LIVE REPORT

奥華子 ライブレポート

奥華子

『奥華子 10周年ありがとう!弾き語り全曲ライブ! C公演』

2016年07月18日@よみうりホール

取材:石田博嗣

2016.07.27

デビュー10周年を記念して開催された、全曲弾き語りライヴ。インディーズ時代の楽曲も含め、現在までリリースしてきた約150曲をA~Dの4公演に分けて、グランドピアノもしくはキーボードで弾き語るという主旨で、“来てくれる人が好きな曲を聴けるように”という本人の意向により、事前にシークレット曲を除いた各公演での演奏曲がホームページに公開されていた。その東京編、自身も“一番マニアックかも!?”と言ってたいたC公演に足を運んだ。

グランドピアノで弾き語った「私の右側」で幕を開けると、“みんな覚悟はできていますでしょうか? 長いですけど、大丈夫でしょうか? 最後まで寝ないで聴いてくれますか?”と奥華子。その言葉通り、全39曲が1曲ずつその楽曲の背景にあるドラマだったり、思い出などを語りながら、約3 時間半にわたって披露された。

《あなたを愛することしかできない》というフレーズが切ない「逢いたい時に逢えない 」、《僕は君が好きなままだから》という言葉が刺さる「僕の知らない君 」...一曲一曲にドラマがあり、まるで短編映画ようなシーンが思い浮かぶ。以前、彼女にインタビューした時に、歌に感情を入れすぎないようにして、より“誰かの歌になる”ということを意識していると語っていたことを思い出した。メロディーと歌声の間に存在する絶妙な隙間。そこに聴く者の感情が入り込むのだろう。主人公の想いを切り取った言葉のひとつひとつに、いつかの自分の姿が重なり、胸の奥でリアリティーが増していく。もちろん、だからと言って奥華子はクールに歌っているわけではない。鍵盤に向かって歌い始める前、一瞬、緊張感が走る。一曲入魂というか、それだけ楽曲に深く入り込んで歌っているということだ。そんな彼女の歌声は切なくも温かく、痛いほどにやさしい。

また、序盤から“ここから幸せソングを”と「魔法の人 」「木漏れ日の中で」「しあわせの鏡」を、“ここからはじっとりいきたいと思います”と「泡沫」「恋」「最後の恋」を...と、長いセットリストの中にひとつの流れを作っていた奥華子。路上ライヴをしていた頃に“一番身近にいる人を笑顔にできなければ誰も笑顔にできない”ということに気付いて作ったという「大切なもの」での会場が一体となったクラップ&大合唱だったり、「押し花」「月光」「トランプ」という深海に沈んでいるかのようなディープなナンバーが続く、“失恋ソングの女王”の本領が発揮されたゾーンだったり、個人的にも印象深いシーンがいくつもあった。そんな中、本公演のシークレットソングとして歌われたのは、冬のライヴで歌っていたがCD化されていない「冬の宝石 」と初めて大失恋をしたあとに作ったという「絶対」の2曲。特に「絶対」はほとんど歌ったことがない昔の楽曲というレア曲であり、“絶対”なんて絶対にないという失恋の想いを綴った重みもあって、観客が息を飲んで聴き入っていたのが印象的だった。

そして、アッパーな楽曲が並んだ終盤のクライマックスは、10年振りの友達と会ったあとに作ったという「10年」、両親への想いを綴った「伝えたい言葉」、元気でいながらも父親がエンディングノートを書いていたことに触れて披露した「足跡」といったさまざまな感謝の気持ちを落とし込んだ楽曲で締め括られた。さらに、たっぷり38曲を歌い終わり、迎えたアンコールに用意されていたのは新曲「思い出になれ」。忘れられない大好きな人のことを“思い出になれ”と歌う同曲だが、次に踏み出す決意という意味では、10周年の次に踏み出す意思表明のようにも受け取れた。なお、同曲は9月21日に両A面シングル「思い出になれ/愛という宝物」としてリリースされることが決定している。
この歌手の歌詞一覧 この歌手の動画一覧

SET LIST 曲名をクリックすると歌詞が表示されます。試聴はライブ音源ではありません。

  1. 1

    私の右側

  2. 2

    逢いたい時に逢えない

  3. 13

    冬の宝石

  4. 18

  5. 20

  6. 29

  7. 32

    サンタに願いを

  8. 36

    10年

  9. <ENCORE>

  10. 39

    思い出になれ(新曲)

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