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むぎ(猫) ライヴレポート ライブレポート

むぎ(猫) ライヴレポート

【むぎ(猫) ライヴレポート】 『むぎ(猫) メジャーデビュー直前!猫の日ミニライブ 〜歌ってちょっと喋る会2~』 2019年2月22日 at オービィ横浜

2019年02月22日@オービィ横浜

撮影:小野正博/取材:清水素子

2019.02.25

“天国帰りの猫”とは、地上に暮らす人々の心に“優しさ”の種を蒔く、神様のお使いだったーー。

猫界初のメジャーデビューを1カ月後に控え、むぎ(猫)が行なったミニライヴ。日付が2月22日の“猫の日”なら、会場も“動物とふれあえるパーク”として子供たちに人気の高いオービィ横浜と、自身のアイデンティティーに対するこだわりはさすがである。開始時刻になるとデビューアルバムの曲順やタイトルを友人の猫たちと話し合う“猫会議”の映像が場内の笑いを誘って、ライヴ前からオーディエンスの心をやさしく揉みほぐす。そして、“猫の日に大きな猫を観てやろうと、お集まりいただきありがとうございます!”という挨拶に続き、「どんなふうに」で開幕したライヴで驚かされたのが、初っ端からの見事な木琴さばきだ。マレットを握った両手を凄まじいスピードで動かして軽快に、繊細に、力強く演奏を始めたかと思いきや、キュートな振り付けを交えながらあふれ出す気持ちの表し方を歌で問いかける彼を、客席はクラップで後押しする。

さらに、曲が終わって間髪入れずアコギの音が鳴ると、今度は学校に憧れる猫の心情を描いた「猫と学校」を学習帳を取り出しながら披露。“うんっ!”“はいっ!”というむぎ(猫)独特の合いの手も、郷愁を誘う木琴の軽やかな音色も、シンプルなメロディーも、体温を感じさせるほのぼのとした歌声も、猫目線のピュアなリリックも、全てが温かく聴き手の胸に染みて、心の琴線をやさしくくすぐりまくり! しかも、その張本人はぬいぐるみかと見紛うばかりの愛らしい姿ということで、聴覚と視覚からのダブル攻撃に涙腺は降参寸前だ。子供時代の記憶に浮かぶ懐かしい情景を思い起こさせ、観る者の胸を切ない気持ちでいっぱいにする魔法のような力は、まさしくむぎ(猫)だからこその真骨頂に違いない。

と、学習帳が突如AとBで始まる言葉を次々に比較するフリップに変身して、ロックチューンの「AとBと」へと爽快に雪崩れ込む。このタイトル、字面では分かりにくいが、音で聴くと“エイトビート”と引っ掛けたものであることが一聴瞭然で、間奏ではフリップをギターに見立ててのエアギターも! “AもBも両方取ったっていい”という心強いメッセージに数々の仕掛けを施して、見事なエンターテイメントに仕立て上げるのだから、なんというアイディアマン...いや、アイディアキャットなのだろうか。

むぎ(猫)曰く、おしゃべりが好きなのでMCの時間を長く取るべく、3曲を立て続けに贈ったあとは、肩で息をしながら水分補給。そして、ステージの後方に鎮座していたドラッグストアの猫・ドラちゃんに近寄り、彼の悩み事を聞いたところ、なんとチーズ屋の猫・チーちゃんに片思いしているとのこと! そこからドラちゃんの妄想を歌った「CとDと」に進むが、音を聴けば“Sheとデート”ということで、ドラちゃんがチーちゃんとデートする物語がステージのモニターに大映しされる。そこでのスケッチブックを活用した紙芝居のような演出、CとDで始まる単語を活用した歌詞、それに対する自虐にも似た鋭いツッコミと、これまた全てがむぎ(猫)の非凡な発想力を感じさせるに十分。さすが、カイヌシのゆうさくちゃんによる手作りの新しい身体を手に入れる前、天国で5年間も暮らした猫だけはある。

ここで本日の重大発表として、オフィシャルファンクラブ『はちわれ天国』が設立されることが告知されると、“おおーっ!”という歓声と拍手が。発足日は3月4日ということで、“ミャー!でシャー!の日と覚えてください”と呼び掛ければ、場内からは“ミャー!でシャー!のファンクラブ!”と子供たちの声が飛んで、むぎ(猫)の音楽に年齢制限はないのだと思い知らされる。続く「夢から醒める夢」では猫目線から少し離れ、浮遊感溢れるアーティスティックなイメージで新たなむぎ(猫)ワールドを開拓し、最後はデビューアルバムから表題曲の「君に会いに」を満を持してお披露目。背後のモニターには、この日の午前0時に解禁されたばかりのMVも同時に流れ、昭和型のテレビやねずみちゃん&神様に扮する子供たちも登場するレトロなムードが、楽曲が持つワクワク感とハッピーなムードをさらに増幅してくれた。全国にはむぎ(猫)の音楽に心癒される人は、まだまだ大勢いるはず。メジャーデビュー目前の今、そんな人たちに会いに行きたいという決意を精いっぱい贈って、笑顔のライヴは幕を閉じた。

わずか30分のステージ。しかし、観終えた時、胸の中に忘れかけていた懐かしい“何か”が、確かに灯った気がした。日本で...いや、恐らく世界で唯一の歌って、踊って、演奏する猫。カイヌシの深い愛情によって、この世に呼び戻された彼は、さらに深く広い愛を、私たちに届けてくれるはずだ。

撮影:小野正博/取材:清水素子

むぎ(猫)

1997年7月、東京生まれ。2002年、沖縄に移り住み、2009年1月に永眠。5年間の天国暮らしの後、2014年3月にゆうさくちゃん(カイヌシ)による手作りの新しい身体を手に入れ、再びこの世に舞い戻った。“天国帰りのネコ”として新しいニャン生(人生)を満喫し、ニンゲンの皆さんたちを楽しませるために歌い、踊り、楽器(主に木琴)を演奏する猫のミュージシャンである。楽曲は全てむぎ(猫)が作詞作曲を手がけ、宅録で制作している。また、グッズのデザイン、ミュージックビデオの制作まで手がけるマルチな猫である。

SET LIST 曲名をクリックすると歌詞が表示されます。試聴はライブ音源ではありません。

  1. 1

    1. どんなふうに

  2. 2

    2. 猫と学校

  3. 3

    3. AとBと

  4. 4

    4. CとDと

  5. 5

    5. 夢から醒める夢

  6. 6

    6. 君に会いに