綺麗事は、ほんとは綺麗なままでした。

 2017年11月22日に“近藤晃央”が配信シングル「相言葉」をリリース!歌ネットでは、11月15日から歌詞先行公開がスタートし、注目度ランキングの3位も記録いたしました。今年9月にメジャーデビュー5周年を迎えた彼が、6年目の第1弾として発表するこの曲は、ラジオ番組でファンやリスナーの方々から募集したそれぞれの【ひとりじゃなかった】エピソードを、ひとつの歌として紡いだバラード。いくつものノンフィクションな想いが詰まった楽曲なんです。

 【ひとりじゃなかった】と気づく瞬間があったということは、それまではひとりぼっちだと思っていた時間もあるということ。きっと、他者を信じられない時間が長ければ長いほど【ひとりじゃない、なんて綺麗事だ】と、何度も自分自身に呪文をかけてしまうものなのだと思います。すると、その自分越しに見る世界は【綺麗事フィルター】がかかった状態となるのでしょう。

大切なものをこんなものと
捨てようとした日もあったんだ
いつの間にか君は探してくれたのに
「見つからなくてごめん」
なんて言わないで
「相言葉」/近藤晃央

 だから<僕>は、かつて<大切なものをこんなものと 捨てようとした>のです。その<大切なもの>とは、何らかの“物”である人も、目に見えない“愛”や“夢”である人も、誰かからの「大丈夫」「泣いたっていいんだよ」「逃げたっていいよ」「悲しさも分けてよ」といった“言葉”である人もいるでしょう。ただ、いずれも自分の【綺麗事フィルター】によって<こんなもの>に感じられておりました。

 時には大切な人に「君にはわからないよ」なんて言ってしまうこともあったのではないでしょうか。しかし、そんな<僕>を見捨てずに「見つからなくてごめん」=“あなたをわかってあげられなくてごめん”と、いつだって寄り添おうとしてくれていた<君>の気持ちや行動によって、自分で心にかけていた【ひとりじゃない、なんて綺麗事だ】という呪文は少しずつ解けてゆきます。

ひとりじゃないとか味方だよとか
綺麗なフレーズを疑ってた僕が
信じてみたくなったのは 君にもそう伝えたいから
「相言葉」/近藤晃央

濁らせたこの眼を洗うよ
綺麗事は ほんとは綺麗なままでした
「相言葉」/近藤晃央

 自分自身が疑っている言葉を伝えたら、それは嘘になってしまう。大切な<君>に<伝えたい>から、まずは<僕>が<綺麗なフレーズ>を信じてみたい。そんな誠実な気持ちを誰かに抱いていることこそが【ひとりじゃない】と、信じ始めている証ですよね。もう世界に【綺麗事フィルター】はかかっておりません。やがて気づくのは、誰かに【ひとりじゃない】と伝えるとき、それは綺麗事なんかじゃなく、自分もまた【ひとりじゃない】と信じているのだということ。まさに<綺麗事は ほんとは綺麗なまま>なのです。

大切とはどんなもの? まだ僕らが見つけられなくても
一緒(とも)に探してゆけたのなら
きっともうここにあるはずだね
「泣いたっていいんだよ」
そんな言葉をくれた人と 笑い合ったんだ
それは それはまるで 相言葉
「相言葉」/近藤晃央

 そして<綺麗事は ほんとは綺麗なまま>だと気づいた<僕>はやっと、相手からのまっすぐな言葉を捻くれず受け取り、心から笑い合うことができるのでしょう。ちなみに、【相】という漢字は、“木”と“目”が向かい合っていることから【互いに】【助ける】という意味も含んでいるんだそう。それを知ると「相言葉」というワードに込められた思いがより一層、伝わってきますね…!
 
 すでに【ひとりじゃなかった】と気づかせてくれた誰かに出逢えたという方は、その人を思い浮かべながら、まだ【ひとりじゃない、なんて綺麗事だ】と感じている人は<君>として“近藤晃央”を、“近藤晃央の歌”を、思い浮かべながら是非、じっくりと「相言葉」を聴いてみてください。