この歌詞を聴いて、僕は部屋に戻って、また泣きました。
ACE COLLECTION
この歌詞を聴いて、僕は部屋に戻って、また泣きました。
2019年3月27日に“ACE COLLECTION”が、1st digital Album『December 9』をリリースしました。彼らは、たつや◎(Vo.&Gt)、LIKI(Gt)、奏(Ba)、RIKU(Dr)による4人組バンド。今日のうたコラムでは、全曲の作詞・作曲を手がけている“たつや◎”さんに初の単独インタビューを敢行。第1弾、第2弾、第3弾に分けて、記事をお届けいたします…!本日はラスト、第3弾! ― 歌詞面で影響を受けたアーティストというと、どなたが思い浮かびますか? たつや◎:どうだろう…。高校時代、書き始めの頃は誰からの影響も受けずに、感覚で自由に書いていたんですよ。だけど高3の終わりくらいから、ライブハウスで活動するようになって、BUMP OF CHICKENさん、Mr.childrenさん、ウルフルズさん、YUIさんとかの歌詞を参考にしていった感じですね。 でも僕、1年ちょっと前くらいまで、ACE COLLECTIONを始めるまでは、歌詞についてまったく考えていなくて。もう前の曲を聴いていただきたいくらいに、最悪な歌詞なんですよ(笑)。 ― あくまでサウンドやメロディーのおまけのような感じだったのでしょうか。 たつや◎:そう。当時は「俺のメロディーセンス、最高だわぁ」とか思っちゃっていた、勘違い野郎でした。その頃、大人や先輩の方々からは結構「たつや◎はとにかく歌詞力がない」ってハッキリ言ってもらっていたんですよ。でも、勉強が嫌いだから、まさに「Lady」の歌詞にもあるように、逃げていたんですよね。 あーだのこーだの言ったって やるしかないことは決まってて なのに やりたくないこと理由つけて逃れようと必死になって 「Lady」/ACE COLLECTION たつや◎:それがACE COLLECTIONを組んで、僕は最初にメンバーから「曲がないとダメじゃん!」ってめっちゃ責められて。動画更新とか忙しかったんですけど「本気で作ればできるっしょ!」みたいな。待って…俺難しいよ…って(笑)。そういう状態のとき、さらにスタッフさんからも「まず30曲、作って」と言われたんですよね。 ― 30曲も…。 たつや◎:マジで言ってんの!?ってなりますよね。それでかなり悩み込んだんですけど「これはピンチをチャンスに変えなきゃいけない。一回、本気になろう」と、ものすごい量の歌詞を読んだり、自分で書いてみたり、とにかく必死こいてみたんです。どういう歌詞が良いのかとか、母音の響きとか、そういうこともノートにメモして。そうやって歌詞にこだわるようになっていきました。ACE COLLECTIONを組んだからこそですね。 そう考えると、その時期に最も影響を受けたのは、Aqua Timezさんかもなぁ。僕は小説もマンガもあまり読まないんですよ。アニメも観ない。だから想像力も語彙力もなかったんですけど、そんななか、Aqua Timezさんの歌詞は情景が思い浮かびながらも、心情がすごく真っ直ぐに伝わってくるのが魅力的だなぁと思ったんですよね。自分が書きたいものもこういうものなんじゃないかなって。それで歌詞の軸が決まったような気がします。 ― かつては「歌詞力がない」と言われていたものの、たとえばデビュー曲「鬱憤」などを聴いてもらったときの反応ってやっぱり違ったのではないでしょうか。 たつや◎:そうそう!前の僕の曲を知っているひとたちはみんな「え、これ違うひとが書いたんじゃない?」とか「大人のひと付けた?」とか言うんですよ(笑)。うちのギターのLIKI でさえ、変化しすぎて笑っていますもん。でも自分でもそれぐらい変わったと思います。 ― 今のたつや◎さんの歌詞の特徴をあげるとすると、それはどんなものだと思いますか? たつや◎:今って、めちゃくちゃド直球な歌詞を書くと「薄い」と言われがちじゃないですか。だけど僕は、幼い頃に「ママに怒られた~♪」ってありのままの出来事や感情を歌っていたのと同じように、自分の人生に起きたことや抱いた気持ちを伝えたいと思っています。そういうのが個性になればいいなと。 なんか人生って、結局は記憶の積み重ねじゃないですか。だからその記憶をたくさん自分のなかに保管しておいて、歌詞を書くときには引き出しを開けて、かつての記憶を次々と“歌”という形に変えて残していく。そういう生き方が僕には合っているんじゃないかなって。誰に何を言われても「この歌詞で行くわ」と胸を張って言えるような、芯を持っていたいですね。 ― では作詞のとき、一番大切にしていることは何ですか? たつや◎:脱線しないことですね。前は脱線だらけだったんですよ。つまり「で、これは何を歌っているの?」と言われてしまうような歌詞でした。でも今は、たとえば「Lady」だったら、都会に出てきた男の子の感情をテーマに描き切っている。そうすると、伝えたいことがブレないんですよ。あと、前向きなときにはとことん前向きに。ネガティブなときにはとことんネガティブに。常に歌詞の軸になるものを決めています。 ― たつや◎さんが「この歌詞にやられた!」と感じた楽曲を教えてください。 たつや◎:まずは、BUMP OF CHICKENさんの「K」ですね。まだ歌の魅力さえよくわからない中学生の頃、弟とリビングにあったパソコンでこの歌を聴いたことがあって。そうしたら僕ら二人して泣いちゃって(笑)。「歌で泣くことがあるの!?」って思ったんですよね。 手紙を読んだ恋人は もう動かない猫の名に アルファベット1つ 加えて庭に埋めてやった 聖なる騎士を埋めてやった 「K」/BUMP OF CHICKEN たつや◎:歌の最後“NIGHT”に<K>というアルファベットを付けることで、騎士の“KNIGHT”に変えてあげたというこのフレーズ。衝撃を受けましたね。あともう1曲は、高校の頃に聴いた、中島みゆきさんの「時代」です。 当時、周りのひとに「お前はどうして歌を歌いたいんだ?」と問い詰められることが多々ありまして。自分でも「たしかになんでだろう…」って考えていたんですよ。最初の動機はただただなんとなく自分に向いていそうだからということだったので。でもそんな理由じゃ、Mr.Childrenの桜井さんみたいな深い音楽は一生、作れないよなって。そうやってひたすら悩んでいた時期に、ふとテレビの歌謡祭で、平井堅さんが「時代」をカバーしていたんですよね。 今はこんなに悲しくて 涙も枯れ果てて もう二度と笑顔にはなれそうもないけど そんな時代もあったねと いつか話せる日が来るわ あんな時代もあったねと きっと笑って話せるわ だから今日はくよくよしないで 今日の風に吹かれましょう 「時代」/中島みゆき たつや◎:この歌詞を聴いて、僕は部屋に戻って、また泣きました。なんというか…「頑張ったら絶対にいいことあるよ!」とか「楽しいことが待っているよ!」とかじゃなくて。「つらいよね。でもしょうがないんだよね。わかるわかる…」みたいな寄り添い方。僕自身が、ただ単にポジティブなことを言われても「そんな簡単に前向けないわ!」って思っていた時期だったからこそ、そんな心にも沁みる歌がすごいなぁと思いました。 そして、自分の音楽も誰かにとってのそういうものになればいいなぁと思ったんです。正直「時代」を聴くまでは、どういう歌が世間に気に入られるんだろうとか、ウケるんだろうとか、そんなことばかり考えて曲を作っていました。だけど音楽の魅力って、アーティストの人生がそのまま歌に投影されていて、聴くひとがそれに出会って、共感したり、心癒されたりするところにあるんだなぁって気づかされて。だから僕もその誰かに出会ってもらえるべき音楽のひとつになろうと思うんです。そのためにいろんな経験をして、その都度、歌にして残してゆく。それが自分が歌っていく意味だなって、今は思いますね。 ― ありがとうございました!最後に、たつや◎さんがこれから挑戦してみたい歌詞とはどんなものでしょうか。 たつや◎:ひたすらに“好き”と伝える曲。たとえばMr.Childrenさんの「常套句」のサビみたいな。まっすぐで、だけど伝わる気持ちは大きくて、めちゃくちゃ好きなんですよ。 君に会いたい 君に会いたい 何していますか 気分はどう 君に会いたい 君に会いたい 愛しています 君はどう 「常套句」/Mr.children そういう歌詞を今まで書かなかったのは、やっぱり自分が書くと「薄い」とか「誰だって書けるよ」とか言われるんじゃないかって怖かったからなんですよね。だけど、自分の人生を投影させて、見たもの感じたこと思ったことをそのまま書こうという結論に至った今なら、書きたいと思える。そう思えるようになったことが進歩だなと思います。だからもう…めっちゃ好き!という気持ちをただただ伝える歌詞を書きたいですね! 【第1弾】 【第2弾】 ◆紹介曲「 Lady 」 作詞:たつや◎ 作曲:たつや◎・LIKI 「 K 」 作詞:藤原基央 作曲:藤原基央 「 時代 」 作詞:中島みゆき 作曲:中島みゆき 「 常套句 」 作詞:Kazutoshi Sakurai 作曲:Kazutoshi Sakurai ◆1st digital Album『December 9』 2019年3月27日配信リリース <収録曲> M-1 HELLO WORLD M-2 December 9 M-3 鬱憤 M-4 Lady M-5 君と花したい M-6 Butterfly M-7 BLACK HOLE M-8 LIFEメーカー M-9 ROCK STAR 配信先URL <TOUR情報> ACE COLLECTION Bright Tour 2019 日時:2019年6月4日(火)開場18:00 / 開演19:00 会場:大阪BIG CAT 日時:2019年6月6日(木)開場18:00 / 開演19:00 会場:Zepp Diver City チケット情報