でもきっと美しさって、ひとつになることじゃなくて…。

これは始まりか?終わりか?
決めるのは誰だ?誰だ?

はるか遠くに見えた光が
「そんなもんか?」と問いかけてくる
どれだけ聞こえぬフリをしても
脈打つ鼓動 この衝動は何だ?
「存在照明」/近藤晃央

 今年メジャーデビュー5周年を迎えるシンガーソングライター・近藤晃央が、2017年9月13日にニューシングル『存在照明』をリリースします!歌ネットでは、発売に先がけて歌詞の先行公開がスタート。まず、この歌には“僕”や“私”という一人称も、“あなた”や“君”という二人称も、“彼”や“彼女”という三人称も綴られておりません。つまり、性別も年齢も他者も関係なく、リスナーひとりひとりが自分事として受け取り、ただただ自分と向き合うための内容になっているんです。

 そのため、冒頭からラストまで、歌詞の中で何度も繰り返される自問自答。では、それに対する答えを出すことで、わたしたちは自分の存在を“証明”できるのでしょうか。いえ、この歌の役割はそうではありません。おそらく、存在という“照明(光)”でこの現実を“証明”していくことを目的としているのではないでしょうか。そして、その<存在の照明>とは、自分に<「そんなもんか?」と問いかけてくる>光=“強い意志”によって灯されるものです。

この存在の照明を 今灯せ
照らした絶望は 希望だった
これは始まりか?終わりか?
誰に問う?応えろ さあ
誰にも奪えない 声で
誰にも奪えない その眼に映る光で
「存在照明」/近藤晃央

 たとえば、何かにザセツをすると、後悔や敗北感に襲われて、意志が消え失せそうになることもありますよね。そんなときには<存在照明>は消え、周りは真っ暗になります。何も見えないからとりあえず、すべてを“絶望”と名付けてしまうのです。しかし再び、強い意志で<存在照明>に光を灯せたとき、やっとわかるのが<絶望は 希望だった>ということ。それが、今という現実の“証明”です。また、その気づきが“これからも大切なものを証明し続けていくのだ”という覚悟に繋がり、さらに己は輝きを増すのだと思います。
 
 <存在照明>の光を絶やさないように、自分を奮い立たせてくれる。それが近藤晃央「存在照明」の持つパワーなんです。一方で、この曲があるからこそ、より歌詞が深く刺さるのがニューシングルのカップリング「ひとつになれないことを僕らはいずれ知ってゆくよ」という楽曲。こちらも歌詞の先行公開がスタートしております。この2曲は、どこかテーマが対になっているようでもあり、2つで1つのA面楽曲とも言えるのではないでしょうか。

ひとつになれば ひとつになれば
あの独り言すらも 朝まで 語り合えたかな

どんなに肌を重ねたって どんなに時を重ねたって
ひとつになれないことを 僕らはいずれ知ってゆくよ
でもきっと美しさって ひとつになることじゃなくて
ひとつになりたいなって 思わせてくれた君がいること
「ひとつになれないことを僕らはいずれ知ってゆくよ」/近藤晃央
 
 きっと人間は、誰もが一つずつ、誰にも奪えない、かけがえのない<存在照明>を持っていて、まったく同じ光も存在しなければ、完全には<ひとつになれない>のです。でも、だからこそ、似た光を放つ相手に惹かれたり、真逆の色の光を放つ誰かと分かり合いたいと思えたり、二人並んでもっと大きな光を放ちたいと願ったりできるんですよね。この曲を聴いていると、“ひとつになれない”ということはもどかしいけれど、決して悪いことばかりじゃないと、そう思えてきます。

 とことん“自己”と向き合うための「存在照明」も、とことん“他者”と向き合うための「ひとつになれないことを僕らはいずれ知ってゆくよ」も、是非、歌詞をチェックしてみてください…!