近藤晃央

求めてくれるたび許したんだ、でも求めてたのはあたしだった。

舌を絡ませ 何も言わせなくさせて 指先は肌をなぞる
剥ぎ取る布は 意味もない鎧 会話など長い前触れ
雑に撫でて 甘く噛んで あたしの尖りは削られてゆく
口先だけの抵抗 見破る もう蛇口は回された
「ベッドインフレームアウト」/近藤晃央

 官能的なフレーズが次々と飛び込んでくるこの歌は、今年メジャーデビュー5周年を迎えるシンガーソングライター“近藤晃央”が2017年9月13日にリリースするニューシングル『存在照明』収録曲。歌ネットではすでにタイトル曲とカップリング曲「ひとつになれないことを僕らはいずれ知ってゆくよ」の歌詞が先行公開されており、うたコラムでも2曲をご紹介しましたが、先日「ベッドインフレームアウト」の歌詞も解禁となりました。
 
 「ベッドインフレームアウト」は、Aqua Timezのキーボーディスト・mayukoとコラボして誕生した楽曲。描かれているのは、都合のいい身体の関係で心身を削ってゆく女性の姿です。この歌を作るにあたり、近藤晃央は“女性視点からのセックス”というものをかなり考えたんだそう。まず歌の冒頭では、言葉ひとつひとつから、ベッドイン後のシーンが臨場感を持って迫ってきますね…。ただ、このベッドインしている最中の彼女は、いろんな意味で“フレームアウト”している状態なんです。

問い詰めたらきっと 面倒くさい
都合が悪くなれば 会えない
忘れるためには 覚えたい 躰
「ベッドインフレームアウト」/近藤晃央

あたしなんて「手段」に過ぎない
「存在」としては 認められない
腰を振ったって 揺さぶれない 関係
「ベッドインフレームアウト」/近藤晃央

終わりが来るのが怖かったんだ
でも始まってすらいなかった
求めてくれるたび許したんだ
でも求めてたのはあたしだった
「ベッドインフレームアウト」/近藤晃央

 これらのフレーズがベッドインする前の“あたし”の心の声でしょう。おそらく彼女は、いわゆるセフレとして、割り切って恋愛を楽しんでいるわけではありません。本当に相手のことを愛しているのです。だけど自分は、ただの都合のいい女で<腰を振ったって 揺さぶれない 関係>でしかない…。こんな恋愛は空しい、意味がない、正しくない。誰に言われなくたって、彼女自身が一番よくわかっており、何度も「もうやめよう」とも思ったのではないでしょうか。

 しかし、会ってまたベッドインすれば、そのすべてはフレームアウトしてしまうのです。【フレームアウト】とは、登場したものが画面の外へ切れること。つまり、身体の一部だけでも彼と繋がって快感を得ることで、「もうやめよう」という理性も、「本当はこうなりたい」という理想も、報われない現実も、正論も、本音も、心という画面の外へいってしまうのだと思います。そしてそのとき、彼女の心の画面に映っているのは、ただ目の前の“あなた”のみ…。

言えなかった言葉があったんだ
いや あなたが言わせなかったんだ
愛されたいなんて願っては いけない いけない
あなたが果てたそのアフターが
あたしの価値をまた試してんだ
都合いい女 演じなきゃ いけない いけない いけない

言いかけてた言葉があったんだ
また、あなたが言わせなかったんだ
唇を唇で塞いだんだ
いきたい…
いきたい…
「ベッドインフレームアウト」/近藤晃央

 歌はこのように幕を閉じてゆきます。彼女はこれからも<都合いい女>を演じ続けてゆくのでしょう。これが“あたし”にとって幸せだと言うのなら良いのですが、でもサビには、彼女の<言えなかった言葉>がこぼれているのです。それは、複数の意味が込められているであろう、ラストの<いきたい…>という一言。彼に唇を塞がれ、心に戻るしかなかった言葉には「都合のいい女以上の関係に“行きたい”」「パートナーとしてちゃんとあなたと“生きたい”」そんな想いも込められているのではないでしょうか…。
 
 尚、ニューシングルに収録されている「存在照明」は“自己”の<存在の照明>を灯す楽曲であり、カップリング曲「ひとつになれないことを僕らはいずれ知ってゆくよ」は“他者”の<存在の照明>と寄り添う楽曲です。すると「ベッドインフレームアウト」は“身体”を通じて自分の<存在の照明>を確かめるような、かすかな光にすがるような、そんなラブソングに感じられますね。まずはリリース前に、歌詞から様々な<存在の照明>を見つめてみてください。

◆MAJOR DEBUT
5th ANNIVERSARY SINGLE『存在証明』
2017年9月13日発売
初回生産限定盤(CD+DVD) BVCL-827~828 ¥2,000(tax in)
通常盤(CD) BVCL-829 ¥1,300(tax in)

<収録曲>
1. 存在照明
2. ベッドインフレームアウト
3. ひとつになれないことを僕らはいずれ知ってゆくよ
4. めぐり - Bonus Track -
「ベッドインフレームアウト」のミュージックビデオにも近藤晃央とmayukoが出演し、二人による楽曲のレコーディングシーンが収められている。
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