yuzen
月の裏側
2026年4月29日に“yuzen”がデジタルシングル「月に隠して」をリリースしました。今作は、大切な人との日常の一瞬一瞬の輝きを、誰にも触れられない“月の裏側”に隠して2人だけの秘密にしておきたい、というロマンティックな世界が描かれた楽曲。yuzenが紡ぎ出す“煌めきと高揚感がありつつも、どこか切ないバンドサウンド”は、ささやかな幸せと儚さが同居する世界を描き出しております。
さて、今日のうたではそんな“yuzen”による歌詞エッセイをお届け。綴っていただいたのは、新曲「月に隠して」にまつわるお話です。自身の音楽論について。そして、「月」と「永遠」をテーマにしたこの歌で、描いた思いとは…。
「月に隠して」という楽曲をリリースさせていただきました。
この曲は元々2年前、ワンコーラスをひたすら作り続けるという作業の中で生まれたものです。
僕は「宇宙」「月」「星」にまつわるものに昔から惹かれていて、気づけばそんなテーマの曲ばかりを紡いでしまう癖があります。
その中で今回のテーマは「月」と「永遠」。
最初は「月に重ねて」というタイトルで書き始め、歌詞はサビ頭の<くだらない話>という一節だけを残して、他をすべて書き換えました。
ここで少し、僕の音楽論について。
音楽を作るときに意識しているのは、“メロディ”と“語呂”です。
きっとそのフレーズは、その言葉とそのメロディ以外では成立しない――そんな感覚に導かれているのだと思います。
1サビの頭は、最初からそうしようと決めていました。
歌詞や言葉遣いにもこだわっていますが、もうひとつ大切にしているのが“Cメロ”の存在です。
僕はそれを勝手に“ニューメロ”と呼んでいるのですが、Aメロ、Bメロ、サビと進んだ先に、新しく視界がひらけるようなサウンドとメロディを差し込むことで、変化と余韻、そして感動が生まれる気がしています。
もしかしたら、昔から聴いてきた音楽の中で、その構成が自然と身体に染みついているのかもしれません。
長くなってしまいましたが、最後にこの楽曲の物語について少し。
どんな物語にも、きっと終わりはあって、「永遠」はどこにも存在しない。
だからこそ今この瞬間、些細なことで笑い合ったり、くだらない話を交わしたりする時間さえも、かけがえのない光として胸に残るのだと思います。
世界の長い歴史から見ればほんの一瞬かもしれないけれど、あなたと過ごしたこの日々を、二人だけの秘密として、そっと月の裏側に隠してしまおう――そんな想いを込めて、最後の歌詞を書き、その一節をタイトルにしました。
「永遠」に対する想いは人それぞれで、そうした小さな価値観を分かち合いながら、人は生きていくのだと思います。
それは曲の中の二人だけでなく、この曲を聴いてくれるすべての人にもきっと重なるはずです。
「月に隠して」。
この楽曲が、誰かの夜にそっと寄り添い、静かに届いていくことを願っています。
<yuzen>