ずっと言えずに抱えてきた事を全部、今日、私はあなたに伝えます。

 2021年6月23日に“こゑだ”が1st Album『Individuality』をリリースしました。自身作詞作曲の楽曲をはじめ、初の楽曲提供など全15曲が収録。こゑだは今作について「魂を込める瞬間、世界と世界が交わっていく。とびきりの個性がぶつかり合い、融合し、1枚のアルバムが出来ました」とコメント。是非、その歌声と世界をご堪能あれ…!
 
 さて、今日のうたコラムではそんな最新作を放った“こゑだ”による歌詞エッセイを3週連続でお届け。今回は第1弾。綴っていただいたのは、新曲「」にまつわる一通のお手紙です。<あなた>に伝えたい本当の気持ちを、歌詞と併せてお楽しみください。

~歌詞エッセイ第1弾:「」~

ごめんね。

私、本当は処女じゃないの。
ずっと、嘘ついてたの。
十三歳の夜、見ず知らずのおじさんと紙切れ一枚で。
それがはじまりだったの。
一人だけじゃない。
何人も相手にしてきた。
後悔してるの。
あなたに嫌われるのが怖くてずっと言えないでいたの。

ごめんね。

それから、それからね
十六歳の時、初めて子供を産んだの。
男の子。

私、母親とすごく仲が悪くて
中学を卒業してすぐに家を出て
ずっと一人で暮らしていたの。

父親もあの人の言いなりだった。
学校のテストで満点をとった時も
「調子に乗るな」って言われて
音楽の先生にピアノを褒められた時も
「その程度で思い上がるな」って言われて
そんな家にいるのが大嫌いだったの。

一人暮らしは大変だった。
お金がなくて、よく電気もガスも止まって
それでも父親や母親のいる家に帰るより
余っ程良かった。
トイレットペーパーも買えなくて
スーパーのトイレでこっそり盗んで帰った事もあった。
生きていく事に必死で無我夢中だったの。

そんな時、助けてくれたのが先生だった。

子供ができたって分かった時、
私とても怖くなって逃げ出した。
全部先生に押し付けて。
最低だよね。
きっと、あの子も私の事恨んでると思う。

ごめんね。

あなたと初めて出会った時、
本当は誰でもいいって思ってた。
寂しさを埋められるなら、
誰だって、何だって良いって思ってたの。

それなのに、
あなたは否定的な私を叱って
夢や希望を教えてくれた。
私が幼い頃に思い描いていた事
全部あなたが思い出させてくれた。

こんな私を「愛してる」って優しく包み込んでくれた。

過去を忘れる事ばかり考えていた私に
明るい未来を沢山描いてくれた。

あなたの事、本気で好きになったの。

知らない方があなたの為だって
本気でそう思って言えずにいたけど
これ以上嘘を重ねるのは嫌だから
これっきり、嘘つきも全部終わり。

本当はすごく怖い。
明日になったら後悔するかなって、
不安で押し潰されそうになる。
だけど、本当の幸せを教えてくれたあなたに、
ずっと嘘をついていられないから。

ずっと言えずに抱えてきた事を全部、
今日、私はあなたに伝えます。

<こゑだ>

◆紹介曲「
作詞:こゑだ
作曲:こゑだ

◆1st Album『Individuality』
2021年6月23日発売
BZCD-004 ¥3,500(税抜)

<収録曲>
1.Input
2.パープル
3.Straw
4.Little Daisy
5.18
6.Middle Finger
7.V.I.P.
8.ふたりで
9.嘘
10.毒針
11.二等辺三角関係
12.ピーポーピーポー
13.滅亡前夜
14.Output
15.Little Daisy -Individuality -*CD ONLY