めっちゃ嫌な夢と金縛りで悲しいけど理解されない

 2023年11月8日に“空白ごっこ”が1st Full Album『マイナスゼロ』をリリースしました。今作には、「go around」「ゴウスト」「乱」「色鯉」「羽化」「サンデーミュージックエモーション」「come around」という新曲7曲に加え、すでに収録が発表されている既発曲を含めた全13曲が収録されております。
 
 さて、今日のうたコラムではそんな“空白ごっこ”のセツコによる歌詞エッセイを3週連続でお届け。今回が最終回です。綴っていただいたのは、収録曲「サンデーミュージックエモーション」にまつわるお話。作詞作曲を手掛けたのはメンバーのkoyori。セツコがとくに自身にリンクするフレーズは…。歌詞と併せて、エッセイを受け取ってください。



「サンデーミュージックエモーション」
 
キャッチーなタイトルですよね。私は作詞者でも作曲者でもないので、今回は自分なりの解釈やそれに伴う思い出とかを織り交ぜながらつらつらと書こうかなと思います。
 
この曲は迫り来る現実から逃げるように自暴自棄になっている子をアンニュイ且つポップに描いたものだと解釈しています。日曜日の“まだ休日だから”っていう休息感やだらけた安心感と、明日からまた始まる社会生活への憂鬱。そういうものに挟まれながら、一人で気怠く少し情緒的になっている人の様子を浮かべながら歌を録りました。
 
学校とか会社とか得意です? 私はとにかくダメ、めっちゃ苦手。まあ、大得意という人も少ないんじゃないですかね。学校でもバイト先でも浮きます。運が良ければそっとしておいてもらえたり謎キャラ扱いで面白がってもらえたりするんですが、悪ければ陰口叩かれたり嫌味とか言われていました。あまりにも周りの会話や雰囲気に馴染めなくて戸惑った結果、隅の方でギョロつくとかしかできず“触るな危険”化した学生生活を送っていたこともありましたね。
 
そんな拗らせ絶頂思春期のセツコちゃんは特に月曜日の前日になると変な夢を見てうまく寝れなかったり体が強ばりすぎて首肩ガッチガチになったりしていました。特定の理由はうまく言えないんですが本当に行きたくなくて、でも周りの人に言うと考えすぎだとか大袈裟だとか言われて分かってもらえないことが多々。
 
この曲の<めっちゃ嫌な夢と金縛りで悲しいけど理解されない>とまさにおんなじ状況で、そういうのを繰り返すうちに微温風呂や長風呂じゃなかったけれどいつの間にかちょっと変な癖とかもついたり、色々含めて理解されないと感じることがよくありました。
 
こんなに浮いているけど社会に混ざらなきゃいけないという気持ちはあって、でも「別に間違ってないのになんで変わらなきゃいけないんだろう?」という本音もボロボロ出てきてとにかく毎日気分が悪かったです。
 
この曲の歌詞のもう一つ私と同じだな~と思う部分は<変な名前のアカウント私 別に隠してるわけじゃない>という歌詞。現実から逃げるようにSNSに居場所を作っていた私はSNSの中の方が上手くやれてたり良く見せられてる気がしていて、バレたらバレたでめちゃくちゃ焦るんですけど、学校のみんなに見つかった方が幾分気分がいいんじゃないかとかもよく考えていました。
 
今考えるとそれをしていたら余計浮いてたと思うので当時の小心さに助かったのですが、そういうことばかりよくよぎっていましたね。ちなみにセツコという名前も中高生の時に作った変なアカウントの名前がそのまま受け継がれているので、この詞を見た時はちょっと嬉しかったです。
 
こうでなきゃいけないという思いと無理に変わりたくない自分の板挟みで、朝も昼も夜も疲れて怠い。たまにトラウマのフラッシュバックとか恐怖の出来事に震えながら耐えるも、拒否したり突っぱねたりすることはできないまま悶々と10代を過ごしていた自分にとって、この曲はまさにその頃の私の1日です。
 
そして鎮痛剤代わりに布団の中で永遠リピートしていたダウナーポップな楽曲たちの雰囲気に近くて、空白ごっことしては珍しい曲ですが個人的にはルーツ的に感じています。マイアンセム、ノスタルジー。皆さんも是非癖になって朝まで、昼まで聴いてください。
 
<空白ごっこ・セツコ>



◆紹介曲「サンデーミュージックエモーション
作詞:koyori
作曲:koyori
 
◆1st Full Album『マイナスゼロ』
2023年11月8日発売
 
<収録曲>
1.go around
2.ゴウスト
3.乱
4.ゼッタイゼツメイ
5.色鯉
6.びろう
7.羽化
8.ラストストロウ
9.サンデーミュージックエモーション
10.かみさま
11.ファジー
12.サンクチュアリ
13.come around