一夜夢

こぼれ灯(び)淋しい 冬ざれは
男手酌の 路地裏のれん
枯れた人情(なさけ)の 恋唄聞けば
なぜか今夜は 胃の腑に沁みる
望郷(おもい)千里に 雪が舞う
窓にはらはら 一夜(ひとよ)夢

心に吹いた わびしさは
風の哭き笛 ふるさと囃子(ばやし)
湯気の向こうで 切なく揺れる
故郷(くに)のおふくろ 優しい笑顔
夕陽傾く 冬の空
明日(あす)へ誘(いざな)う 一夜(ひとよ)夢

男の背中(せな)を 押す夢は
酔いの狭間で 命火燃やす
深い人情(なさけ)に 寄り添いながら
生きる縁(よすが)の 出逢いの人生(みち)を
桜吹雪の 誠花(はな)が舞う
夜明けしらじら 一夜(ひとよ)夢
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