LIVE REPORT

中島愛 ライヴレポート

中島愛 ライヴレポート

【中島愛 ライヴレポート】 『中島愛 Birthday Eve Special Live ~green diary~』 2021年6月4日 at Zepp DiverCity TOKYO

2021年06月04日@

撮影:KOBA(Sketch)/取材:清水素子

2021.06.13

“緑というのは私、中島愛という人間を表すアイデンティティーのひとつとして、すごく重要な色なんだなと受け入れられるようになってきたんです”

...そう取材時に語っていた言葉が象徴する通り、今年2月に発表された最新アルバム『green diary』は、中島愛にとって“緑”を軸に今一度自分を見つめ直した、いわば原点回帰とも言える作品になった。ゆえに“アルバムのライヴは急がず焦らず、でも、必ずやりたいと思ってます”と断言したのも当然のこと。そして、その約束が遂に果たされる日が来た。

コロナ禍にありながら、いわく“一歩踏み出すことを選択”して、彼女の誕生日前日である6月4日にZepp DiverCity TOKYOにて有観客とネット上での生配信により行なわれたライヴ『中島愛 Birthday Eve Special Live~green diary~』。澄んだピアノの音に拍手が湧き、神聖なムードが満ちるステージに緑のドレスを纏って登場。さらに緑のスポットライトを浴びて、アルバムと同じく「Over & Over」でライヴを幕開けると、目まぐるしく変わるテンポと変則的なリズムに清らかな緊張を覗かせつつ、「愛の重力」からは一気に加速。即興感の強いバンド演奏に巧みに乗って大人の表情を見せたかと思いきや、小さく拳をあげて客席と一緒に可愛く踊る「Raspberry Kiss」、嫉妬に惑う心模様を表情豊かに描写するアルバム新曲「窓際のジェラシー」、ロックな「サタデー・ナイト・クエスチョン」と、色とりどりの世界を展開。それは“『green diary』というアルバムに辿り着くまでに、いろんな道のりがありました”というMCをなぞるものであり、緑のドレスに黄色、ピンクとカラフルなラメを仕込んだ衣装とも見事にシンクロするものだ。

目の前の客席と画面の向こうに““伝わってるよ”っていうのは理屈じゃない。“ひとつになるぞ!”っていう気持があればひとつになれる”と力強いメッセージを放ち、アルバムから「ハイブリッド♡スターチス」に「髪飾りの天使」と超強力なキュートペアを放てば、場内は甘い空気でいっぱいに。さらに、ランカ・リーとして発表した「ねこ日記」を続けて、緑のラインで過去と現在をつないでいく。そこから80年代アイドル好きの彼女が“アルバムの中でとても好きな曲”と前置いた「メロンソーダ・フロート」で切ないエモーションを弾けさせ、哀愁味を帯びたブルースハープの音色に乗せて“愛してる”と語る「硝子色の夏」には拍手が。そして、母の出身地であるフィリピンのバンド・Smokey Mountainによるバラード「Kailan」を涙ぐみながらタガログ語で歌唱し、“夏の湿度と思い出の中にそっと旅をするゾーン”に相応しいドラマチックな景色を作り出してくれた。

“今日は今日の時間を一緒に楽しみたいです”というMCに続き、客席のクラップが祭り感を醸す「夏の記憶」が文字通り記憶の彼方に消えると、インタビュー時に“心に張った藻のような曲”と評していた「ドライブ」から「水槽」へと沈み込む。しかし、その切実な歌声には確かな希望の光があり、アルバムのタイトルチューン「GREEN DIARY」で《永遠じゃなくてもいい だってそれが“変わる” “進む”ってこと》と笑顔を見せる彼女に振られる一面の緑のペンライトは、どこまでも広がる緑の地平を思わせた。アンコールを求める拍手に重なるようにドラムが鳴り、自ら鍵盤リコーダーのアンデスを演奏しながら「粒マスタードのマーチ」で聴かせる歌声も透明度100パーセント! さらに“この曲は外せないでしょう!っていう曲を、やっぱりやりたいと思います”と、彼女にとって“緑の日々”の始まりとなった曲「星間飛行」を届け、アルバム同様ステージでも“原点回帰”を果たしてみせる。

最後に今回のライヴを開催するまでの葛藤を語り、“きっとまた私はこうやってステージに上がってくるので、また参加して、遊びに来てもらえたら嬉しいです”と贈ったのは「All Green」。曲提供した葉山拓亮が“みんなで声を出して歌える日を願って作ってくれた”というメロディーが胸に沁みる珠玉のナンバーで、全てのオーディエンスが画面を超えて心の中で声を合わせると、““伝わってるよ”っていうのは理屈じゃない”という彼女の言葉に、心の底から共感することができた。例え当たり前が当たり前じゃなくなっても、最後の最後まで手を振って“また会おうね!”と交わしてくれた約束は、きっと次回も果たされるに違いない。

撮影:KOBA(Sketch)/取材:清水素子

中島愛

ナカジマメグミ:6月5日生まれ。A型。80年代アイドルが大好きな、レコードマニア。2007年に『Victor Vocal & Voice Audition』にて最優秀者に選ばれ、TVアニメ『マクロスF』にて声優・歌手デビュー。09年1月にシングル「天使になりたい」にて個人名義でのリリースをスタート。同年の『第3回声優アワード』にて歌唱賞を受賞。その後、歌手活動と並行して『セイクリッドセブン』(藍羽ルリ役)、『君のいる町』(枝葉柚希役)、『ハピネスチャージプリキュア!』(愛乃めぐみ/キュアラブリー役)など数多くのTVアニメでヒロイン役を射止める20年9月には、これまでに中島愛がキャラクター名義で歌唱した楽曲を集めた、キャラクターソング・コレクション『FULL OF LOVE!!』を発表。

SET LIST 曲名をクリックすると歌詞が表示されます。試聴はライブ音源ではありません。

  1. 6

    6. ハイブリッド♡スターチス

  2. 8

    8. ねこ日記

  3. 10

    10. 硝子色の夏 (※Negiccoカバー楽曲)

  4. 16

    <ENCORE>

  5. 18

    2. 星間飛行

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