいって思いましたね……、まだまだですけど……。
6 心を落ち着かせる呪文 〜「自分自身にイライラしてしまったりとか…」〜
市川由紀乃くらいになると、自分の歌だけでなく、番組やコンサート、イベントなどで、実に様々なジャンルのカバー曲を歌わなければならないことも多い。現在、地上波のテレビでは、音楽番組は『うたコン』や『洋子の演歌一直線』くらいだが、BS では、NHK BSプレミアムの『新・BS日本のうた』や『はやウタ』、BS日テレ『歌謡プレミアム』、BS朝日『人生、歌がある』、BS-TBS『昭和歌謡ベストテン DX』、BSフジ『昭和歌謡パレード』、BSテレ東『徳光和夫の名曲にっぽん』『サブちゃんと歌仲間』、BS11『八代亜紀 いい歌いい話』など、多くのレギュラー音楽番組がある。
人気歌手ともなると、それらの番組の収録が毎週のようにあるため、常に「覚えなければいけない曲」を抱えている。それも、ただ「覚えて歌えればいい」ということではダメで、もとの楽曲のイメージを崩さずに、自身の魅力を出しながら、視聴者を楽しませられなければいけないし、極端に言えば、「うまく歌えなければ、次は呼んでもらえないかもしれない」というプレッシャーもある。それだけに、プライベートで、純粋に楽しみで音楽を聴く時間もないという歌手もいる。
市川: 私は……、それこそ、川畑(泰史)さんの YouTube の弾き語り動画……(笑)を、とにかく聴いてますね……。
「こんなカバーを歌ってみたい」、あるいは、「オリジナルでこういう曲調の歌が歌いたい」というのを聞いてみた。
市川: あぁ〜、あの……フォークソングは、今回、歌ってみたいな〜ってすごく思って……。歌わせて頂けるかどうかはわからないですけど、番組とかでも歌ってみたいと思ってるんですけど……。
市川: それこそ、今回、川畑(泰史)さんの『「いちご白書」をもう一度』を聴いた時に、あらためて「いい歌だな〜」って思って、それで YouTube で、バンバンさんバージョンと、松任谷由実さんバージョンと聴いて……。もともとユーミンさんの曲が好きなので……、なんか、時代を感じるというか、時代背景を感じると言うか……。また、その曲が作られた年を調べると、自分が生まれた年だったりとか〜。「あっ、自分が生まれた時にはこういう歌が流行ってたんだ……」とか……、で、それから 46年経っても、いまだに色褪せずに……。そういう、自分が生まれた年に「どういう歌が流行ってたか」って、結構、振り返ったりすること多いですね。あと、やっぱり、グレープさん……、さだ(まさし)さんの世界とかも好きですね。
ところで、市川由紀乃について、ずっと前から気になっていたことがある。自身のブログで、毎回、最後は必ず「心穏やかに…。」という言葉で締めくくられている。何か、自分に言い聞かせているようにも感じる。いつも明るく、常に落ち着いていて穏やかな人に見えるが、「心穏やかでないこと」がよくあるのだろうか?
市川: はい……(笑)。ああ……、もう結構前から、その言葉で締めてるんですけど……。やっぱり、日々いろんなことがあって、今はとても自分が穏やかにお仕事させていただいていますけど、日々いろんな葛藤があって、それこそ自分自身にイライラしてしまったりとか……、過去には……。
以前は、そういう心乱れたりすることもあったようだ。イラッとしたりとか、心がささくれ立ってしまうから、そんな自分を戒める感じだったのだろう。
市川: ありますね……、やっぱ心乱れることも……。「今日はちゃんと歌えなかった」って思うこともありますし……。それって、やっぱり、いかに自分の中で集中できていないっていうか……、周りを気にしすぎたりとか……。でも、やっぱり「自分らしく」とか、そういう気持ちがどこかこう少しよそに行っちゃったときに、傷口がバーッてひろがっちゃうので、そういうときに自分でも「あ〜っ……」って……。帰りの車の中とか、もう、すごい落ち込んだりしたりとか、そういうときもありましたね〜。
市川: イライラしたり、例えば、自分が納得できないことがあっても、それをあんまり周りに言えないというか、言わないで自分でためておく……、それで「自分で自分自身に腹を立てる」っていうタイプなので……、悪循環ですね。
その悪循環を止めるための言葉のようだ。
市川: そうですね。何があっても、夜、布団に入って寝るときには、穏やかな気持ちで休んで、朝には穏やかな気持ちでリセットしてスタートしたいっていう……。そうですね……、言い聞かせるかのように、呪文のようにあの言葉で締めてます……(笑)。でも、最近は、なくなりましたね。なので、後悔しないように、ひたすら練習はするっていう……。
それでも、うまくいかないこともあるだろう。
市川: ありますね……。でも、切り替えますね。逆に「次回、こういうことがないようにしよう」とか……。
7 がんばれる原動力は母の存在 〜「楽しめることを増やしてあげたいし…」〜
これほど売れた今でも、市川由紀乃は、仕事に便利な東京の都心ではなく、埼玉県の越谷市に住んでいる。
もともと埼玉県出身だが、中学1年の時、両親が離婚したことをきっかけに、母親と障害のある7歳上の兄との3人で、越谷市に引っ越してきて、6畳一間のアパート暮らしとなったのが最初だ。その頃は、ホテルにあるような小さな冷蔵庫しか置けない台所、安いからと乾麺のうどんを毎日食べ、テニス部に所属していたがラケットは先輩からの借り物……という極貧生活だった。その後、高校受験の時に、もう少し広いマンションに引っ越すことが出来た。
おそらく、何十年もずっと長く越谷に住んでいる母のことを思い、不便でも、母親が長く住み慣れている土地を今でも離れないのだろう。
市川: あっ、それはありますね。やっぱり「親ひとり、子ひとり」なので、母といる時間はなるべく……。母は、「(市川由紀乃が)東京に出て行くなら、私は、ひとりでもココに住む」って言うので……、はい。お友達もいるし……、そうなんですよ〜。私は、(越谷で)いいんですけど、マネージャーさんとかに「本当に申し訳ない」って、日々、思いながら……。道も混むし……、「どうして埼玉ってこんなに道が混むんですか?」って言われるくらい……(笑)。だから、マネージャーさんとかには「申し訳ない」って思いながらも、でも、やっぱり、自分が頑張れてる一番の原動力は、母のチカラってすごくあって、母が健康で元気でいてくれるから……。
市川由紀乃は、1993年、高校在学中の17歳の時に、作曲家・市川昭介から市川の芸名をもらい、シングル『おんなの祭り』で歌手デビューしたものの、最初は思うようには売れず、デビューから9年目、26歳の時に、一度、完全に引退している。
老舗の天ぷら専門店で働いた後、4年半後の 2006年に歌手に復帰するが、それでも、すぐに売れたわけではなく、2015年の『命咲かせて』と、翌2016年、通算26枚目のシングル『心かさねて』のヒットで、デビューしてから実に23年もの月日を経て、念願の紅白に初出場。ようやく、人気歌手の仲間入りを果たせた。
そんな長い間、ずっと応援して支えてくれたのが、母であり、2008年に亡くなった障害を持っていた兄だった。初出場の「第67回 NHK紅白歌合戦」では、兄の遺品の中から見つかった「妹は歌手であって欲しい」という手紙を胸にしのばせ、母が客席から見守る中『心かさねて』を歌った。紅白で歌うことは、兄や母の夢でもあった。
市川: あの……、「母が(いつかは)いなくなる」ってことが、まだ想像つかないんですけど……。でも、兄がいた頃は、母が兄の面倒をずっと見てて、なかなか外にも出られなかったので……。今は、兄が先に旅立って 2人になって、今回、母がそれこそ 77歳にして初めてひとりで新幹線に乗って大阪に来たので、今まで友達と来てたので……、そうやって楽しめることを増やしてあげたいし、一緒にいられる時間はできるだけ一緒にいたいと思って。
今年、5月には、東京「明治座」での五木ひろしの座長公演『五木ひろし劇場』への出演が決まっているほか、水森かおりとのジョイントコンサートもスタートする。
最後に、今後、やってみたいことを聞いた。
市川: やってみたいこと……、それは、やっぱり「新喜劇 第2弾」! ははははは……(笑)。
今年の「大阪新歌舞伎座」座長公演が大好評だっただけに、「新喜劇 第2弾」は、また、すぐに実現できそうだ。
市川: そうですね〜……、やらせていただければ〜(笑)。
(取材日:2022年2月24日 / 取材・文:西山 寧)
※『市川由紀乃 特別公演』の写真は、所属事務所「芸映」提供。
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