イチオシ!

声にするべきは「さよなら」ではなく、「ありがとう」でした。

 今日のうたコラムでは2020年1月、第1回~第4回に分けて、作詞家・森月キャスさんによる【別れ】をテーマにした歌詞エッセイをお届けいたしましたが、このたび、その反響からアンコール回を掲載…!尚、第1回では、Do As Infinity。第2回では、X21。第3回では、AAA。第4回では、浪川大輔の楽曲にまつわるお話を綴っていただきました。
 
 そして、アンコール回となる今回のテーマ曲はAAA「涙のない世界です。2020年12月31日をもって、活動休止することを発表したばかりの彼ら。そんなAAAの楽曲を数多く手がけてきた作詞家・森月キャスの今の想いも交えた、この歌詞エッセイを是非、受け取ってください…!

~アンコール回歌詞エッセイ:AAA~

「さよなら。」で幕を閉じた全4回のコラムですが、こんなにも早く再会の機会を頂けたことをたいへん嬉しく思っています。

前回のコラムの執筆中にAAAから2020年12月31日を以って活動を休止すると発表がありました。個人的にファンであると同時に、作詞家としても多くの楽曲に携わらせて頂いていますので何も語らないままでは終われない。その想いを、AAA「涙のない世界」をピックアップしながら綴りたいと思います。

「涙のない世界」の作曲は日比野裕史さん、編曲はats-さん、清水武仁さん、渡辺徹さん。私を含め皆が所属するチーム(Blue Bird's Nest)のクリエイターで、想いを一つにして制作した作品です。

4回の連載コラムで私が伝えたこと。それは、
・“君がいない未来”を想像することがどれだけ人を強くするか
・予め想像していたとしても、実際に別れることはとても辛い
・この主人公たちはやがて別れの時を迎えますが、決して泣いていない
・ずっと立ち止まっていても、願いは叶わない
でした。

そう自分の言葉で綴っておきながら、裏腹に突然のAAAの発表に動揺する自分がいました。夕方の週刊誌のリーク記事がネットニュースとして上がり、ファンの皆さんと同じように誰にも確認出来ず不安な気持ちのまま、あの瞬間を迎えました。

活動休止なのだからと、どんなに心を納得させようとしても、来年も再来年もAAAの歌が聴きたい。ライブを観たい。それに、まだまだファンの皆さんに届けて欲しい歌詞がたくさんある。この想いをどこに仕舞えばいいんだろう。さながら、「涙のない世界」の主人公のように狼狽しました。

“涙のない世界があるのなら
今すぐに僕を導いて
君がいない未来で一人きり
もう二度とめぐり逢えない愛を探してる”


作詞家は、実はとても無力で、どんなに伝えたいメッセージがあっても、それがどんなに素晴らしいものでも、それを歌にしてくれる曲がないと、それを歌ってくれるアーティストがいないと、虚無と同じなんです。

もしかしたら私達もファンの皆さんの想いと似ているところがあるのかもしれませんね。どんなに伝えたいメッセージがあっても、どんなに逢いたい想いがあっても、その機会を待つことしかできないのですから。

だからアーティストには感謝しかないんです。想いを伝える機会を与えてもらえた感謝の気持ちがライブでの熱狂になるんです。その機会がなくなることを想像すると、涙しかないと想ってしまう。

でも、彼らのクリエイティヴコーディネーターで私達を率いるクリエイターチームのプロデューサーは発表直後のツイッターでこうつぶやきました。

「今は作品に携わってきた音楽クリエイター共々、AAAが見せてくれている沢山の素晴らしい出来事の数々を思い出しながらこれまでの作品1曲1曲をただただ聴き返します」

我々ファンやクリエイターがすべきことは、悲しむことではなくて、想い出を胸に前に進み続けることだと思うんです。これまでリリースされた楽曲を聴けば、いつでもそばに感じられるのですから。

“I'll be there
Forever
君をつつむ風のように”


再会は未来でしかできないのだから、立ち止まっていても仕方ない。歩き続ける先にこそ「涙のない世界」があると信じて。

最後に、前回のコラムの内容を一部修正させてください。

“もしも、大切な人を失ったり、夢や生き甲斐、今まで当たり前にあったものを無くして悲しんでいるのなら、無くしたものを数えるのではなく、精一杯のさよならを声にしてください。”

と綴りましたが、声にするべきは「さよなら」ではなく、「ありがとう」でした。その感謝の気持ちを胸にファンの皆さんと一緒に11月からのツアーを目に焼きつけたいと思います。

これで本当に、私のコラムはおしまいです。
最後までお付き合い頂けた皆さんに心を込めて伝えます。
ありがとう。

<森月キャス>

◆Information
森月キャス所属
Blue Bird's Nest(エイベックス・マネジメント)
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◆森月キャス
『言葉の達人』登場回


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