飛べない鳥は今日も飛びたがり、飛べる鳥は飛ぶことをやめた。

 2018年5月30日に“コアラモード.”が2ndアルバム『COALMODE.2~街風泥棒~』をリリースしました。今日のうたコラムでは、今作に収録されている新曲「バードマン」をご紹介。何かを叶えたい。この現状を変えたい。いつも自分らしくありたい。そう理想を抱きながらも、なかなか現実では難しくて、胸の内がモヤモヤグズグズとしている方、いらっしゃいませんか…?

嫌われることを恐れた僕は
自らケージのトビラを閉めた
鳥のように 羽をたたんで

ストライプ柄のフィルター越しに
変わらない景色を睨んでいる
「かわいそうでしょ?」「わかってよ」
なんて思いながら
「バードマン」/コアラモード.

 この歌の主人公もまた、そんなモヤモヤグズグズを抱えているひとりです。きっと<僕>に生えている<羽>は、まだそこまで使ったことのない、飛べるかどうかもわからないようなものなのでしょう。それは【実力】とも言い換えられそう。しかし、その実力を思う存分に発揮する前に<僕>は“他人の目”という壁にぶつかり<嫌われることを恐れ>てしまいます。

 飛べなかったら、嘲笑われるかも。飛べたら、飛べない鳥たちから疎ましがられるかも。もっと上手に飛べる鳥たちからは「大したことないな」って思われるかも。そうやって“たられば”を考えるほど【実力を試すこと】に臆病になるんですよね。だから<自らケージのトビラを閉め>て安全なところへ逃げ込んで、このままじゃ変わるはずのない<変わらない景色>を自虐的・卑屈な気持ちで睨み続けるしかないのです。

ずっとここに 居たい訳じゃない
だけどここは 居心地がよくて
でも変わりたい 変われない
自分が居ることが悔しい
「バードマン」/コアラモード.

それでも僕ら 容赦ない批判
真実が何処にあるかなんて わからないくせに
偉そうに尖がって 口走るんだ

結局誰かの顔色を 伺うことばっかり上手になる
でも変わりたい 変われない
自分が居ることが虚しい
「バードマン」/コアラモード.

 続く歌詞からは、さらに<変わりたい 変われない>葛藤が強く伝わってきます。ここは居心地がよい。傷つかない。それなら、実力なんて試すことなく、自らを“飛べない鳥”だと決めつけて、自らに「これが正しい選択」だと言い聞かせて、生きてゆく道もあるでしょう。そして安全なケージのなか、誰かに対する<容赦ない批判>をして<偉そうに尖がって 口走る>側になってゆく…。実際に世の中、そんな人もたくさんおります。

 でも<僕>の<羽>は<変わりたい>と疼いているんです。本当は“飛べる鳥”になりたくてたまらないんです。今はまだ<容赦ない批判>を受け止める側になる覚悟なんて持てないし、いつも<誰かの顔色>ばかり伺ってしまう自分が、悔しくて虚しくなる。けれど、それは傷つけたくないほど大切な夢があるから。一見、逃げているだけに見える<僕>ですが、実はその<夢>を守るため必死に、ケージの中、心が闘っているのではないでしょうか。

バードマン 胸張って羽広げて
初めて見る自分の姿に どんな感情が押し寄せるの?
今はまだ幻想のままの バードマン

飛べない鳥は 今日も飛びたがり
飛べる鳥は 飛ぶことをやめた
答えなんてない 明日のトビラ開こう!

バードマン 胸張って羽広げて
初めて見る自分の姿に どんな感情が押し寄せても
今はまだ序の口なんだぜ バードマン

僕の心の中にいつも “バードマン”
「バードマン」/コアラモード.

 バードマン。ヒーローの名前ようなこの言葉は“飛べない鳥”だろうが“飛べる鳥”だろうが<胸張って羽広げて>自分らしく生きている人を表しております。そんな生き方をしたい。まずは、たたんだ羽を思い切り広げてみたい。その意志は、歌が進むにつれ、どんどんパワーアップしてゆきます。その意志が<僕>をどんどんパワーアップさせてゆきます。だからこそ終盤の<明日のトビラ開こう!>というワンフレーズは、冒頭のモヤモヤグズグズをすべて吹き飛ばしてくれるかのように響くのです。

 変わりたいけど変われない。変われないけど変わりたい。日々、葛藤と闘っているあなたも是非、コアラモード.のこの曲を聴いて<心の中にいつも “バードマン”>の意志を掲げてみてください。

◆2ndアルバム『COALAMODE.2~街風泥棒~』
2018年5月30日発売
初回生産盤 BVCL-888~889 ¥3,800
通常盤 BVCL-890 ¥3,000円

<収録曲> 
1.トライアゲイン
2.恋愛定規
3.花鳥風月
4.バードマン
5.大旋風
6.位置エネルギー
7.ホップステップジャンプ
8.Hurray!(フレー!)
9.気球にのって
10.ごらんください
11.どろぼう猫
12.僕に足りないものは
13.セキララ☆キラキラ
BUNUS TRACK サラバ、愛しき悲しみたちよ