そばにいるからそばにいてほしい。

 2023年2月1日“reGretGirl”がメジャー2ndフルアルバム『tear』をリリースしました。今作には全12曲が収録。これまで作品の多くが”失恋”を題材に制作されてきましたが、本作では“涙”を通して「あなたに寄り添い続ける音楽を」というメッセージが込められております。失恋だけではない、あらゆる「泣きたいこと」に手を差し伸べるreGretGirlの新作にご注目を!
 
 さて、今日のうたコラムでは、そんな最新作を放った“reGretGirl”の平部雅洋による歌詞エッセイをお届け! 綴っていただいたのは、今作『tear』に通ずる想いです。年を重ねてきた彼が今、新たなアルバムを届けるにあたり、伝えたい言葉は…。歌詞と併せて、このエッセイを受け取ってください。



reGretGirlはこの度、2月1日にMajor 2nd Full Album 『tear』をリリースいたしました。これも日頃から応援してくださる皆様のおかげでございます。本当にありがとうございます。
 
今回はこのアルバム『tear』に纏わる、セルフライナーノーツの様なものを書かせていただきました。是非アルバムと合わせてご一読ください。
 
昼間から自室に引きこもり、気がつけば日は暮れ部屋は冷房で冷えきっていた。もう何時間も創作に頭を抱えていたので、進まない筆を置き缶ビールの栓を開けた。冷房の風は頭をより重く感じさせたので、夜風にあたるため窓を開けた。八月の十九時はまだ日光の残滓が混ざったような薄暗い空だ。この夜空には覚えがある。不意に蘇る記憶。これは十五歳の夏、吹奏楽コンクールの結果に悔し涙を流した夜と同じ夜だ。そう確信した瞬間込み上げてくるものがあり、何故だか涙が溢れた。
 
悲しいわけでも、悔しいわけでも、嬉しいわけでもない。この涙は「懐かしく」て流れたのだ。これは時間をかければかける程培われるもので、“大人になった”副産物であり、この涙をとても美しいものだと感じた。これから人生が続くほど、この尊き涙が流れるのであれば、大人になるのも悪くないと思えた。
 
「忘れられない瞬間」は一長一短で、歳を重ねるごとに増える。部活動に明け暮れ全てを注ぎ込んだ夏を、何も手につかなくなった身を焦がすほどの恋を、友が亡くなり空虚な心を埋め合うように居酒屋で飲んだビールを。他にも数え切れないほどその「瞬間」は存在する。不意にこれらの記憶の琴線に何かが触れ、また美しい涙を流せるようにありたい。
 
いくつになろうと悩み尽きぬ日々。現状へ満足を得られず満たされはしない。苦役を強いられている様だと感じる今、理不尽を目の前に、飲み込んだその言葉は溶かした鉄の様に熱く、心を焼き尽くす。「悔し涙を堪えるな、今日ぐらい泣いても良いのだ。」と先ず己に明言する。とりあえず生きてさえいれば、いつか笑える日を迎えることを覚えた僕から伝えたい事は単純だ。
 
「そばにいるからそばにいてほしい」
 
reGretGirlはフルアルバムをリリースした。きっと何度もこれから使う言葉だと思う、しかし大切だからここに書く。
 
「今の我々の“全て”が詰まったアルバムが完成しました。是非、愛してあげてください。」

<reGretGirl・平部雅洋>


◆Major 2nd Full Album『tear』
2023年2月1日発売
 
<収録曲>
1. ギブとテイク
2. best answer
3. サムデイルーザー
4. ダレヨリ (Album Ver.)
5. KAWAII
6. winter
7. ルックバック
8. 車の中から
9. サンシャワー
10. ハングオーバー
11. remind
12. tear