下手くそに泣きたい、こみ上がるまま泣きたい、その先で笑っていて。

【一人で逃げたら、帰りも一人。】

 短い言葉だけれど、胸にザクリと刺さるこのフレーズは、映画『東京オアシス』という作品内のセリフです。主演の小林聡美さんを中心に、東京で生きる人々の小さな出会いを描いた物語。みなさんは、何か途方もなく大きな壁にぶち当たったとき、誰かに相談できますか?「大丈夫じゃない」と泣けますか?きっとその“誰か”が大切であればあるほど、負担をかけたくないから自分一人で背負い込み、時には一人で逃げるという選択をする方も多いのではないでしょうか…。
 
 今日のうたコラムでは、そんな方にこそ聴いていただきたい新曲の歌詞をご紹介いたします。男性シンガーソングライター“近藤晃央”が11月23日にリリースする両A面シングル収録曲の「涙腺」です。現在、歌ネットで歌詞先行公開中!今作は、ひとつひとつのフレーズに熱い言葉が並んだ力強いバラード。彼が全身全霊でリスナーに捧げるそのダイレクトな想いをまずは是非、歌詞から受け取ってみてください。

不器用だからと いつも手離してしまうものも
そう言い、逃げてた僕はむしろ器用で
離さないようにと強く握りしめすぎて
結局、壊してしまう 矛盾ばかりで

どうかしたのって聞かれたって 大丈夫とまた強がって
抱えきれない荷物 またひとりで持とうとしてる
「涙腺」/近藤晃央

 この歌の主人公もまた、<不器用>を言い訳にしながら<大丈夫>と強がって、誰かに本音を吐き出すことから逃げてしまいがちな生き方をしてきた模様…。でもやっぱり【一人で逃げたら、帰りも一人。】なんです。もし<抱えきれない荷物 またひとりで持とうとして>失敗してしまったとき、その悲しみも苦しみも痛みも全て一人で背負わなければなりません。そういうことをずっと続けていたら、いつか心身が壊れてしまいますよね。
 
 一方で、彼のことを心配していた大切な“誰か”も「どうしてあの時に言ってくれなかったんだろう…」「私のことを信頼してくれていなかったのかな…」と感じるでしょうし、お互いにマイナスしか生まれません。だからこそ「涙腺」では、一人で涙を我慢することではなく、辛いことに耐えることでもなく、思い切り<泣く>ということの意味が次のように綴られていくのです。

生まれ変わりたい よりも 生きて変えたい
そのすべてを水として 腐ってでも咲かせよう
裏切られたくない よりも 信じてみたい
信じることだけでしか 裏切りなどないのだから

濡れたくはないと傘を差して
この手 己だけにふさがれて
やがていつしか雨は上がって
この手はどこへ向かってゆくの
誰かに差しのべるかのように
差しのべてくれた手 握るように

上手く笑いたい よりも 下手に泣きたい
こらえずに零せたなら 心から笑っていて
泣かないでいよう よりも 笑えるよう
おなじ「涙のないとき」なら笑っていられるように

下手くそに泣きたい
こみ上がるまま泣きたい
その先で笑っていて
「涙腺」/近藤晃央

 近藤晃央はこの曲について『家族でも恋人でも友人でも「大切な人達には負担をかけたくない」と堪え続けたある人の姿を見たとき、大切だと思い合えてる関係なら、逆に負担になってもいいんじゃないか。むしろそれを許し合える唯一の居場所が、そういう関係なんじゃないかと思った。「作り笑い」で堪えるのではなく、堪えずに零す。それが笑顔への1番の近道なのかも、と。だから「涙腺」という名を持ちながら、これは「涙の先にある笑顔のうた」として作りました。』とコメント。

 “涙が笑顔への1番の近道”。素敵な言葉ですよね…。まさにその言葉のとおり、サビでは「涙腺」の先に繋がっている本物の“笑顔”が描かれております。しかも<生まれ変わりたい>と現実から目を背けるのではなく、今<生きて変えたい>と、自分自身とちゃんと向き合おうとしているんです。誰かに弱さを見せることもまた強さである。この「涙腺」という楽曲は、そんな大切なことを教えてくれる楽曲だと思います。

 先日、同曲のMVも公開となりました。MVには女優の古畑星夏さんが出演。堪え切れずに溢れ出る涙、そして、その先に見せる笑顔を繊細な演技で表現しております。そして近藤晃央は、感情をダイレクトに表現すべく、今回は敢えてギターを持つことなくフリーハンドで歌唱。全身を使い、手の先まで想いを込め歌い上げる彼の姿と、古畑さんの迫真の演技が交わり、まさに激情バラードに相応しい映像作品となっておりますので、是非チェックしてみてください!

◆両A面シングル
「涙腺 / クリスマスチキン feat. ダイスケ」
2016年11月23日発売
初回生産限定盤A(CD+DVD) BVCL-758〜759 ¥2,000(税込)
初回生産限定盤B(CD+DVD) BVCL-760〜761 ¥1,800(税込)
通常盤(CDのみ) BVCL-762 ¥1,300(税込)