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【NakamuraEmi ライヴレポート】 『NIPPONNO ONNAWO UTAU Vol.5 ~Release Tour 2018~』 2018年6月27日 at EX THEATER ROPPONGI

2018年06月27日@

撮影:TAKAO IWASAWA/取材:清水素子

2018.07.10

“三十にして立つ、四十にして惑わず”と『論語』で孔子が唱えた時代から約2500年。生きる時間が延びた分、人間の“思春期”は長くなり、四十になっても不惑に到達できる大人は数少ない。そんな自分を出来損ないと感じる大人の心に、NakamuraEmiほど響く歌を歌える人間はいないだろう。日々の生活や人間関係における小さな疑問や諦め、時には開き直りに新たな視点からスポットを当てる彼女のライヴには、肩肘張って生きる大人の心を時にそっと、時に力ずくで解す不思議な力がある。

最新アルバム『NIPPONNO ONNAWO UTAU Vol.5』を引っ提げ、アコースティックな二人編成とバンド編成の2本立てで行なわれた全国ツアー。史上最大の会場をオーディエンスが埋め尽くした東京公演で、“後ろまでいっぱいいて、もう泣きそうだ...絶対泣かないぞ!”と唇を噛んだNakamuraEmiは、その感謝の想いを赤裸々すぎる歌にありったけぶつけていった。大人が持て余す“欲”をテーマとする「Don’t」で軽やかに幕開けて以降、歯切れ良いヴォーカルで放たれる痛快なメッセージは、曰く“36歳の自分は10代から見たら立派な大人。でも、50代、60代から見たらまだ若造”という迷いの多い世代ならではのもの。そこで核となっていたのが“自分の敵は自分”というポリシーで、震えながら何度でも立ち上がる無様な姿を肯定する「かかってこいよ」には、とりわけ熱く胸を揺さぶられた。さらに、ミニマムな音とやさしい歌が真心を歌ったメッセージを際立たせる「新聞」から満場のクラップの中で自身の転換点をパワフルに綴る「メジャーデビュー」では音楽的ふり幅も提示。続いて、“初めて他人のために書きたいと思った曲”とソウルフルに謳い上げた「教室」では、“伝える人間”としての進化も強く感じさせられた。

常にリアルな経験から曲を生み出してゆく彼女が“コミュニケーションを大事にした曲が集まった”と語る最新作。Calmeraの辻本美博(Sax)をゲストに迎え、「モチベーション」でファンクに鳴らした“私次第だった”の叫びと、小さな身体で目いっぱい跳ねる姿には、それら全てを振り切る強さがあった。

撮影:TAKAO IWASAWA/取材:清水素子

NakamuraEmi

ナカムラエミ:神奈川県厚木市出身。1982年生まれ。山と海と都会の真ん中で育ち幼少の頃よりJ-POPに触れる。カフェやライヴハウスなどで歌う中で出会ったヒップホップやジャズに憧れ、歌とフロウの間を行き来する現在の独特なスタイルを確立する。その小柄な体からは想像できないほどパワフルに吐き出されるリリックとメロディーは、老若男女問わず心の奥底に突き刺さる。16年1月にメジャーデビュー。17年3月に2ndアルバム『NIPPONNO ONNAWO UTAU Vol.4』を、18年3月には3rdアルバム『NIPPONNO ONNAWO UTAU Vol.5』をリリース。

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