LIVE REPORT

フレデリック ライヴレポート

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【フレデリック ライヴレポート】 『FREDERHYTHM TOUR 2019 ~飄々とイマジネーション~』 2019年2月20日 at Zepp Tokyo

2019年02月20日@Zepp Tokyo

撮影:ハタサトシ/取材:千々和香苗

2019.02.27

約2年4カ月振りとなるアルバム『フレデリズム2』のリリース日であり、双子の三原健司(Vo&Gu)、三原康司(Ba)の29歳の誕生日でもある2月20日。全国ツアー『FREDERHYTHM TOUR 2019~飄々とイマジネーション~』のZepp Tokyo公演2デイズの初日は、バンドとしても、ふたりの人生にとっても新たな出発点となった。

EDM調のSEが鳴り響くと、ステージ中央にあるツアータイトル“飄々とイマジネーション”の文字がレーザービームでネオン管風に光り、健司がハンドマイクで歌った「シンセンス」からすでに普通のライヴハウスとはひと味違った高揚感が生まれていた。“遊ぼうぜ!”とフロアーを煽り、オーディエンスのクラップとともに完成させた「かなしいうれしい」もライヴでの定番とはいえ、バイタリティーあふれる4人の表情とともに特別な一日の景色として目に焼き付けていく。

ロック、テクノ、ディスコとさまざまな音楽が一斉に飛び込んでくる『フレデリズム2』を聴いて彼らの底知れぬ創造力に期待が膨らんでいたが、キレキレのプレイで畳み掛ける「パラレルロール」やダンサブルな「KITAKU BEATS」といった既存曲を聴いている時も同じわくわく感に満ちていて、これまでバンドが提示してきた進化も改めて実感できた。

健司が“ここからはあなたたちが主役です。最高のダンスホールを作りませんか”と言って始まった「真っ赤なCAR」でゆったりとしたムードに浸らせつつ、「NEON PICNIC」のタメで生まれた程良い緊張感がよりライヴへの集中を高める。「LIGHT」で真っ白な照明によって会場全体がパッと明るくなると、ステージにはCD盤を敷き詰めた背景が現れ、ミラーボールも相まって光が飛び交う華やかな演出に驚いたが、同時に彼らの演奏が身体中を駆け巡る感覚に鳥肌が立つ。グルービーなテンポに身を任せながらフロアーが揺れ、ひと際大きな歓声も起きた。

MCではオーディエンスからふたりに「Happy Birthday」を歌うプレゼントが届けられたり、高橋 武が“自分が良いドラムを叩けるのはふたりがいるおかげ”と熱い想いを明かす場面もあった。和やかな空気に包まれて後半戦へと突入し、赤頭隆児の軽快なギターリフが疾走感を掻き立てるド直球ナンバー「エンドレスメーデー」や、インディーズ時代から愛されてきた「バジルの宴」を聴いていると、やっぱりフレデリックの根本にあるのはバンドサウンドなのだと確信。それはどんなにアレンジの凝った新曲を生み出しても変わっていないことに気付かされた。何だか感慨深い気持ちにもなりつつ、代表曲のひとつ「オドループ」で起こった大合唱にも感動していると、その光景に健司も感極まっている。この日が誕生日である他にも久しぶりのアルバムリリースということで、目の前に広がる光景までの道のりが走馬燈のように駆け巡ったのではないだろうか。

アンコールで披露した「飄々とエモーション」では、MCで語られた“もっといいライヴをしようと思うと、みんながもっと楽しんでくれる。そういう相乗効果がフレデリズムを生む”という言葉の通りオーディエンスとシンクロしたシンガロングが広がる。彼らもそれを全身で感じていただろうし、“フレデリックという国を作りたい”と言っていた土台が完成したようにも見えた。さまざまなジャンルを取り入れては、「逃避行」のようにどこにも属さないスタンスで歩み続けてきたフレデリックが、オリジナリティーという住み処を見つけ、これからさらにたくさんの人々を誘い込もうとしている。そう思うと、来年2020年2月24日に予定している横浜アリーナ公演が早くも期待でいっぱいになった。

撮影:ハタサトシ/取材:千々和香苗

フレデリック

フレデリック:双子の三原健司&康司を中心として結成された神戸出身の4ピースバンド。そのユーモアと幅広い音楽的背景から生みだされる、“忘れさせてくれない楽曲群”とアッパーなライヴパフォーマンスに中毒者が続出中。14年9月24日にミニアルバム『oddloop』でA-Sketchよりメジャーデビュー。

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