言葉をくちづけにかえて
夜の永さ 見ないように
待つことにした
掴もうとしたはずの手で
放してしまった昔の夢
夜の寒さ 震えながら
暖め合うことにした
「消えない星」/チャットモンチー
今年、地元徳島にて初の主催フェスを大成功させ、10周年を華やかに締めくくった“チャットモンチー”が1年8ヵ月ぶりのニューシングル『majority blues / 消えない星』を11月30日にリリースしました!冒頭でフレーズをピックアップしたのは、蒼井優さん主演の映画『アズミ・ハルコは行方不明』主題歌。今日のうたコラムでは、映画のあらすじと共に「消えない星」の歌詞をご紹介いたします!歌の中の主人公が、言葉に、くちづけに、かえた<不安>とは?そして<待つことにした>ものとは…?
映画『アズミ・ハルコは行方不明』は、蒼井優さん演じるOL・安曇春子(28)の失踪を核に、異なる時間軸で“アラサー、ハタチ、女子高生”それぞれの姿を描いた作品です。ヒロインの春子は失踪前、27歳。実家暮らしで恋人もおらず、会社では上司から「女は若いうちに結婚するべきだ」とセクハラ三昧の言葉を浴びせられる日々…。では、27歳とは“まだ”27歳なのでしょうか、それとも“もう”27歳なのでしょうか。おそらく春子自身が抱いたのは後者の感覚で、冴えない現状からどんどん焦燥や空しさが膨らんでゆきます。
そんな中で偶然再会した男性が、石崎ひゅーい演じる同級生・曽我。そして、お互いの孤独を埋め合うように身体を重ね、付き合うという言葉はないまま“恋人のような関係”に…。ここまでの春子の姿はまさに、主題歌「消えない星」の主人公と重なるようですね。一体いつ、人生の夜明けが来るのかわからない<不安>を見ないようにして、同じ空しさを抱える相手と<暖め合って>いるのです。しかしある日、春子はコンビニでバイトをしている噂好きの同級生から、曽我に関する衝撃の事実を聞かされ……ここからは映画を観てのお楽しみです。
あなたを愛する時間がほしい
あなたより一秒長生きして
死ぬほど愛する時間がほしい
あの世もこの世も迷いそうだから
怖がりのあなたと 空の上で
目(てん)と目(てん)でつながる
待っていた闇に2つの火
最初の線を越えるだけで2度と
帰れなくなるのに
わたしを愛する時間をあげたい
わたしより一秒長生きして
死ぬほど愛する記憶になりたい
あの世もこの世も同じように
強がりのわたしと 空の上で
「消えない星」/チャットモンチー
さて、主題歌の作詞を手がけたのはメンバーの“福岡晃子”で、この曲について「脚本を見て、迷わず歌詞を書きました。実はもう存在しないかもしれない星にも、ひとは願いをかけます。それぐらい事実なんてものは、人間にはあまり関係のないことなのかもしれません。ひとの中にあるそれぞれの真実が世界をつくっていて、それが美しいときと、どうしようもなく不条理に思えるときがあることを目の当たりにする映画だと思います。」とコメント。
<死ぬほど愛する時間がほしい>、<死ぬほど愛する記憶になりたい>…歌の主人公がずっと待っているもの、願っているものとはきっと、ただ愛し愛されながら生きてゆく日々なのでしょう。それはきっと春子も同じ。また、映画に登場するハタチの愛菜(高畑充希)も、女子高生たちも…。そんな女性たちの気持ちが、時に美しく、時にイビツに表現されているのが映画『アズミ・ハルコは行方不明』、そして主題歌「消えない星」です。劇場に足を運んだ方は是非、物語も歌詞も最後までじっくり味わってみてください…!
◆New Single『majority blues / 消えない星』
2016年11月30日発売
初回生産限定盤 KSCL-2807 ¥1,265+税
通常盤初回仕様 KSCL-2808 ¥1,165+税
<収録曲>
1.majority blues
2.消えない星
3.とまらん