危うい感性や衝動すらも閉じ込めた作品にしたかった。

 2020年1月27日に“崎山蒼志”がメジャーデビューアルバム『find fuse in youth(ファインド・フューズ・イン・ユース)』をリリース!またメジャーデビューに先駆け、自身の楽曲をバンドアレンジした配信シングルを三ヵ月連続でリリース!2018年に高校生フォークソングGPへ出演以降、その名を広め続けてきた彼の待望の今作をご堪能あれ…!
 
 さて、今日のうたコラムではそんな最新作を放つ“崎山蒼志”による歌詞エッセイを第1弾~第3弾に分けてお届けいたします。今回は第1弾、第2弾に続く最終回。ラストでは、アルバム全体に込めた想いやリリースを迎えるにあたっての気持ちを明かしていただきました。このエッセイと併せて、是非今作の歌詞を読んでみてください。

~歌詞エッセイ最終回~

はじめに
今回リリースを迎えるにあたり「ひとまず良かった」と安堵している自分がいます。というのも、コロナ渦で中々物事が上手く行かない中、こうしてアルバムを制作し無事発表できたからです。素直に嬉しく、そしてとても有り難く思っています。関わってくださった多くの方々に心より感謝を申し上げます。



メジャーデビューアルバム『find fuse in youth』。今作は「再定義」シリーズの3曲を含む全13曲となっている。「再定義」シリーズがまず有り、その延長線上にこのアルバムがある、といったイメージで(またそういった段階を経て)この作品には取り掛かった。

個人的にはやはりアレンジャーの方々との制作が印象に残っている。元の曲のイメージと合致するようなアレンジも、良い意味で意外性のあるアレンジも、僕だけでは絶対に行き届かなかった場所に届いている。曲の持ち味を生かして、それを拡張するような新たな曲に仕上がっている。参りましたといいますか、感謝で一杯だ。

また、レコーディングの現場でも柔軟に、かつ繊細に作業する姿はとても勉強になったし、凄く素敵だった。そして皆さん優しくて、泣きそうになっちゃう。貴重な体験をさせていただいた。

アレンジャーの方々と制作した楽曲群があることにより、一方で凄く恣意的な個人個人した曲を入れたくなった。それが自分アレンジの曲である。例えば「waterfall in me」、「目を閉じて、失せるから。」、「Repeat」などだ。iPadに向かって独りよがりに作った曲。これらは昨年の4、5月頃、自粛期間中に作った楽曲で、家に居る間に触れた数々の書籍、漫画、音楽、ニュースなどからインスピレーションを受け作ったものだ。

find fuse in youth」も実はその頃に制作した曲である。新型コロナウイルスが流行する現代でも、変わらずに佇む風景・自然に、心動かされ作った曲である。10月頃、アルバムのタイトルを考えている際、存在していたこの曲のタイトルとして浮かんだ『find fuse in youth』がアルバムのイメージと合致し、「よし、アルバムタイトルはこれで行こう」と独りでに決めていた。

「青春(若さ)の中で導火線を見つける」。もうすぐ社会人になり地元を離れる自分のこれまでを振り返るような、また、その振り返った場面場面で見つけていたその先には爆発が待っているような、危うい感性や衝動すらも閉じ込めた作品にしたかった。振り返った場面場面には数十日前の自分も含まれている。

ジャケットやアートワークにもそれが表れている。アートディレクションをしてくださったRaita Nakamuraさんのアイデアで、今まで自分が触れてきたものなどを瓶に詰め込んだ。この作品を象徴しているジャケットになっている。



おわりに
(アルバムのリリースを迎え「ひとまず良かった」と安堵している自分がいます。)それと同時にまだまだこれからだなと思っている自分もいます。どちらの自分も大切にしたい。なので次の作品も楽しみにしていていただきたいです。それまで、といいますか、それ以降も今作『find fuse in youth』をよろしくお願いします。

<崎山蒼志>