LIVE REPORT

コレサワ ライヴレポート

コレサワ ライヴレポート

【コレサワ ライヴレポート】 『2nd Anniversary 君におんがえしツアー』 2019年11月10日 at 恵比寿ザ・ガーデンホール

2019年11月10日@

撮影:小坂茂雄/取材:キャベトンコ

2019.11.20

コレサワがデビュー2周年を記念し、10月27日に大阪・BIGCAT、11月10日には東京・恵比寿ザ・ガーデンホールにてバンド編成でのワンマンライヴ『君におんがえしツアー』を開催した。このツアーには“いつも応援してくれてありがとうという気持ちを音で返す”というコレサワの想いが込められているという。その最終日、11月10日公演の模様をレポートする。

大阪と東京の両公演ともチケットはソールドアウトとなったツアーの最終日は、満員のオーディエンスがフロアーにあふれ、ステージの両脇には“2”の数字が乗ったバルーンの装飾が飾られていてお祝いムードも漂う。そして、会場が暗くなると突然『まんが日本昔ばなし』ののどかな主題歌が流れ出し、その絶妙なセンスに思わず客席から笑いが起こった。さらにコレサワが朗読する『鶴の恩返し』を模した物語が流れ、“『おんがえしツアー』のはじまり、はじまり~”と告げると、白い衣装で統一されたバンドメンバーのひぐちけい(Gu)、なかむらしょーこ(Ba)、にしのえみ(Key)、ナガシマタカト(Dr)がステージに現れ、最後に赤の衣装を纏ったコレサワが登場。ライヴは「君とぬいぐるみ」でにぎやかにスタートする。

シンガーソングライターのみゆはんから“「たばこ」のアンサーソングを歌いたい”という要望をもらって作られた「恋人失格」で、ステージをオレンジ色のライトが照らす中、アコースティックギターの音と呼応しながら、別れた恋人に対する切ない心情をつぶやくように歌うコレサワ。その歌声をバンド演奏が後押し、自分の弱さを認める想いがひしひしと伝わってきた。その後、バンドメンバーは一旦はけて、コレサワだけがステージに残り、ギターの弾き語りで「おやじ」を披露。父親に対する複雑な娘の気持ちが綴られているが、どこか照れたような響きも加わっている彼女の歌声を通して聴くと、ここに出てくる“おやじ”がとても愛おしく感じられる。また、“今のは自分のお父さんの悪口を歌った歌だったんですけど、今日はお父さんが来ています”と語るコレサワの言葉に思わず“ええっ!”とどよめきが起こる場面も。バンドメンバーのひぐちけいが“どんな気持ちで聴くんだろうね、お父さん”と言っていたが、おそらくオーディエンスも同じ気持ちだっただろう。コレサワは笑いながら“泣いてたよ、初めて聴いた時は”と応え、それを聞いてさらに心が温かくなった。この日の13曲目に演奏された「お姉ちゃんにだけ部屋があったことまだ恨んでるのかな」もそうだが、彼女の家族をモチーフにした曲は、そのユーモラスな内容に愛情が詰まって、聴き手の心を包み込む。

そして、現在テレビ東京で放送中の木ドラ25『新米姉妹のふたりごはん』主題歌「いただきます」を歌唱。温かい食卓が連想させる楽曲で“ごちそうさまでした!”と元気に締めると、ライヴの中盤では新曲「帰りたくないって」を初披露。別れたばかりで元彼の家に荷物を取りに行くというテーマと、そのタイトルを聞いた時は静かなトーンの曲かと思ったが、バンドの音がぶつかり合う疾走感のあるナンバーで意表を突かれた。また、クライマックスでは前述の「恋人失格」のもととなった相手側の気持ちを歌った「たばこ」を歌唱。「恋人失格」同様、途中でオレンジ色のライトがステージ上を照らして、2曲が対になっていることを視覚面からも意識させられた。

“この曲は、ここに来ていただいているみなさんに捧げたいと思います”という言葉が贈られてから始まったのは、1stアルバム『コレカラー』の最後を飾っていた「これから」。アルバムがリリースされた時、彼女は同曲についてこんなふうに語っていた。
ーー 私のメジャーに向けての決意というか。いろいろなアーティストが今はいるじゃないですか。盛り上がる音楽をやっている人もいるし、ダンスがカッコ良い音楽をやっている人もいるし、歌がすごく上手い人もいる。その中で自分はちゃんと曲と歌詞で勝負して、寄り添えるアーティストになりたい、という決意の歌です ーー
バンドを率いてステージ中央に凛として立ちながら、オーディエンスひとりひとりの目を見て真っ直ぐにメッセージを送る姿を観ていると、「これから」を作った際の決意通り、彼女はここまで進んできたんだということがよく分かった。

アンコールに応えてステージに戻って来たコレサワだが、その頭には鶴の被りものが。そして、“みなさんは私との約束をひとつ破りましたね”と話す。そんな彼女に“えぇー、何?”と問い掛けるオーディエンスだったが、“部屋を覗かないでくださいという約束です!”という返答に納得。そして、“どうして私が部屋にこもっていたのか分かりますか”と言葉を続け、“私が部屋にこもっていた理由は、来年の1月15日に発売するミニアルバムを作っていたからです!”と新作『失恋スクラップ』をリリースすること、さらにバンドで全国を回るツアーの開催を発表したのだった。

アンコール曲は「SSW」。《そうよあたしはシンガーソングライター》と高らかに歌い上げ、締めには『まんが日本昔ばなし』のエンディングテーマ「にんげんっていいな」をバンドメンバーと肩を組みながら大合唱。最後はステージの隅々まで手を振って感謝の気持ちを伝え、風のように《バイバーイ!》と言って去っていったコレサワ。ユーモアはたっぷり、でも着実に歩んできたこれまでの軌跡がしっかりとうかがえるライヴだった。

撮影:小坂茂雄/取材:キャベトンコ

コレサワ

コレサワ:大阪府摂津市出身のシンガーソングライター。2015年4月に初の全国流通盤EP『君のバンド』、12月に2nd EP『女子、ジョーキョー。』、16年9月に3rd EP『ジエイポップ』をリリース。17年8月に1stフルアルバム『コレカラー』でメジャーデビュー。18年には2 ndアルバム『コレでしょ』をリリース。