YONA YONA WEEKENDERS

僕は一杯のラーメンにかける男の生き様を見た

 2021年1月20日に“YONA YONA WEEKENDERS”が3rd EP『唄が歩く時』をリリースしました。今作は「これまでとこれから」をテーマに、歩んできた人生と、未だ見ぬ明日に対する様々な感情のコントラストを映し出しております。磯野くん(Vo.)の艶やかでウォームな歌声と、郷愁を帯びたメロディライン、よりグルーヴィーで粘りのあるバンドサウンドで、未知なるアフターコロナを突き進む全5曲を収録…!

 さて、今日のうたコラムではそんな最新作を放った“YONA YONA WEEKENDERS”の磯野くん(Vo.)による歌詞エッセイを2週連続でお届け。今回は前編です。綴っていただいたのは、収録曲「君とdrive」、「Lonely Times」、「R.M.T.T」にまつわるお話。それぞれの歌詞には一体どのような背景・感情があるのでしょうか。是非、このエッセイを読んでいただいた上で、歌詞をじっくり味わってみてください。

~歌詞エッセイ【前編】~

M-1. 「君とdrive

高校時代、僕はマジでモテなかった。

手前味噌ながら、中学時代は結構モテていた。勉強もそこそこ出来たし、生徒会副会長も務めており人望もあった。下級生から告白されたり、修学旅行先の沖縄でミンティア味のファーストキスを経験したり、どちらかと言うとイケてる側の男子だったと思う。

だが、僕が進学した高校には全国選りすぐりのアスリート達を集めたスポーツ科があり、女子の人気の的は大体野球部かサッカー部に集中していた。帰宅部だった僕は見向きもされない、中学の頃とは違う環境がそこにはあった。

そんな奴らに一矢報いようとエレキギターを手に取り、“チョコチップメロンパンズ”というパンクバンドを結成。満を持して文化祭のライブに臨んだが、同時進行で行われていたスポーツ科生徒による「マッスルミュージカル」なるものに女子の動員を根こそぎ持って行かれ、敢え無く撃沈した。

モテはしなかったものの、バンド活動は思いのほか楽しく続けるうちに今日に至るのだが、思春期の悶々とした感情を発散させてくれたのはハイスタと柚木ティナ(のちのRio)だった。

「君とdrive」は、あの頃の胸の高鳴りと妄想が原点となった軽快なナンバーだ。


M-2.「Lonely times

“ツマミになるグッドミュージック”などと謳うぐらいの酒好きなのですが、実は僕はあまりお酒が強くない。

それに拍車をかけるように、30代に突入してからというもの、半端じゃないくらいお酒が体に残る様になった。20代の頃、飲みすぎて「二日酔いだ~」とか言いながら出社していたが、あれは多分気のせいだ。本当にそう思える位に、今の二日酔いは現代のパ・リーグとセ・リーグ程のレベルの差がある。

電車内で気絶した様になっている父親ほどの年の、泥酔リーマンを見かけるたびに「良い歳してこんなになるまで飲むなよ……」と軽蔑の眼差しを向けていたが、本当に謝りたい。僕もあと10年くらいしたら、きっと同じ様になってるんだと思う。

でも、それでもお酒は辞めないんだろうな、楽しいもんな。何度後悔しても止められない二日酔いの朝に飲む味噌汁と共に聞いてほしい。


M-3.「R.M.T.T

“R.M.T.T”=「ラーメン食べたい」である。

このタイトルを考えた当時の自身のセンスを疑うし、何故誰も止めてくれなかったのかと不思議に思う今日この頃だが、この曲を語るにはとあるラーメン屋の話をする必要がある。自称ラーメンマニアの僕が杉並区・方南町に住んでいた頃、近所にそれはそれは大好きなラーメン屋があった。

そこは環七沿いに位置する、所謂“家系”の店。方南町という決してアクセスが良いとは言えない立地に加え、昼間は営業していない為なかなか来店のハードルが高い。それでも開店から行列が絶えず、店の前には遠方からのファンの車が深夜まで列をなしていた。言わずもがな、味は抜群。本当なら頻繁に通い詰めたいところだが、当時ブラック企業勤めでボロボロだった僕にとって、残業終わりの行列は流石に億劫だった。「近所だしまた改めるか……」と、いつしか足が遠のいてしまっていた。

そんな時に事件は起きた。ラーメン屋の店主が病に倒れ、店が一ヶ月近くも閉まったままとの情報が入った。僕は仕事帰りの疲れた体を引きずりながら、店の様子を見に行くことにした。店のシャッターには「しばらく休業します」と走り書きされた小さな張り紙が寂しそうに貼られていた。いざこんな状況が訪れると無性にあの味が食べたくて仕方がなくなった。厨房に立つ寡黙な店主や、油でベトベトになった床、日焼けした漫画、全てが愛しく思えた。寂しさを紛らわすため、行きずりに家系ラーメン屋を片っ端から訪れたが、心に空いた穴を埋めることは出来なかった。

それから、来る日も来る日も仕事帰りに店の前を通ってみるが、一向に再開の気配は見られなかった。いつしかシャッターには闘病中の店主に向けたファン達の寄せ書きが貼られ、近所の住人が毎日店の様子をツイッターで報告するアカウントが出来上がった。僕もその様子を固唾を飲んで見守っていた。いよいよ我慢の限界が近づいていた頃、例のアカウントから「今日少しシャッターが開いてた」「今日店からスープの匂いがした!」という吉報が届いた。それから数日後、ついに営業再開が公式にアナウンスされたのだった。

待ちに待った営業再開の日。仕事を終え店に向かうと、そこには再開を待ちわびたファン達が嬉しそうに長蛇の列を築いていた。僕は相変わらず残業でボロボロだったが、謎の使命感にかられて最後尾へ接続した。僕がラーメン中盛り濃いめ固めほうれん草トッピングとライスを食べ終えたのは、並び始めてから実に2時間半後のことだった。あんなに大事にラーメンを啜ったのは、後にも先にもこの時だけである。

残念なことに喜びも束の間、再び店主は病魔に冒され帰らぬ人となってしまう。暫くはお弟子さんが引き継ぎ営業していたが、多くの人に惜しまれながらも、その店は閉店してしまったのだった。

僕は一杯のラーメンにかける男の生き様を見た。
そして、この思いを曲にしようと誓ったのであった。

あぁ、ラーメン食べたい。

<YONA YONA WEEKENDERS・磯野くん>

◆紹介曲「君とdrive
作詞:磯野くん
作曲:磯野くん

Lonely times
作詞:磯野くん
作曲:磯野くん

R.M.T.T
作詞:磯野くん
作曲:磯野くん

◆3rd EP『唄が歩く時』
2021年1月20日発売
PDCR-017  ¥1,500(tax out)
01. 君と drive
02. Lonely times
03. R.M.T.T
04. In my room
05. 唄が歩く時
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