その先にある“感動”を掴む為に。

 2023年3月1日に“lynch.”がニューアルバム『REBORN』をリリースしました。今作ではメンバー全員が曲作りを行い、それぞれが作曲した楽曲(全10曲)が収録。一時活動休止や武道館公演の大成功を経て、変わらない部分と進化した部分が交わり“lynch.の今”をより色濃く放つ作品に。そのタイトルの通り、復活を遂げた今だからこそ生み出された渾身の作品に仕上がっております。
 
 さて、今日のうたコラムではそんな最新作を放った“lynch.”の明徳による歌詞エッセイをお届け!綴っていただいたのは、今作『REBORN』にまつわるお話です。“REBORN=生まれ変わる”というタイトルを掲げるアルバムにたどり着くまでに経験したこと、体感したこと、気づいたこと…。ぜひ楽曲と併せて、エッセイを受け取ってください。



映画『THE FIRST SLAM DUNK』を観た。

もちろんこれはバスケの話なんだけど、湘北バスケ部を自分のバンドに置き換えて、この作品を観てしまったバンドマンは結構多いんじゃないかなと思った。ここではストーリーの内容については触れんけど、バンドをやっていて、個性的な仲間達と一緒に頑張ってこられて良かったなと、自分のバンド人生を誇りに思える。そんな素敵な内容の映画だった。
 
前置きはこんなところで、最近特にlynch.という塊になった時に起きる不思議なパワーというかバンドマジックを痛感している。

演奏力や音楽理論なんてものを超越した、ふとした瞬間の鳥肌が立つ感じ。それがどんどん増えてきていて。これだけは長い年月苦楽を共にしてきたlynch.の5人でlynch.の曲を演奏した時にしか出せないグルーヴなんだと言い切れるし、人を感動させられる力なんだと思う。
 
個人的に去年はlynch.以外のサポートの現場が多く、沢山の名だたるプレイヤーの方々と音を合わせてきた。皆、圧倒的な演奏力を持ち、音楽理論を日々勉強しているんだけど、共通して、観に来たお客さんを“感動させる”為に切磋琢磨している。逆に言うと、オリジナルメンバーでは無い故に、音だけで毎回勝負するしかないというシビアな世界だった。
 
僕の師匠の人時氏の更に師匠にあたる佐久間正英氏の著者にも、テクニカルなプレイどうこうでは無く一音一音に責任を持って演奏するのがプロとして求められる事である。というような事が書かれていて、それを痛感した一年だった。
 
オリジナルのバンドというのは、バンドというだけで許されてしまう状況が多々存在していて、そこを勘違いしていると前述したバンドマジックの力だけではスタジオミュージシャンの演奏力、音楽力の産み出す“感動”には敵わなくなってくる時があるんだと思う。
 
lynch.も慢心していた訳では無いけど、lynch.という存在が動くだけで巻き起こる力に頼り過ぎていた節はあったのかもしれない。ただ幸いな事に昨年約一年間活動を止めて、それぞれがバンドと音楽に向き合う時間を作った。リーダーの一言で半ば強行的にその時間は作られたんだけど、結果的にはlynch.はこれをきっかけに強くなれたと思う。
 
今回リリースした『REBORN』は、lynch.という名前に負けない力をつけたこの5人がまた集まって1から動き始める、そんな意思表明でもあるアルバムです。
 
20年近く活動してきて、武道館公演を成功させた直後に出すアルバムとしてはかなり冒険しているんだけど、もっと先の未来を見た時にこのタイミングの冒険は大きな意味のある決断だったと言えると思う。
 
毎回思い通りに上手くいく事なんて無くて、悔しい思いをする事がほとんどだけどその先にある“感動”を掴む為にこれからもやっていくし、lynch.にしか見せられない“感動”を見せていきたいです。
 
『REBORN』を聴き込んで、スラムダンクの映画を観て、REBORNツアーに来てライブをみて貰えば感動できる事間違いなし!
 
<lynch. 明徳>



◆ニューアルバム『REBORN』
2023年3月1日発売
配信:https://king-records.lnk.to/reborn
 
<収録曲>
ECLIPSE 
THE FORBIDDEN DOOR 
NIHIL 
ANGEL DUST 
CRIME 
BLEU 
PRAGMA 
CANDY 
CALLING ME 
SINK