「ありがとう」も「さよなら」も僕らにはもういらない。

 今年デビュー25周年を迎えた“Mr.Children”が、2017年7月26日にニューシングル「himawari」をリリース!タイトル曲は、作家・住野よるさんのベストセラー小説実写化映画『君の膵臓をたべたい』主題歌として書き下ろされました。7月28日から公開されるこの映画のヒロインは、膵臓(すいぞう)の重病を患う女子高生・山内桜良(浜辺美波)。彼女の病気を知ることとなるのが、クラスメイトの【僕】(北村匠海)です。さらに映画では、原作にはない12年後の“現在”が描かれ、二つの時間軸が交錯しながら物語が進んでゆく模様。

 あらすじを少しご紹介しますと、高校生の【僕】は、桜良が書いていた『共病文庫』=“闘病日記”を偶然見つけたことから、一緒に過ごすようになってゆきます。しかし、眩いまでに懸命に生きた彼女の日々は、やがて終わりを告げるのです。そんな桜良の死から12年。彼女の言葉をきっかけに母校の教師になった【僕】(小栗旬)と、彼女の親友であった恭子(北川景子)は、時を同じくして桜良と過ごした日々を思い出していました。そして、あることをきっかけに二人は、桜良が伝えたかった本当の想いを知るのですが、その真実とは…?

優しさの死に化粧で
笑ってるように見せてる
君の覚悟が分かりすぎるから
僕はそっと手を振るだけ

「ありがとう」も「さよなら」も僕らにはもういらない
「全部嘘だよ」そう言って笑う君を
まだ期待してるから
「himawari」/Mr.Children

 そのエンディングを彩るのがミスチルの「himawari」です。春の花の名前を持つ“桜良(さくら)”を失ってからも、残された人たちはその先を生きていくのだというメッセージを、夏の花である“himawari(ひまわり)”というタイトルから感じます。歌詞にはまず、過去を振り返る【僕】が描かれております。<死に化粧>とは、亡くなった方のお顔を整え、薄化粧をすること。きっと桜良は【僕】のために、優しさで<笑ってるように見せて>、美しく“最期の記憶”を作りあげたのでしょう。
 
 ただ、彼女が自ら施した<死に化粧>の下には、痛みや苦しみ、悲しみ、不安、恐怖だって、たくさんあったはず。それでも、その負の感情を超える強い<君の覚悟>と、それが分かりすぎるからこそ<そっと手を振る>ことでしか応えられなかった【僕】…。そのような二人の関係が、冒頭のたった4行から伝わってくるのです。続くフレーズには、現実を“受け入れるんだ”という想いと“本当は受け入れたくない”という想い、いろんな感情のなかで葛藤する【僕】の姿も見える気がします。

想い出の角砂糖を
涙が溶かしちゃわぬように
僕の命と共に尽きるように
ちょっとずつ舐めて生きるから
「himawari」/Mr.Children

透き通るほど真っ直ぐに
明日へ漕ぎだす君をみて
眩しくて 綺麗で 苦しくなる
暗がりで咲いてるひまわり
嵐が去ったあとの陽だまり
そんな君に僕は恋してた
そんな君を僕は ずっと
「himawari」/Mr.Children

 そして現在、【僕】は彼女が残してくれた、たくさんの<想い出の角砂糖>を<ちょっとずつ舐めて>、それを力に生きています。またサビの<暗がりで咲いてるひまわり>というフレーズこそ、まさに彼女の生き方そのものなのでしょう。ひまわりは、太陽の方を向いて伸びてゆく花。でも“暗がり”で咲いているということは、そこに太陽はありません。おそらく、彼女は自分の心の中の“太陽=希望”に向かって、咲いていたのではないでしょうか。つまり<嵐が去ったあとの陽だまり>とは、その心の太陽が生み出すあたたかい場所。だから【僕】にとって<君>は、ひまわりでもあり陽だまりでもあったのです。
 
 曲を聴き、歌詞を読むだけでも、いかに【僕】にとって桜良が大切な存在であったのかということがわかりますね。映画のエンディングで、物語の最後を締めくくる優しい「himawari」のメッセージを是非、劇場でも受け取ってみてください。

◆New Single「himawari」
2017年7月26日発売
初回生産限定盤(CD+DVD) TFCC-89627 ¥1,648+税
通常盤(CD) TFCC-89628 ¥1,389+税

<収録曲>
1.himawari
2.メインストリートに行こう(Hall Tour 2017ヒカリノアトリエ)
3.PIANO MAN(Hall Tour 2017ヒカリノアトリエ)
4.跳べ( Hall Tour 2017ヒカリノアトリエ)
5.終わりなき旅(2017.4.23 YOKOHAMA)
6.忙しい僕ら