言葉の達人

SAKUSHIKA

 達人たちは1曲の詞を書くために、言葉を巧みに操り、その時代を象徴する言葉を探した。その言葉は多くの老若男女の心を掴んで離さず、その歌は大ヒットした。
「孤独がつらく感じるとき」、「愛することがよくわからなくなったとき」いつも、勇気と力を与えてくれた…、作詞家は言葉の魔術師である。そんなプロの「作詞家」の皆さんをゲストにお招きして、毎月、紹介していくこのコーナー。
今回は、TOKIOから柳ジョージ、そして「機動戦士ガンダム」、「ときめきメモリアル」等のアニメ主題歌まで幅広く作品を提供している「工藤哲雄」さんをゲストにお迎え致しました。

工藤哲雄

代表作

TOKIOLOVE YOU ONLY」「うわさのキッス」「好きさ-Ticket To Love
近藤真彦Ho Ho Ho…」「最後のラヴ・ソング
高橋真梨子「追憶のBlue」「Midnight Christmas Eve
SMAP僕は君を連れてゆく
織田裕二う・ね・り」・福山憲三愛をくれよ」・米倉千尋未来の二人に
木村佳乃イルカの夏」・森口博子視線」・石嶺聡子涙はいらない
中村雅俊あいつ」・柳ジョージGOT MY LOVIN'
Little BachしびれるFACE」など多数

作詞論

頑張れば夢は叶うと思っている人と、夢なんて叶うもんかと考えている人が、「夢をあきらめない」というテーマで詞を書いたとします。二人の詞がほとんどそっくりな前向きな作品に仕上がったとしても、不思議なもので、読む人の多くはどちらがどの作品を書いたのか見破ってしまうものです。もちろん前者の作品を支持するほうが圧倒的に多いでしょう。「本気」は「共感」をよびます。「想い」が「説得力」をうみます。詞はフィクションでもかまわないのですが、本質的なところで自分に嘘をつくのはいけません。字ズラだけのツクリゴトは書かないようにしています。

工藤さんに伺いました。
Q:
作詞家になったきっかけは?
A:
レコード会社へ詞を送ったら声をかけていただきました。
Q:
プロ、初作品について
A:
新田恵利さんのC/Wがデビューでした。
Q:
作品を提供したいアーティスト
A:
「言葉」を大切にしてくれるすべてのアーティスト。
Q:
あまり売れなかったが、私の好きなこの歌
A:
「素直がいつも足りなくて」神崎マキ。
Q:
なぜ「詩を書くことを選んだか」
A:
好きだったから。
Q:
プロの作詞家になりたい人へのアドバイスを
A:
作品には必ず「人」がにじみでます。魅力ある作品を書きたかったら、魅力的な思考回路を育みながら日々生きるべきです。クリエーターに必要な努力はその一点だけかもしれませんよ。
歌詞を見る 愛をくれよ 福山憲三

作曲家の都志見隆さんから電話をもらったのは深夜0時を過ぎていたでしょうか。僕の詞を読んで十代の頃のいろんな光景を思い出したと、熱い話を語ってくださいました。そして完成したばかりのデモテープを受話器から流してくれました。心のこもった熱い歌でした。聴いていて涙がでそうになりました。この詞は友達との実体験をベースに書いたものです。きっと僕の思い入れを都志見さんが汲み取ってメロディをつけてくれたのだと思います。作品を創るということは、クリエーターからクリエーターへ気持ちを伝え、想いを増幅してゆくことだと悟りました。この楽曲は日テレのドラマ主題歌になりました。

■私の好きなあのフレーズ
「もしもこのまま消えてしまえば
いったい誰が泣いてくれるのだろう」

PROFILE

工藤哲雄。山口県出身。大学進学で上京後、コピーライターを経て作詞家へ。上記代表作の他、田原俊彦、少年隊、内田有紀、infix、E-ZeeBand、小野正利、鈴木トオル、石井明美など多くのアーティストへ作品提供。アニメでは、機動戦士ガンダム、真ゲッターロボ、魔装機神サイバスター、ときめきメモリアル、ラブひな、マジックスクールバス、金田一少年の事件簿など。現在は小説にも取り組み中。

■オフィシャルサイト

[CDリリース情報]

「TOKIO 10th anniversary LIVE 2004」
TOKIO

LOVE YOU ONLY
うわさのキッス
好きさーTicket To Loveー
風になって

「空蝉」
中村雅俊

COCA-15734
2005/02/23発売
M2:滑走

【これまで登場した作詞家さん】バックナンバー