大人の世界は選択を待ってくれない。

 2018年7月18日に“erica”が初のコラボアルバム『告ラボ』をリリースしました。告うたのカリスマとして10代~20代の女性に絶大な人気を誇る彼女が、佐藤竹善 ・TEE、ハジ→・H!dE・山猿・マナミ(Goose house)、ジャンルを越えた6人の豪華アーティストとそれぞれコラボした全6曲が収録されている今作。今日のうたコラムではそのなかから新曲「咲き誇れ feat.マナミ(Goose house)」をご紹介いたします!

深夜0時終電に駆け込んで
忙しない今日がまた終わる
落ちかけのメイク 伸びたネイル
付箋で埋まって行くデスク

あの人からのメールは来なくて
理由探して また落ち込んで
大人の世界は選択を待ってくれない
「咲き誇れ feat.マナミ(Goose house)」/erica

 深夜0時、終電に駆け込む、かなりお疲れな<私>の姿が見えてくる冒頭。やっと<今日>が終わったのに、もう時間的には“明日”が始まっているのだと思うと、なおさら疲労感は増しますし、帰宅したらお風呂に入って即就寝でしょう。とても<落ちかけのメイク>や<伸びたネイル>をなんとかする余裕なんてありません。そのような<忙しない>毎日の繰り返しだと、それこそ“心”を“亡”くしてしまいそう…。
 
 また<付箋で埋まって行くデスク>と反比例するかのように、自分のプライベートな部分がすり減っているようにも感じられます。身だしなみにかける時間や熱意も然り。本当は<あの人>にもっと本気モードになりたいのに<大人の世界は選択を待ってくれない>から恋する暇もない。せめて連絡のひとつがあるだけでも明日のパワーになるのに<メールは来なくて 理由探して また落ち込んで>…という悪循環です。

ひとつ増えると ひとつ無くなって
それでも今を諦めたくない

いつだって
嫌いな自分を見たくなくて
嫌いな人にうまく笑えなくて
嫌いを嫌いだと言えなくて
まだ春を待つ蕾だけど
好きな自分に近づきたくて
好きな人に好きだと伝えたくて
好きな夢を叶えたくて
だから 曲がっても咲き誇るわ
「咲き誇れ feat.マナミ(Goose house)」/erica

 仕事が<ひとつ増えると>プライベートの時間が<ひとつ無くなって>。年齢が<ひとつ増えると>憧れていたはずの夢が<ひとつ無くなって>。って、そんな人生はイヤですよね。だからこそ彼女も今、どんなに<忙しない>毎日だとしても“心”だけは“亡”くしてしまわないよう必死に闘っているのでしょう。流されまい、飲み込まれまい。その意志が<それでも今を諦めたくない>という力強いフレーズから伝わってきます!

 そしてサビでは、正直かつ不器用な生き方しかできない<私>の<それでも今を諦めたくない>想いが「咲きたい、咲き誇りたい…!」と高まってゆくのです。好きな自分に近づくこと。好きな人に好きだと伝えること。好きな夢を叶えること。それらは彼女がいつか手にしたい、絶対に譲れない“プライド”=“誇り”です。それらは彼女が<曲がっても咲き誇る>ための大切な肥料、エネルギーです。

窓際のしおれた花を見て
「私みたい」なんて呟いた
綺麗に咲くように 手入れをしすぎたんだ

たとえ枯れても その足元で
もっと大きくミライが芽吹くよ
「咲き誇れ feat.マナミ(Goose house)」/erica

 ただし、人は<綺麗に咲くように>と思うあまりに、心の育て方を間違ってしまうことも多々。たとえば、絶対に恋で失敗しないように奥手になって、日の当たらない場所で生きすぎたり。逆に、恋に焦って自分磨きをして、直射日光を浴びすぎたり。守りも攻めもバランスが難しいのです。でも、どんな失敗をしても、たとえ何かが一つ枯れてしまったとしても<その足元で もっと大きくミライが芽吹く>ことに、もう<私>はちゃんと気づいております。

めくり忘れたカレンダー
無駄に埋まってくスケジュール帳
埃かぶったままの雑誌
雑音で消されてく心の声
それでも譲れないものが私を動かすの
答えなんて最初から分かってたでしょう?

いつだって
嫌いな自分を見たくなくて
嫌いな人にうまく笑えなくて
嫌いを嫌いだと言えなくて
まだ春を待つ蕾だけど
好きな自分に近づきたくて
好きな人に好きだと伝えたくて
好きな夢を叶えたくて
だから 曲がっても咲き誇るわ
「咲き誇れ feat.マナミ(Goose house)」/erica

 ボーっとしているといつのまにか<埃>をかぶってゆく、今。そうならないためにも“私を動かす譲れないもの”=“誇り”が大切なんですね。わたしたちもつい、忙しい日々の中で忘れてしまいそうな、それぞれの<譲れないもの>を改めて自覚させてくれる。それが、erica「咲き誇れ feat.マナミ(Goose house)」という楽曲。最近、ちょっとお疲れなあなたに。お仕事を頑張っているあなたに。是非、聴いていただきたい1曲です!