僕は一番送ってはいけないメールを送った。

 2020年11月25日に“アイビーカラー”がニューミニアルバム『WHITE』をリリースしました。大人になってしまった今だから思い返すあの頃、あの場面。もう戻ることが出来ないあの頃…。男女混成4人組ノスタルジックピアノバンドが「君と僕」の間に住む愛を描きます。透明感のある歌声、男女四声で展開するコーラス、ストリングス、鍵盤の音色をじっくりとご堪能あれ。
 
 さて、今日のうたコラムではそんな最新作を放った“アイビーカラー”の佐竹惇(vo.)による歌詞エッセイを2日連続でお届け!今回は【前編】に続く【後編】です。彼らの“とある1曲”のお話。前編の結末は<君>に告白をした場面でしたが、その後<僕>は、二人は、どうなっていったのでしょうか。是非、最後までお楽しみください…!

~歌詞エッセイ【後編】:勘違い~

照れを隠してニヤニヤしながら、
目なんて一回も合わさずの告白。

それでも君は
満面の笑みを浮かべ、首を縦に振ってくれた。
OKを貰った後の会話を考えておらず、
「ありがと、じゃ。」
と一言残して帰ってしまった。

帰り道
体の内側から
殴られているんじゃないかと思うほどの鼓動
全く下がってくれない口角

不思議なもので
好きを言葉にしたその日から、
今まで以上に君への想いが増してきた。

仲の良い友達にも報告。
「よかったな!」と祝ってくれた。
友達に話すことでやっと、
自分には彼女が出来たんだとじわじわと実感する。

下校時は毎日一緒に帰った。
待ち合わせは放課後下駄箱の前
友達に見せびらかすように二人で歩いてた。
告白をした、校舎裏の階段は二人のお気に入りの場所。
そこではじめてキスもした。
土日はデートにも出かけた。
こんな日々がいつまでも続けばいいと思った。


2年生になってから
君とは、はなればなれのクラスになった。
お互い忙しくなってきたこともあり
次第に毎日一緒に帰ることが減ってきた。
クラスが離れただけ
毎日連絡もしてるのに
なぜか君がいつもの君に見えなくなってしまっていた。

休み時間、君とすれ違った
友達に囲まれ、笑顔で歩く君に
何を話せばいいかわからなくなってきた。
メールも続かなくなった
今までと同じがわからなくなり
君のことを考えると劣等感すら感じる。


「お前がいなくても、もう大丈夫かも。」


僕は一番送ってはいけないメールを送った。
それでも、僕がいなくても
楽しそうにしている君を見るのが耐えられなかった。

次の日の放課後
君は僕を誰もいない教室に呼び出した。
無言が続く教室に、窓から聞こえる吹奏楽の音。

謝らないと

そう思ったときには遅くて、
サヨナラの一言だけを残して君は教室を出ていった。


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2020年11月25日に、僕たちアイビーカラーは『WHITE』という作品をリリースしました。その中に収録されている「GIRLFRIEND」という曲があるのですが、今回の前編、後編を読んだ後に、是非とも聴いてみてください。

<アイビーカラー・佐竹惇>

◆紹介曲「GIRLFRIEND
作詞:佐竹惇
作曲:佐竹惇

◆4th Mini Album『WHITE』
2020年11月25日発売

<収録曲>
1.東京、消えた月
2.カフェ
3.L
4.冬のあとがき
5.GIRLFRIEND
6.夏空