二人が口をそろえてCity popを歌うことを勧めてきたのだ。

 メジャーデビュー10周年を迎え、来年3月27日(日)に初の日本武道館単独公演開催を発表した“Ms.OOJA”が、7ヶ月連続でデジタルシングルを配信リリース!2021年8月16日に第6弾となる新曲「Cold Kiss」をリリースしました。世界中で大ヒット中のJapanese City Pop Movementの流れと歌謡テイストをリンクさせたミッドチューン。真夏の夜を彩る甘く艶のある大人の1曲に仕上がった今作は、これまで数々の楽曲でタッグを組んできたJiNと、気鋭の作・編曲家の川嶋フトシとMs.OOJAとで制作されました。
 
 さて、今日のうたコラムではそんな“Ms.OOJA”による歌詞エッセイをお届け。今回はその第7弾。綴っていただいたのは、新曲「Cold Kiss」にまつわるお話です。100曲近くの楽曲をカバーしてきた彼女だからこそ、生み出すことができたこの曲。Ms.OOJA流の“City Pop”を、エッセイと併せてじっくりとお楽しみください…!

~歌詞エッセイ:「Cold Kiss」~

今回のコラムは7ヶ月連続配信第6弾「Cold Kiss」。ついに7ヶ月連続配信も6弾まで来て、このコラムも今回と残すところあと1回となりました。

「Cold Kiss」はシティポップをテーマにJiNとのコライトで出来上がった楽曲。JiNとはデビューの頃から一緒に制作をしていて、数々のオリジナルはもちろん。カバーのアレンジでも大変お世話になっている。JiNは、R&BやHIPHOPはもちろん、王道のPOPSやラテンや歌謡曲テイストなメロディーラインも得意とし、国内外問わず数々のヒット曲も手がけているプロデューサーだ。

数年前に韓国料理を食べながら、「いつか歌謡曲のカバーアルバムを出したいからJiNちゃんアレンジしてなー」という話しの流れから、JiNにもアレンジ参加してもらった昨年「流しのOOJA~VINTAGE SONG COVERS~」のリリースに至っていたりもする。その中に収録された松原みきさんの「真夜中のドア/Stay With Me」が今世界的にリバイバルヒットしていることは知っている方も多いと思うが、これは本当に偶然のタイミングだった。

2015年にNHKの歌謡番組『新BS日本の歌』に初出演した時に、プロデューサーからリクエストされた楽曲が「真夜中のドア/Stay With Me」だった。その時、あまりのかっこよさに衝撃を受けたことを覚えている。そこから歌謡曲、歌謡ポップスというジャンルに興味を持つようになった。

デビュー前からカバーというものをライフスタイルにしてきて、かれこれ100曲近くの楽曲をカバーしてきた。正直、サブスクのランキングなどを見てもわかるように、オリジナルよりもカバーが上位にいる割合が圧倒的に高い。昔はそのことにやきもきしたり、「カバー聴いてます!!」というファンの声に素直に喜べない部分もあった。でも本来、私はカバーが大好きだ。

そして原曲に対するリスペクトはもちろんありながらも、カバーでもオリジナルでもMs.OOJAが歌うということには変わりなく、数ある曲の中からMs.OOJAを選んで聴いてもらえている事実を誇らしく感じている。カバーが導入となりファンになってくれた人もたくさんいる。私にとってカバーもオリジナルも同じくらい大切なものと今ならはっきり言える。

カバーの良さは、リスナーの間口を広げてくれるだけではなく、シンガーとしての経験値を一気にあげてくれるところだ。これはレコーディングをすることで初めて得られる体験かもしれないと思っている。レコーディングをする上では、それこそオリジナルもカバーも関係なくなるからだ。歌手として、ただの1曲と丸裸で向き合って、共同作業をしていく感覚は変わらない。

しかしそこにあるのは、まだ誰にも知られていない新曲ではなく、多くの人に愛され歌い継がれてきた名曲なのだ。あの有名歌手もこの過程を経たのかと、つまり名曲が生まれる瞬間を追体験出来ると言っても良いのかもしれない。

名曲を歌える喜びと、それを歌い継いでいく責任感。それは歌手としてたくさんのことを学ばせてくれている。だから私はこれからもたくさんの名曲をカバーしたいし、それを超えるオリジナルも作っていきたいと、カバーに対する闘志も燃やしている。

そんな中、生まれたのがこの「Cold Kiss」だ。まさに「真夜中のドア/Stay With Me」から感銘を受け、City popをMs.OOJAなりに落とし込んで表現したいと制作していった1曲。うねるようなベースラインと爽快なブラスが、アーバンでトレンディな雰囲気を醸し出しているし、アンニュイみのあるボーカルと歌詞も我ながらとても気に入っている。

この曲はストックではなく、いわゆる書き下ろしだ。まさに今!という感じで作り上げた。素晴らしいアレンジをしてくれたJiNとFutoshi Kawashimaに大きな感謝だ。早くライブで歌いたくてしょうがない。

そういえばこの曲を作りながら思い出したことがある。2019年のSHINE TOURを終え、東京公演を観に来てくれた、10代からの旧友であるHOMEMADE家族のKUROとシンガーソングライターのルンヒャンとご飯を食べていた時のこと。

二人が口をそろえてCity popを歌うことを勧めてきたのだ。ステージを見ていてそれを感じたそうだ。OOJAには絶対合う!ヒットする!と言われて正直、当時はぴんと来なかったのだけど、なんとも自然な流れでCity popを歌うことになって、まるで予言のような言葉に驚いている。

「Cold Kiss」がヒットすれば更に予言は大当たりになるわけで、そうなることを強く願っている。

<Ms.OOJA>

◆紹介曲「Cold Kiss
作詞:Ms.OOJA・JiN
作曲:JiN・Ms.OOJA