dry flower

充分寝た
もうサイレンが
空っぽな五時を迎えに来た
僕を溶かしたバター
塗りたくったこの部屋
戦争映画鳴らす隣人
目眩を打った銃声
煮える残暑の刹那
世界の終わりみたいな赤

寂しくなったら
きっとそれすらはしたない
あなたを待っても
ずっと遠い日の花火なのでしょう

染まり続ける翠の扇動に
疲れ果てても
まだあなたの横顔は美しい

この想いはまるで
散らずに枯れた紫陽花のようだ
死期を待つ約束だけが僕を歩かせる

次の季節へ

戦争映画は鳴き止んでいた
塩素の匂いは
空白を塗りつぶしてくれた
秒針の怒鳴り声もさ
いつからか愛おしく思えていた
戦争映画は鳴き止んでいた
静寂の中
浮かぶ船の帆は靡かない
思い出にすらなれない夏は
永遠になった

誄歌のようなヒグラシの声に眠る

寂しくなったら
きっとそれすらはしたない
あなたを待っても
ずっと遠い日の花火なのでしょう
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