黒いカモシカ

岡林信康

黒いカモシカ

作詞:岡林信康
作曲:岡林信康
発売日:2009/02/18
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黒いカモシカ
濡れた瞳の黒いカモシカ 何処にいるのか旅から旅へ
着いた所が女郎屋の二階 ふすまが開いて親父がニヤリ
紅い血ポタポタ ゴム手袋で アタッシュケースをパチリと開き
血染めのカルテぱらりとめくり 旦那とっても いい娘がおりやすぜ
やがて女がやって来た ロールスロイスに肥桶積み込んで
ミンクのコートにモンペをはいて 電子ライターでしんせいふかし
隣りの奥間はセイケイシリツ いまじゃ課長サンに囲われて
あたいも もうじきセイケイシリツそしたら社長が乗るこの身体
だから高いのよ あたいとやるのは だけどあんた町から来たんでしょう
あとで町まで案内してちょうだい そしたら安くしたげるけんど
俺らはきみの客じゃなく いいひと同士になりたいんだと
言うのも聞かずに 無理矢理ロールスロイスで女の家に
女の家は かやぶきの屋根 庭にそびえる柿の木ひとつ
ふと その根元に瞳をやれば 哀れ鎖に黒いカモシカ
ロールスロイスを飛び出して 鎖を切ろうと駆け寄ったのに
女がムンズと腕をつかみ さあさ行きましょ 家の中に
女は無理矢理 俺らを押さえこみ スズメのチョンチョン
とたんに ハイお金 それから女は ノコギリ持ち出して
なんたることか 柿の木切り倒し
俺らを車にけりこんで アクセルふかして 大はしゃぎ
黒いカモシカ風の中 町に向って車は駆け出した
黄色い煙に包まれて 町は浮かぶよ 金魚鉢の中
フードセンターに女はひとっ飛び さっきの銭でしなびた柿を買い
やっぱり こうして食わなくちゃ ほんとのうあまさは わからねえだよ
おまけにレジで領収書 舞い降り来たる一羽のはとぽっぽ
そいつを見つけて女が叫ぶ とうきょのはとは ほんとに可哀想
すすに汚れて真っ黒け あたしゃ人間でほんとによかったわ
とたんに女は血へどを吐いて 哀れバッタリその場にくたばった
濡れた瞳の黒いカモシカ 風の中に消えてった
濡れた瞳の黒いカモシカ 風の中に今度も消えてった

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