LIVE REPORT

Lonesome_Blue ライヴレポート

Lonesome_Blue ライヴレポート

【Lonesome_Blue ライヴレポート】 『Zero Gravity ~1st ワンマン LIVE~』 2023年2月11日 at Veats Shibuya

2023年02月11日@Veats Shibuya

撮影:大川晋児/取材:舟見佳子

2023.02.17

“観客の前でライヴ演奏をして、初めてバンドとしての第一歩が始まる”と、これまでのインタビューでメンバー全員が口を揃えていた姿が印象的だった。プログレッシブ(進歩的)なロックバンドというビジョンのもと、声優のキャリアを持つふたりとミュージシャンとして活躍してきたふたりが集結してスタートしたLonesome_Blue。昨年6月に5曲入りEP『First Utterance』でデビューし、同年12月には1stフルアルバム『Second To None』をリリースと、驚異的なスピードで活動を進めてきた彼女たちが、ついに待望の有観客ライヴを開催した。ちょうどイベントでの発声が解禁されたタイミングでの初有観客ライヴでもあり、観客にとってもメンバーにとっても忘れられないライヴとなったことだろう。

会場が暗くなりメンバーが登場すると、聴き覚えのあるスペーシーな電子音が響き渡った。オープニング曲は『First Utterance』収録の「Parallel World」、ドラマチックなライヴの幕開けだ。スピードも音数もパワーも、いきなりフルスロットルの演奏に、迎え撃つ観客のテンションも一瞬で急上昇。CDにも参加しているAyasa(Vn)をゲストに迎え、間奏では成美(Gu)との超絶バトルを繰り広げる。レコーディングではギターとバイオリンを別々に録ったとのことだったが、実際にこのふたりの絡みを生で聴ける日がくるとは胸熱だ。メンバーのビジュアルも『Second To None』のブックレットに使われている写真と同じ衣装、同じ楽器。音源を聴きながらこの日を心待ちにしていたファンにとっては、CDから抜け出してきた4人が目の前に立っているように感じたのではないだろうか。

“1stライヴは後にも先にもこの一日だけ。3年振りの声出しでやっとみなさんの声が聞けて嬉しいです”という野村麻衣子(Vo)の挨拶をはさみ、ライヴは順調に進んでいく。4人の演奏力も予想以上に高く、成美は愛器・kieselのヘッドレスギターでタッピングを軽やかにキメ、MIZUKI(Dr)は粒立ちのしっかりしたバスドラム連打のビートを叩き出す。腰を落とし、膝を軽く曲げてリズムを取りつつプレイする広瀬ゆうき(Ba)も堂に入った感じで、その存在感に感心させられた。MCタイムでは“MIZUKIちゃんのこのセッティング、カッコ良んですよ〜”という広瀬のリクエストに応えて、ドラムセット後方に立てたチャイナシンバルを使ったフィルをMIZUKIが披露するなど、ミュージシャンらしい遊びを交わす場面も。

音楽的なクオリティーが高いという意味では観客も負けておらず、例えば「Superhero」をはじめLonesome_Blueの楽曲には変拍子や展開など構成の変化が多いが、観客はフレーズに合わせて拳をあげたり手を揺らしたり、しっかり曲を覚えてきて楽しんでいる。音源を聴き込んで来ている精鋭揃いというのが伝わってくるのだ。

“次は私が初めて作詞した曲です。自分自身について書きたいと思いました。みんなつらいこと、悲しいことあると思います。それぞれ別の人生、考えていることや経験してきたことも違います。あなたの気持ちはあなただけのもの、私の気持ちも過ごした時間も、私だけのものだ...そう思います”という野村のMCに導かれて始まったのは「Mine」。真っ赤なライトの中、クールに歌う彼女は不思議な孤高を纏っているというかカリスマを漂わせていて、なるほど取材時に他の3人が言っていた“佇まいが中性的でカッコ良い”というのはこういうことかと納得した。

本編後半のMCでは、メンバーたちが今の気持ちを観客へ伝えた。

“ようやくライヴができたので、これからはバンバンやっていきたいです”(成美)
“でも、みんなが来てくれないと続けられないので...”(広瀬)

“私たちがステージに立ち続けられるように、今ここにいるみなさん、私たちを信じてまたライヴがあったら来てほしいですし、CDが出たら聴いてほしいです。そのぶん私たちも全力で頑張ります!”(野村)

そして、ラスト3曲は『Second To None』から「It's my time!」「Blind in The Chaos」とアッパーなナンバーを続けて投下。“オイ! オイ! オイ!”と歓声が飛ぶ中、野村が“全部出しきれますか? まだまだついてこれますか?”と煽り、その勢いのまま再びAyasaをフィーチャーし「Rising Up For Gloria」へ。めまぐるしいほど音数の多い刻みリフと、優美なバイオリンの生音とのコントラストが鮮やかで、迫力のある壮大な演奏に圧倒されながら本編は終了した。

昼公演アンコール曲は「Welcome To Heavenly Secret Base」だったそうだが、夜公演のアンコールでは「Total Eclipse(Long Version)」が演奏された。曲途中の間奏部分で野村がファンへの想いを語りかける。

“Lonesome_Blueは始まったばかりです。この先の未来に何があるかなんて私たちにも分からないですが、でも、今ここにいるあなたとこの先の未来を私は一緒に見たいです”。

その言葉に応え、一斉に拳をあげ、拍手を送る観客たち。彼女たちがずっと望んでいた景色は、まさにこれだろう。Lonesome_Blueというバンドのプロトタイプが生まれた現場に立ち会ったように感じた瞬間だった。

終演後のメンバーに“緊張した?”と尋ねたら“緊張しましたよ〜!”と即答が返ってきたが、“でも、楽しかった?”と続けて訊くと、全員がパッと顔を輝かせ“すっごく楽しかったです!”と清々しい笑顔で答えてくれた。メンバーも観客もスタッフも、誰もがLonesome_Blueというバンドの手応えと未来を実感したライヴとなったことと思う。

撮影:大川晋児/取材:舟見佳子

Lonesome_Blue

ロンサムブルー:声優としても活躍している野村麻衣子と広瀬ゆうき、ロックミュージシャンとして活動を続けている成美、MIZUKIからなる次世代型ハイブリッドガールズロックバンド。背景の異なるメンバーにより構成され、さまざまな要素をハイブリッドした他の何者でもない唯一無二のバンドを標榜している。2022年6月に1stEP『First Utterance』をリリース。

SET LIST 曲名をクリックすると歌詞が表示されます。試聴はライブ音源ではありません。

  1. 11

    <ENCORE>

  2. 12

    昼公演:Welcome To Heavenly Secret Base(Long Version)

  3. 13

    夜公演:Total Eclipse(Long Version)