LIVE REPORT

諏訪ななか ライヴレポート

諏訪ななか ライヴレポート

【諏訪ななか ライヴレポート】 『Nanaka Suwa 2ndLIVE ~LIVE FANTASIC*~』 2021年11月23日 at 立川ステージガーデン

2021年11月23日@

撮影:中原 幸/取材:一条皓太

2021.11.30

諏訪ななかが11月23日、東京・立川ステージガーデンにて『Nanaka Suwa 2ndLIVE ~LIVE FANTASIC*~』を開催した。諏訪はこの翌日に、“冬”をコンセプトにした2ndミニアルバム『Winter Cocktail』を発売。ライヴではファンへのひと足早いクリスマスプレゼントとして、その収録曲全てが先駆けて披露された。

そんなライヴの模様をひと言で表すならば、ご機嫌なすわわ(諏訪ななかの愛称)と過ごす“冬の日のデート”。それを示すように、冬の日のデートにはしゃぐ想いを歌った新曲「DATE-ALAMODE」でステージの幕を開ける。歌詞に合わせて恋人と腕を組む振り付けを見せるなど、歌声だけでなくその姿もまたキュートだ。楽曲終盤にはジャジーでゆったりめなピアノとともに、溜めをたっぷりにして歌い上げるなどの大人っぽさも忘れない。

すると、3曲目からは5曲連続でライアットなロックチューンの連打に。“素敵な一日にしましょう!”という朗らかなMCから、ものの数秒で一気に諏訪のスイッチが入る。ピアノが駆け巡る“切なロック”の「My Prologue」。そこからビートをヘビーにし、ロングトーンではアーティストとしての力強さも証明してみせた「Strawberry Egoist」。どちらも歌始まりの楽曲なわけだが、その声の圧力のものすごさは音源以上。我々受け手側が思わず怯んでしまうほどだった。

「Merlot Tears」は諏訪の切なさに振り切った歌声とミドルテンポで音数が少ないジャズテイストなピアノとの相性の良さを提示。こうした方向性の楽曲は今後も掘り下げてほしいものだ。また、新曲「ノスタルジック・キネマ」を歌い終えるまでは、彼女の普段のイメージとは少し異なる、クールな一面を楽曲側が引き出す時間に。改めて今回のステージをすわわとのデートととらえるならば、このパートは人には見せていない、お互いの秘密の一面を教え合っているといったところか。

ここで、弦楽四重奏が鳴り始めて会場の空気が一気に緩む。諏訪が純白の照明に照らされながら、装い新たに再登場。弦楽四重奏アレンジをワンコーラスだけ施しながら、「ショコラ フレーズ」を堂々と歌い上げる。バイオリンの音色にも照明の明るさにも負けない、諏訪の歌声の透明度にただただ感心させられるひと幕だった。

9曲目「Holy holiday」は『Winter Cocktail』で唯一の“クリスマスソング”。ここでは諏訪の歌声も可愛く無垢な表情に切り替わり、我々側までホーリーな気持ちにさせられる。こんなに幸せなクリスマスを過ごせるならば、365日ともいい子でいようじゃないか。

続けて、《Are you ready?》のコーラスで一気にテンションを急上昇させられるポッピンなエレクトロチューン「So Sweet」などを挟みつつ、OSTER projectプロデュース楽曲「コバルトの鼓動」で本編終盤へとさらに勢いをつける。間奏では同楽曲MVになぞらえて、2本の旗で華麗なフラッグパフォーマンスを魅せるなど、他楽曲とは違う楽しさを提供してくれた。諏訪の歌声はライヴ全編を通して歌うのが難しいはずの楽曲でこそ、それに比例して安定感を放ってくる。また、「コバルトの鼓動」はOSTER projectらしい変則的なコード進行が特徴的で、諏訪のアーティストとしての異才ぶりを頼もしく思えた。

本編最後に披露した「突風スパークル」。諏訪が大好きなTVアニメ『ひだまりスケッチ』シリーズにて、数々の主題歌を担当しているmarbleの書き下ろし楽曲だ。ここで歌われるのは彼女が声優になるまでの前日譚。この日のステージでは、時に9曲をも連続披露するストイックな本編をやりきった総括として、その音色も彼女を労うかのような響きを纏っていた。諏訪の人生と重なり、音楽活動を担っていける楽曲として、今後も数々のターニングポイントで披露されていくのだろう。

アンコールは「記憶ファンタジック」など新曲2曲で締め括る。ここからはステージ後方の幕演出が無数のライトを輝かせたものに切り替わり、客席で揺れる白いサイリウムを含めて、「記憶ファンタジック」のデート模様を通して描かれる《街中のイルミネーション》を再現するような光景だった。そんな光に包まれながら諏訪はステージ上の階段に腰掛けて歌唱。本人曰く“この楽曲は歌唱難度がとにかく高い”とのこと。しかしながら、ここでもヴォーカルの安定感が際立っていたのは言わずもがな。冬の訪れを祝福するようなベルのように、彼女だけが持つ歌声の煌めきも生ライヴであることでますます印象づけられた。

歌唱後には“今日のライヴがみなさんにとって、いつまでも記憶に残りますように”とも語った諏訪。来年はより積極的にライヴの場を設けたいとも所信表明をしたところで、最後までご機嫌な姿を届けてくれた。諏訪ななかと過ごした幸せな冬の一日は、「記憶ファンタジック」の歌詞にもあるが、これからもずっと我々の《記憶の中で輝き》続けてくれるのだろう。

撮影:中原 幸/取材:一条皓太

諏訪ななか

スワナナカ:11月2日生まれの声優・アーティスト。2013年に声優デビューし、TVアニメ『ラブライブ!サンシャイン!!』では松浦果南役を担当するなど声優としても数多くの作品に出演し、人気を集めている。『ラブライブ!サンシャイン!!』から生まれたAqoursのメンバーとしても活躍中。20年、5月にアルバム『So Sweet Dolce』でソロアーティストとしてデビュー。同年11月にミニアルバム『Color me PURPLE』をリリースし、東京・LINE CUBE SHIBUYAにて初のワンマンライヴを開催した。21年4月に1stシングル「コバルトの鼓動」を発表し、11月にミニアルバム『Winter Cocktail』をリリース。同月に東京・立川ステージガーデンにて2ndワンマンライヴを開催する。