祇園白川宵桜

「おおきにようこそ おいでやす」
「お似合いですね お着物が」
風がやさしく 柳をゆすり
約束した日が よみがえる
祇園白川 宵桜
ふたりは季節を 待ちわびた

「賑わってますね 見事です」
「はぐれんといて おくれやす」
町屋格子戸 川端通り
朱色の玉垣(たまがき) 巽橋(たつみばし)
祇園白川 宵桜
触れ合う手と手が ぎゅっとなる

「そないに見ないで おくれやす」
「あなたを越える 女(ひと)はない」
みだれ箱には 外した小物
欄間(らんま)のこぼれ灯 ふたり影
祇園白川 宵桜
この愛千年 咲き誇る
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