猫の耳My Hair is Bad | My Hair is Bad | 椎木知仁 | 椎木知仁 | My Hair is Bad | 曇りばかりの地元に雪が降ってた 町全てが灰色になって静かだ 明日起きられたらラーメンでも行こう できない約束した薄明の朝の路上 だだっ広い駐車場に溢れた車 膝掛けかけたまま待ってた君の姿 ストーブのそばで眠る猫の耳に 用水路のように流れ込む記憶の葉々 ほら、幾幾も 走馬灯のように溶けて消えてく 望遠鏡覗いてみてた 深々と降り積もる雪の群れに添い 幽霊になっても何度もここに来ようと思うよ 風になるまで 車でよく流していたアルバム あの暗い曲がなぜか胸に残ってる ほら、頻々と 走馬灯のように清く消えてく 白夜行の中でいつも夢や文句を語ったあの人も 幽霊になっても何度もここに来てると思うよ 雪に紛れて |
虜 My Hair is Bad | My Hair is Bad | 椎木知仁 | 椎木知仁 | | 朝も昼も晩も今日も明日も来週再来週も 時間もお金もギターもお気に入りのこの帽子も 今世も来世もさ来来世も晴れも雨も曇りも 春夏秋冬国内外でもクリスマスもお正月も もう欲しいなら全部君にあげてもいい 君には僕の隣が似合う 僕の最後になってくれよ 僕の最後にさ 君の最後にならせてよ 君の最後にさ 僕を君にあげる その代わりに 君の最後を頂戴 みんな最初を欲しがるけれど 僕はそんなのいらない いいんだその最初のおかげで 今の君がいるんでしょ いつか僕が有名になって 週刊誌かなんかに 撮られて 張られて 「どういう関係?」なんて聞かれてもすぐに答えるし 芸能人 デルモ 読モ その他諸々 お姉さんの誘いに乗らないし 幼虫食べるよ バンジー飛べるよ 馬にも足にも坊主にもなるよ 嵐の中で幸せを祈るよ 飲み過ぎない 自惚れない すぐ拗ねない よくない?よくなくなくない?愛しくなくなくない? ほら そう底なしに君のこと思っている でも君は僕の名前すら知らない 僕の最後になってくれないか 僕の最後になってくれよ 僕の最後にさ 僕の最後になればわかるだろう あいつはブームで終わりさ 僕の二番手にでもしとけばいい もうくれないならいっそ奪いたい 知りたいよりも知らせたい 物語の始まりはこれから 君の最高の |
天才っていいなMy Hair is Bad | My Hair is Bad | 椎木知仁 | 椎木知仁 | | 来週からまたパリ 超忙しいね ミラノ ロンドン 香港 和食とバイバイ 見えない所ばっかり 動物の刺青 気に入らないでも羨ましいらしい 楽しきゃいい 洒落てりゃいい 嫌なら引っ越した方がいい 格好いいがいい 可愛いがいい 直感で選んでいいがいい 妄想での武装を 早々と就職からの逃走を You are my soul!soul!と堂々と控訴中心の暴動を 甘い夢見ていたい 眠っていられない 夢じゃなにをしたっていいな 遊んで暮らしたい 休んでいられない いいないいな もう天才っていいな 悪口 噂話 その人生の憂さ晴らし いくらでも殴っていいよ どこも痛くないから 俺は作り 演り ヤリ 人となりが金になり 友と飯を食い 遊び 人生は素晴らしい 人を殺しちゃ駄目だよーなんてわかってるんだけど この灰皿で思いっ切り打ったらどうなっちゃうのかな? しちゃいけない と できない を同じポケットに入れてると ラスボスが倒せない 攻めちゃえばいい 逃げちゃえばいい 修行のフリでいいのに 真面目がいい 不真面目がいい 自分がいいならいいがいい 行動した方がいい 後悔は経験と言い換えていい 衝動抑えないでいい 肩書きは何度も書き直したっていい 甘い夢見ていたい 眠っていられない 夢じゃなにも痛くないや 遊んで暮らしたい 休んでいられない いいないいな もう天才っていいな |
沈黙と陳列 幼少は永遠へMy Hair is Bad | My Hair is Bad | 椎木知仁 | 椎木知仁 | | 人が轢かれるのを見た 僕は汗をかいていた 春の煙 少し眠い 悲鳴 パトカー サイレン 母が買った絨毯 他人を感じる瞬間 家族の空間と通販 不気味に思える習慣 軍艦船を眺めた 少年が言う タイムマシンに乗りたい 冷蔵庫の中 腐る心 1999年 父に連れられた球場 動物園や水族館 大勢の女が脱いだビデオ ストリップ劇場 午前二時すぎ託児所 二階の古着屋 それらすべて 見ているようで見られてる 家に帰りたい 砂の城はすぐに崩れた 君が泣いていた それを見ていた また明日になれば また次の朝が来れば 隣に僕がいれば なんて言えずにいた iPhoneから送信 |
太陽My Hair is Bad | My Hair is Bad | 椎木知仁 | 椎木知仁 | My Hair is Bad | 始まりを待ってる、行き先は知ってる 空はコバルトブルー、風のアンサンブル 泥だらけのグラウンド、聴こえたブラスバンド 今日も今日に想いを繋いだ 菜の花揺れてる、鳥たちが飛んでく 名前入りエナメル、履き慣れた白いシューズ 汗と喜怒哀楽を、熱くなったアスファルト 幸も不幸も想いを繋いだ 正々堂々いこう、この先へ 今日、 太陽よりももっと 熱くなっていたいと思った そうだ、 いつか今日を思い出すような気がした 今までで一番暖かい春になる 昇り沈んでゆく陽は繰り返し 青い空を刺すように、赤い春が咲った さぁ、踏み出そうぜ 一歩踏み出すのが怖い時もある あの日の涙をいまも覚えてる でも振り返っても無駄だったことなど 一つだってなかっただろう さぁ、胸を張って臨もう、この先へ 今日、 太陽よりもきっと 輝いて光っているんだ 大丈夫、 どうなろうと最後は笑っていようよ 太陽よりももっと 高く飛んでいる気がするんだ そうだ、 いつか今日も思い出になってしまうよ だから後悔のないよう 走りたいように走れ、今日も 今までで一番暖かい春になれ 熱くなれ 燃えろ太陽 |
怠惰でいいとも!My Hair is Bad | My Hair is Bad | 椎木知仁 | 椎木知仁 | | もういいです ほんとにいいです 勝ちとか負けとかどうでもいいです 雑魚でもいいです アホでもいいです 友達やめてもらってもいいです 薄情です 女々しいです 糞です 明日にはここから逃げるつもりです なんならこのまま終わりでいいですか? なんて言っても続くんです この曲も マイナスも ネガティブも ポジティブもう腐ってますもん 悪口も 陰口も 胡散臭さも 嘘も 冗談も 愛想笑いも もうさんざん もうたくさん あとは 助さん 格さん よろしくお願いちゃん あららら このまま ダメになっちゃっていいかな?(いいとも!) ありがとう 超怠惰 ダメになっちゃっていいんでしょ?(いいとも!) 酒なら飲みてー 誰かと飲みてー 満足したら帰ってもらいてー そのあと寝転んで 桃鉄 です ぼくなつ です ぼくなつツー です ツーウィークアキュビューコンタクト 目からそのままゴミ箱です そうしたら もう見えないです 動けないです やらない?ちがいます できないです 電話も出れない 外にも出れない 出られない の ら もつけられないです 悪いんです でも謝らないです その代わり もう生まれ変わっても 人にはならないです あららら このまま ダメになってしまうのかな?(そうとも!) 許して 超怠惰 ダメになってしまう僕を(いいとも!) 許しても 許されても 終われないはずだったのに(終われるさ) ありがとう 超怠惰 僕を楽にしてくれるのかい?(いいとも!) |
卒業 My Hair is Bad | My Hair is Bad | 椎木知仁 | 椎木知仁 | My Hair is Bad | 渋谷駅前は今日もうるさい なかなか二人になれない たまには手を繋ぎたい そんなに素直になれない 帰りの電車はギュッと混みあい 降りる扉は反対 その瞬間ふと目と目が合い 二人、手繋いでいたんだ してあげられること、いくつもない しいてあげるなら腕枕くらい 無理に背伸び、格好つけたって あんまり気付いてくれない そんな君には悪気がない でも僕にはまるで余裕がない 僕をわかってくれない 君をわかってあげたい 川沿いの街、終電車たち 田園都市、矢印は緑 僕は君のなんだった 冬になればもう一年だね 愛したって愛されたって 身勝手だって思った 僕はわかんなかった さよならは言わないで 僕ら、友達に戻ろう 別れてやっと気付いたの ねえなんでこんなに寂しいの 変えてしまった爪の色 私、真っ赤に戻したの おはよう、おやすみ、 って誰に言うの あいつの愚痴もすぐ聞いてほしい また美味しいお店見つけたの やだ、独り言みたいだ 乾いたランジェリー 思わず笑ったバラエティ 部屋には、私、一人きり 冬になるとまた思い出すね なんて言うか、 悲しかった時のことですらも 忘れたくないって思うの ありがとうって言わないで 私たち、恋人に戻ろう 君より可愛くていい子 俺よりずっと優しい人 そんなのいくらでもいるよ 君の心が嫌だった 俺は心が痛かった でも 君が好きだった 一万回間違ったって 恋や愛をやめられないさ さよならだけを伝えるつもりが ありがとうと言う 僕にとって 君にとって じゃなく 二人にとって 子供のままじゃダメだ でも 大人ってなんだ 渋谷駅前は今日もうるさい なかなか一人になれない 街角で人が抱き合い 東京はもう春みたい 帰りの電車はすぐ座れた いつもの駅とは反対 恋人でも 友でもない 二人からの卒業 |
戦争を知らない大人たち My Hair is Bad | My Hair is Bad | 椎木知仁 | 椎木知仁 | My Hair is Bad | まるで春みたいで むくりと動き出した 寝ぼけ眼 僕は 生乾きだった 水盤の蛇口 フライパンの残り 「来週には満開」と キャスターは笑った チェックつけた求人 上京した友人 封を開けることもなく 溜まっていった郵便 蝶々がひらり ふわり 街は春のように ふれあい通り 咲いた 偽物の桜花 まるで夏みたいで スッと思い出した 駅前に向かうと 揺れる ミニスカート まじヤりたいだけで やることもなくて 「学生としての自覚を」って 先生は言ってた 初めて吸った煙草 バイト タイムカード 部活終わり 夕方 君の浴衣姿 嫌に暑い夜に 二人 並び 花火よりも 君を見たかった Good night… まるで秋みたいで 世間は冷たかった 成った穂が垂れるように 愛想振りまいても 死んじまった蝉の方が 誇らしく見えて 「阿呆う」なんて 電線のカラスが鳴いた 父とやったキャッチボール 公園のスコップ ちょっとでも褒めてもらいたかったんだ 真っ黒になった僕に 母は優しかった きっと 愛されていたんだ Good night… まるで冬みたいで 言葉が白くなった 雪が降るみたいに 街は静かだった ただいま おかえり なんて聞こえない部屋に 「メリークリスマス」って テレビが言った 年末 飲み会 行かなかった二次会 話合わなかった ていうか 合うわけないか 見分けのつかない ヤング雑誌 グラビア 見分けのつかない ゆとりだった 僕ら 幽霊も UFOも 宗教も 信じない 友情や 愛情や 日々の事情 優柔不断 迫られる決断 勇敢な勇者も 恋人に勝てない テロが起こった日 飲み過ぎてゲロ 新聞に包まり 眠った子猫 眠れば なにも わからない なにも 感じない Good night… |
接吻とフレンド My Hair is Bad | My Hair is Bad | 椎木知仁 | 椎木知仁 | | いってらっしゃいと言った僕に 黙ったまま振り返って 君は ん って顔して 僕はキスして見送る 扉閉まって一人になって またベッドに潜り込んで 君の匂いにつられ 僕は一人で果ててる 君の部屋にいる 僕が部屋にいるから 尻に敷かれてるのかな ずっと一人座って待っている 君の言うことを聞いてる きつい雨 嵐でも待っている いつでもキスして迎える 君の掌で踊る 君の掌で踊る 踊らされてるんじゃない ただもっと上手に踊りたい 二人の洗濯を干し終わって 特にやることもなかった 君の青い下着が揺れ 僕の未来が乾いてる ただいま と鍵を開ける音に おかえり おつかれ って言って 君は ん って顔して 僕はキスして応えた 君の愚痴を聞く 僕が全部聞くんだよ うなづいているだけだけど ずっと一人座って待ってたよ 君の言うことを聞いたよ 掃除も洗濯も終わったよ いつでも帰っておいでよ 君の掌で踊る 君の掌で踊る 踊らされてるんじゃない ただもっと上手に踊りたい タバコの臭いが君からしたって ねぇ どうしてなんて聞いたりしないから 心の中にいる 君の中にいるんだよ まさに(2)娘(1)だね なんてね ずっと一人座って待っている 君の言うことを聞いてる きつい雨 嵐でも待っている いつでもキスして迎える 君の掌で踊る 君の掌で踊る 踊らされてるんじゃない まだまだまだまだまだ 踊りたい |
惜春My Hair is Bad | My Hair is Bad | 椎木知仁 | 椎木知仁 | | 味のないフライを砕いたまま 薄い茶を交わしていた 夏日報道に金魚は浮いていた 周りはセックスやドラッグたちとよく遊んでいた 大人になったような気がしていた 僕らは笑ったって 写真に残したって いつかはどこかへ忘れてしまうんだ 虫の様に坂に溜まっていた 肺に愛を濾していた 週末になるとみんな踊っていた 彼女は既読と約束を一々欲しがった 駅でするキスの味を覚えていた 僕らはいつだって 自らを愛していて 本当はほとんどもうどうでもよかったんだ 僕はついにもうやめてしまったんだ 本当にもう面倒くさくなった YouTubeかなんか流したまんま 目を瞑っていた そしてそのまま眠ってしまっていた 白い布を羽織っていた 不思議な感じだった 周りに続いて沖へ歩いていた 急に爆音で木琴が鳴って呼吸を失った ソファで目覚めた ふとみると君からの着信だった 僕らはいつだって 勘違いばっかで 幸せはいつだってそのおかげだったんだ 追い風を追い抜いてゆくように 思い通り遠い方に行こう あの雲切り裂く大胆なイメージで 思い出しても辛くないように 荷物で重たくないように 僕らはいつも わざと置いていて 忘れてしまうんだ だから忘れる為に先を急ぐんだ |
自由とヒステリーMy Hair is Bad | My Hair is Bad | 椎木知仁 | 椎木知仁 | My Hair is Bad | 君がいなくなって気がついた 君がいなくなって僕は自由だ はじめからこうすりゃ良かったって 口に出していた 君がいなくなった部屋の中 君が置いてったものをみていた 思い出す度に腹立ってんだ あの日もそう バカにしないでよって君はまた 当たり前みたいに泣き出した 勝手に出てく君を止めなかった 月曜から金土日 毎日、楽しいから もう帰ってこないでね もしも出会う前に戻れるなら 僕ら、出会わせないで 二人が過ごした小さな部屋の窓辺には 君と育てた観葉植物 君がいなくなった日から 前よりも元気になったんだ 記憶がまた蘇る 君がなにかを投げつける 僕の耳をかすめて化粧水が姿見鏡にぶつかる 割れた破片、あの時に確かに見た、君の顔 こっちを見てなぜか笑ってたよね? 突然君から電話きた 今から行くって切られた どうせ来ると僕はわかってたよ 数分後、君が部屋の前で泣いてるのが ドア越しでもわかってた 君がインターホンを押すまでは 僕はただ黙ってた 君からの電話に出たのも 今からこのドアを開けるのも 君のためじゃない 僕は僕の自由を今夜勝ち取るためだ でも ドアを開くその先には 泣きながら笑ってる君がいて そのまま僕に抱きついて一言 「ただいま。」って言ったんだ ずっと抱きついて離れないまま 僕の話なんて聞かないまま 僕を試してるみたいに言った 「好きだからだよ。」 |
時代My Hair is Bad | My Hair is Bad | 椎木知仁 | 椎木知仁 | My Hair is Bad | やっぱり人生に字幕はないんだ まぁまぁ夢は叶っている気がする あれだけどこにもなかったお金も 悠々と暮らせるぐらいはあるね やっぱいつかは結婚するのかな また機嫌か悪事で台無しにすんのか? 誰でもなく僕は僕のために 誰かを幸せにできるのかな たゆく揺れて浮かぶ、景色の中 時代とともに流れて生きる 逆らい、流され、繰り返すけど どうか、どうか、流れ着いた場所で 無くしたものばかり思い出さないように だってどうせ戻らない時のいいなりだ もう新しい友達は要らない 怒るくらいなら無視している ある程度諦めてるからこそ まじで諦められないことがわかんだよね 本当にここに来たかったのかな? 勢いで乗った電車降りれなくて 知らない街まで来たみたいに 勝手に着いちゃった場所な気もしていて なんかかっこつけて言えないよな ララララ もう終わったなんていつ始まったんだよ 灯りを消したときにこそ光を見ろ これからも、この先も 決めなきゃ決められちゃうんだ 人のせいにも、自分のせいにもしない 誰とも比べない、でも誰にだって負けない 人生に字幕がないからこそ試されるはずだ その言葉をここで どう訳すか 大袈裟なことや目立った話は トロフィーかなんかにして飾っておいて 時代とともに今が変わる その中でいつまでも変わらず大事なのは 飾らない言葉や、飾らない気持ちを ずっと忘れないでいるってことだ 時代に愛されなくても日々を愛したいから |
次回予告My Hair is Bad | My Hair is Bad | 椎木知仁 | 椎木知仁 | | 眠れずに眺めてた あのテレビ 僕らはいつまでも忘れられないまま 日曜のままの身体の朝 起き抜けの肌 熱めのシャワー 身の残ったバナナの皮 スヌーズ機能のままのアラーム 雑な歯磨き 塵紙がない 戸締りの鍵 木々の真緑 休みは七分の二 なのに 遊びたい 休みたいの二分の二の日々 新聞もニュースも他人事の様に流れ踊ってる 今起こる戦争 暴動と喧騒 それより週末はなにしよう 自分自身の熱愛期待してる 浮気はしないししないでね 若さ故の薄暗さより 大人方の明るさの方が違和感だ 将来の夢や生活の為 ぶつけた痣や計画の仇 先の話より昔の話ばっかりになった でもずっと 眠れずに眺めてた あのテレビ 僕らはいつまでも忘れられないまま 奪い取られてた でもいつか 僕もきっと気付かずに奪い取ったんだろう 失くなったことばかり ずっと思い馳せないでいて 続きは これから 冬になる度 校庭に積もる雪 長電話がより近付けていく距離 本当の気持ちだって 機械越し電波に話すほど 僕らは今に頼ってる 心の奥にある鍵の付いたおもちゃ箱 勇者の剣 お城の積み木 ピース足りないパズルの続き etc. いつか無くなる日が来るよ いつか忘れる日が来るよ でもそれはきっと大切な誰かにあげる日なんだ 僕ら年老いても この街は変わり続けていくだろう 僕らも変われたら だけどその僕が変わるチャンスは何度あるんだろう? 失敗しないなんて 後悔しないなんて いくら望んだってあり得ないって これからも何度だって 失くしていくけれど 僕らの続きはいつだって今日だ |
正直な話My Hair is Bad | My Hair is Bad | 椎木知仁 | 椎木知仁 | | ねぇ 正直な話 僕の言うことは信じないで 洗濯機の中に二人の服があることを信じてね 毎晩ご飯を作ってる君をみていて ありがとうや美味しい以上の気持ちになった なんて言えばいいかわからない僕は ひとまずお皿を洗ったよね 言葉にならなくても一緒にいよう ありがとうとごめんがあったらいい ねぇ 正直な話 君の言うことも信じないよ 丁寧に畳んであったTシャツを信じてるよ なんにもない休みになにもしないで 昼頃「おはよう…」って起きてみたって 何を食べたって 何を観たって つまらないと思う日には なにも言わないでただずっといよう 今日日曜日だとかどうでもいいでしょ 二人ともさ いい大人でしょ それならなおさらそうじゃん 愛しているだとか大切だよだとか 言葉だけじゃ言葉だけだから 正直な話 僕のすることを信じてほしい 「やっぱこの人でよかった。」と 思えるようにするから ねぇ 本当はもう 君の言うことやすることで 本当に君でよかったって 僕はとっくに思っていた 一回しか言わないから ちゃんと聞かなくてもいいよ 本当に幸せにしたいなって思うよ ありがとう |
シャトルに乗ってMy Hair is Bad | My Hair is Bad | 椎木知仁 | 椎木知仁 | | 今夜も煌々と丸が浮かんでる 兵隊たちは銃と空に祈っている 遊び疲れた子供たちは静かに眠っている 今夜も衛星を点で繋いでる 其々を愛称や名前で呼んでる 世界中がただ一つだけを大事に想っている まだ残っている傷を少し気にしているだけ 街を壊した怪獣は玩具になってる 殺人も地震ももう随分慣れてしまっている 公園で鳩が飛んでいくのを見た 平和には羽が生えていた 犬や猫を撫で他の肉を食べるし 彼女が妊娠か…なんて頭を抱えてる 教科書で地球の歴史を見た 僕は端っこの方にいた 時計は進んでいた 僕ら ただ笑っている たまに泣いている まだ悩んでいる 少し堪えている 時代は変わっていく 争いは続いていく 愛し合っている だから手を繋いでいる 今日もありがとう また明日ね ただ出会っていく 別れはやってくる 陽が昇っていく そして海に沈んでいく 春が咲いている 夏が鳴いている 秋が暮れて 冬が寄り添っていく 元に戻っていく この地球の全てと 今日も今日を生きてる 今夜も煌々と丸が浮かんでる 僕らもきっといつかは死んでしまうという また生まれ変わっても 君のそばにいる |
芝居My Hair is Bad | My Hair is Bad | 椎木知仁 | 椎木知仁 | | もしもこれが映画だとして今日はどんなシーンだろう ひとつも解決していないから 終わりはまだ先だろう 肝心な台詞を間違えて また人を傷つけたり 誰かの演技を真似てみて より自分が分かったり 急な即興で笑ってしまったり あの名優がこの世を去ったり 一秒一秒全てのシーンがもう 撮り直せない 幸せは思い出として古びていく 読み終えた台本や 着崩れした衣装たちが重なってる このまま 出番は続いていく 残った傷も汚れも恥じたりしないでいい 美談だけじゃきっと映画を愛せないから 悲しい台詞が増えたのは 嬉しい場面の前振りだろう 厳しい言葉が悔しいのは 本気になった証拠だろう 台本のどこを探してもない 君の名前はもう書いてない いくら拒んで逆らっても 次へページをめくらなきゃいけないから 何度も手に取る写真の君は 時間が経つたびに また綺麗になった たまには 今までを再生してみる 砂嵐で歪んだり何も映らなかったり きっとそれでいい このまま僕は僕で古びていく 若い頃の台詞を指でなぞっては 恥ずかしくなったりする 積み上げた作品が崩れること 人はそれを走馬灯と呼ぶらしいけど 今の僕が予告編になるような 長い映画を撮ることに決めたんだ |
舌My Hair is Bad | My Hair is Bad | 椎木知仁 | 椎木知仁 | | 「このまま君の舌を噛み切ったら 嘘をつけなくなるかな?」 キスしたままそう思ってた 目は閉じないままでいた 別れを誓い合ったその口で何度もキスをした 消えた続きがベッドだけにはあった 「またね。」と手を振った君が 窓から見えるまで 鍵は閉めなかった 昨日君が忘れていった金のピアスを 鏡の前で付けてみた 可笑しくて笑ったら耳元で揺れてた それがなぜか嬉しかった もしも君が嘘をつかなかったら きっと僕は傷付くから この先もずっとずるい人でいてね 誰か一人だけを愛せる人にならないでね 乾いたキスが好きな君のままでいてね おかえりと言うみたいに抱き寄せて 何度もキスをして幸せに泥を塗ろうよ 外から鍵をかけてもう「またね。」なんて言えないように 「このままこの舌、噛み切ってしまっていいでしょ? 僕のだって噛み切っていいよ、 初めてのお揃いにしようよ。」 あの日言った別れの言葉を もう二度と言い直せないように もう誰にも愛を誓えないように |
仕事が終わったらMy Hair is Bad | My Hair is Bad | 椎木知仁 | 椎木知仁 | | ビール!ハイボール!レモンチューハイ! ワイン!日本酒!全部ちょうだい! テキーラ!イエガー!ボトルでちょうだい! なんでもいいから乾杯だ! 仕事あれこれ終わったら 昼からパジャマのまま企んで ばかかあほかみたいな顔で飲み出したいよね 夜は焼肉焼き鳥和洋食中華なんだっていいから 飲みに出たいんだ だからまだ頑張れそうだ 休みまであともう少しだ 頑張った後の一杯が 一番美味しいって分かってるから まだまだ まだまだ頑張れます まだ我慢できるのさ だから終わったら飲みに行きたいんだ 春、花見、夏、花火、屋台 秋、冬はなんだ?なんでもいいや 飲む理由は来るんじゃなくて作るものだから フェス、ビアガー、バーベ、いや、ベランダでもいいから 外で飲みたいよな よく頑張った!えらいな! 好きなもの頼んでいいな あれだけ頑張ったんなら 誰も文句はないんだから もう二度とお酒飲みたくないなって 心の底からマジで思うまで飲んでいたいんだ ビール!ハイボール!レモンチューハイ! ワイン!日本酒!全部ちょうだい! テキーラ!イエガー!ボトルでちょうだい! なんでもいいから乾杯だ! |
サマー・イン・サマーMy Hair is Bad | My Hair is Bad | 椎木知仁 | 椎木知仁 | | あれは 漫画みたいな夏の日だった 海岸を目指してた 僕たちは自転車5台で カンカンだった太陽の下 早いよって声がして振り返った サマー・イン・サマー チャイムが鳴っても騒がしい高橋 アスファルトに日が照り返してた午後 彼女たっての希望 「次の日曜、あの漫画の実写を観に行こう。」 だから 夏、バスを待つ、暑い日だった 缶ジュースを揺らした 私服の君に緊張してしまった 日曜の映画館に着いて 二人が買ったのは 思い出だったんだね 夜空に星が見えた時 「あの光は何年も前から届いてる。」 って誰かが言ったあの時、ちゃんとわかった 今、ここで光れば 「綺麗だ。」と未来で言うだろう あれは 映画みたいな夏の日だった 海岸を目指してた あの頃の5人は、レンタカーで 思い出は漫画みたいになった じゃあこれはあの日の実写だね いつかの 僕らは まだ チャイムが鳴っても騒がしい高橋 アスファルトに日が照り返してた午後 誰かたっての希望 「大人になっても、 また今日と同じこの5人でこの海に来ようよ。」 サマー・イン・サマー |
最愛の果て My Hair is Bad | My Hair is Bad | 椎木知仁 | 椎木知仁 | My Hair is Bad | 何も言わないで ちゃんとわかってあげるよ 今夜、帰ってくるなら 笑って許してあげるよ もう 笑わなくていい だって 疲れているでしょう 退屈でギリギリな日々 隣にいてあげる もう 大丈夫だよ もう充分 頑張ってるんだしいいよ いいこいいこ そう 甘えん坊でいいよ すぐに泣かなくていい もっと楽に考えよう 泥酔でノリノリなAM4:00 朝起こしてあげる もう大丈夫だよ ちゃんとまるっと覚えていなくていいよ できる できない じゃなくて 無理に やらなくていいよ 何も言わないで 目逸らしてあげるよ 君が前を向くなら 笑って許してあげる 答えなんて 見つからなくていいよ 先生だって 本当は知らないよ 君が教えてくれた パンケーキの味 きっと ずっと ちゃんと きちっと 覚えていられないよ もう一度 行こう もっと一緒にいようよ 何も言わないで ちゃんとわかってあげるよ 今夜、帰ってくるなら 笑って許してあげる 何も知らないで もっと愛しておくれよ いつも黙っているから 笑って許しておくれよ |
子供になろうMy Hair is Bad | My Hair is Bad | 椎木知仁 | 椎木知仁 | | 格好つけてて いつだって大人やってます 家賃や税金もきっちりと納めています 自炊や掃除洗濯だってちゃんとしてると もう自分で自分に嘘ついているみたいなんです 本当はまだ子供のままなんです よくできたって撫でられて眠りたいです 本当は褒められたいだけです そんなにちゃんとしていないんです みんな勘違いしてるんです 遠慮していて 敬語で相槌打ってます 聞き上手とみんなが喜んでいます 家に着いて「ただいま」って漏らした後 ドッときてバッと倒れた…この疲れはなんなんだ! 本当は今逆らってしまいたいです でもそれじゃあ嫌われてしまいそうです 泣きそうになってしまうけれど 我慢する癖がついていて うまく泣けないです あの頃だったなら 迷わなかったことで 迷って 踏み出せなくなって 笑わせたいって思うよりも 笑われたくない方が勝ってしまう 大人になったのに小さくなってる でももしも子供に戻れば 本当に僕は幸せなのかな? 子供扱いが嫌だった 自分でやってみたかった 「大人ばっかズルいよ!」ずっとそう思っていた! 本当にまだ子供のままなら もっと自由に生きられるはずなんだ 子供みたいに素直でいよう 大人みたいに企んでみよう 子供のままの僕を喜ばすために大人を楽しもう! |
こっちみてきいてMy Hair is Bad | My Hair is Bad | 椎木知仁 | 椎木知仁 | | あ~やだやだ まだ寝ていたい まだこのまま布団にいたいのに とにかく君の休日に対するやる気が凄すぎて引いてます 化粧だの 風呂だの テレビだの なんだの 準備が出来たら起こしてよ なに そう 終わったの? うん わかったってば 僕を見ている 君が見ている ねぇ 昼なに食べたい? もっとすぐ起きたらよかったね 米? 麺? パスタ? 肉? 魚? どれ? こっち向いてよ 話聞いてよ わかりました 調べます どれほれこれは? やだ? これは? ちがう? これは? なに? どれでもいい? ああ そういう感じね 機嫌損ねてる 首傾げてる でも食べてる 美味しいらしい あれ なんか夜景きれいだね 二人だけだしここ穴場だね 思ってもないタイミングで急にロマンチックが訪れちゃったね 肩を抱き寄せ まるまるしかじか そういうの出来たらいいのにね 期待しないでね できないから できないけど 僕を見ている 君を見ている 疲れちゃったら休もうよ 元気出してちょっと頑張ろうよ 無理して笑って帰っておいでよ 家ではずっと好きにしたらいい 浮かれちゃったら遊ぼうよ 本気出してちょっと頬張ろうよ お洒落して笑ってどっかいこうよ 休みはずっと好きにしたらいいから |
心はずっとMy Hair is Bad | My Hair is Bad | 椎木知仁 | 椎木知仁 | | 履きたいあれ 着てみたいあれ 残ってたカレー おろした2万円 腫れた扁桃腺 風邪みたい いくら勝ち取ったって思っていたって 譲ってあげるから 目で合図して みんな家族と 思えばいい 歯を洗い さらに皿洗い そして服洗い 身体まで洗い まだ使いたい ものだけを洗い 他はいらない なるべく 身軽でいたい 羽生えない gに逆らえない 高すぎると怖い のに 空を飛べるって 知らなかった 時間はあるようでないけど、時間はないようであるのさ! 僕らが思ってるよりもずっと… 長くて短いもの! じきに顔にしわを いつか身に衰えを 顔も 身も 脳も どうも長くはないけど 心はずっとこのまま いつまでも僕のものだから ロボが壊れても パイロットは死なない 窓あけてよ もっと 顔みせてよ もっと 見た目は見た目で 君じゃないこと知ってる 君のものも僕の 僕のものも君の みんな家族と思えばいい 心はいつだってあるけど、身体はいつかは捨てるのさ! 僕らが思ってるよりも何回も… 乗り換えて過ごすのさ! 人の言うことが 聞けないのはばかだ 人の言うことしか聞けないのはいやだ 偶然と思っても いいけれど ほんとは… 時間はあるようでないけど、時間はないようであるのさ! 僕らが思ってるよりもずっと… 長くて短いもの! 迷子になってすぐ泣いてしまわないで 心配なんてしないでいいよ なんで?って言われたって 「心はずっと、身体はいつか」を 理解さえすれば また会えるから すぐ会えるから |
告白 My Hair is Bad | My Hair is Bad | 椎木知仁 | 椎木知仁 | | 一生痛いくらい酷い恋したい 不幸になっちゃうくらい大胆な方に 未来に期待したい なんて撤回だ 今だけでいいんだ 思いっきり飛び込みたい 自由に 銘々 名映画のストーリー 若者はずっと悩んでいた 決めたんだ 誰かに合わすのはやめたんだ 現在は最終回 延滞した十代じゃいられない どうしたいんだ そんなバックグラウンドに興味はない やるか やらないか 我を裏切れ 一万回くらい愛し合いたい 不純に 啾啾 終始 逃したブーケ つまんないくらい簡単な方に行け 単純がいいさ 痛い芝居 大名作のモンスター 心身深沈 死んだダンサー 若者はずっと悩んでいた 北北西を過ぎる 高速バスに揺られた イヤホンはなかった すっと 不安になるんだ きっと 心配はないさ ぜったい 終わりは来るんだ 最上階 掻き鳴り合え 四拍子 珠玉の私曲と不安なステージ 泣きたいくらい酔いどれの宴会の 夜越えていった 歴代最大写したブローニー 二千年以上経っている今日も 若者はなぜか悩んでいる 明日を見てる すっと 不安になるんだ きっと 心配はないさ ぜったい 終わりは来るんだ いつか死んでしまうんだ |
恋人ができたんだ My Hair is Bad | My Hair is Bad | 椎木知仁 | 椎木知仁 | | 恋人ができたんだ 本気で好きと思う子なんだ 君の調子はどう?君の調子はどうだい? 恋人ができたんだ 君には似ても似つかないんだ 君の調子はどう?君の調子はどうだい? 恋人ができたんだ 先のことも考えてるんだ 君の調子はどう?君の調子はどうだい? 恋人ができたんだ 遊園地にも一緒に行ったよ 君の調子はどう?君の調子はどうだい? 別れる と 離れる は似たようで違うみたいだ 僕らも二人と呼ばれてたね 出会ってしまった 通じ合ってしまった それは消せないけど 奪ってしまった 奪われていった 心を返してもう眠ろう 街ですれ違ったって 思い出したって 話しかけないでね 恋は薄まって でも愛はまだ残っているよ もう会えないよ だって 恋人ができたんだ でも もしも 君を知らなかったら 今の 恋人も 好きになってなかったんだろう 顔も 歳も 話し方も 好きな物さえも違う 番号も 指輪も 下着の場所も 写真も 録画していたあのドラマも もう覚えていなくてもいい 忘れてしまってもいいのに 恋人ができたって 君からちゃんと聞いていないよ どうか幸せに 愛し合ってしまった 繋がってしまった それは消せないけど 奪ってしまった 奪われていった 心を返してもう眠ろう 時間が経って 思い出せなくなって 忘れてもいいよね 恋は薄まって でも愛はまだ残っているの? もう会えないよ 僕ら 恋人ができたんだ |
結婚しようよMy Hair is Bad | My Hair is Bad | 椎木知仁 | 椎木知仁 | My Hair is Bad | 一生一緒にいようなんて 大袈裟になっちゃうし 変なラブソングみたいなジョークに聞こえて どうせ笑うだろうな だけどちゃんと言わないときっと怒るしな 真面目に言ったら意外と…いや似合わないかな でもそろそろ 待たせてる気もする あのとき 君と出会ってからきっといつか そうなる気がしていたんだよ 「そうじゃない今も幸せだよ」 そんな言い訳してきたけど もしもちゃんと伝えたら 笑ってくれますか? 「もう今日は家には帰りたくないな…」 って思う日もある どうせなんか言ってくるんだ 正しくて面白くないことをさ あいつだいたい何様なんだよ それから 全部わかってるみたいな顔してムカつくよな でもやっぱり 君が正しいけど 真面目すぎる君といるせいで 僕もちょっとちゃんとしてきた このままいったら僕はきっと 面白くない男になるよ それでもちゃんと隣で 笑ってくれますか? どんな喧嘩しても どんな機嫌でも おかえりといってらっしゃいを 笑顔で言える君をみたとき 僕はやっぱりそう思ったんだ 僕と出会ってからどうですか 僕は君の前だけでしか あんな姿にはなれないよ だからそばにいなきゃダメだ 愛してるなんて似合わないけど 必要なら本気で言うよ 目指した先に何もなくても 「何もないね」って笑い合って これから先も一緒に生きていきたい 今君に言うとすれば 結婚しようよ |
化粧 My Hair is Bad | My Hair is Bad | 椎木知仁 | 椎木知仁 | | まだ 湿ってたバスタオルは 床に落ちたまま 乾かずに 冷たいまま ここで 二人が着ていた 寝巻きも 洗えずに くしゃくしゃに 残ったまま 口紅で書いた 赤い糸じゃ あなたのこと 縛れなくて あの子のこと まだ好きだってわかっているから ほら 早く愛してあげなよ 「今日は本当にありがとう でももう行かなきゃ。」 知らない車 指差して 「迎えに来てくれたの」なんて笑ったまま 人混みに逃げ込んだの 曲がり角で 泣き崩れて 悲しみだけ 街に溶けた 過ちと分かるのに過ちを繰り返すだけの ほら 早く迎えに来てよ 飲めないお酒を飲んだのも 疲れていないフリしたのも 一秒でも 隣にいたいだけだったの いつも優しく答えてくれたあなたなのに 諦め方は 教えてくれないのね 今ならまだ やめられると 思うときには もう遅くて 抱き締められたら 嘘でも暖かかったよ 今までありがとね 触れた唇 残した赤は あの子に会う前に落として 口紅が薄れた その瞬間にわかってたのは もっと素直になれたら よかったよ 素顔になれたら よかったよ |
グッバイ・マイマリー My Hair is Bad | My Hair is Bad | 椎木知仁 | 椎木知仁 | | 都会の乗り換えも慣れた六月の正午 下品な中吊り広告を ボーッとただ流し込んでいた 駅から二分 自動施錠のワンルーム 君が茹で上げたパスタは いつも決まって柔らかいけれど好きだ 二人でよく行った五百円の飲み放題 薄めで頼んだレモンハイ たった二杯でほっぺ赤った 酔っ払った君は特に可愛かった デザートは酒肴になるんだって 得意げに二つ頼んでた 首都高は僕らに見向きもせずに流れて 同じように季節も流れてた 結婚したいなって思ってたんだ でも思っていただけだったんだ どういうことかわかんなかった 合鍵で開けても君はいなかった 僕の荷物がまとまり 手紙が置いてあった どうしたらよかった? そんなこと僕はわかってた 君がくれたリュックを背負ってた 寝る前に必ず化粧を落としてた君のことだ しっかりごっそり僕のことも キレイに落として寝ているんだろう ストローを噛むようにイライラしてばっかりの 僕の小ささが僕を見離した 結果次第だって思ってたんだ あと一年で変わってたんだ どうしたらいいかわかんなかった 合鍵で開けても君はいなかった 「なんちゃって」って出てくる気がしてやまなかった 僕が写真を眺めてる間に 君は結婚しちゃったりするんだろうか 隣になぜか花束とタキシードでキメ込んだ 僕がいるんじゃないかって思ってしまっている ちゃんとしようって思ってたんだ でも思っていただけだったんだ どういうことかわかってたんだ 合鍵をポストに入れて去ったんだ 頑張れと書かれた手紙は持って帰らなかった 結婚したいなって思ってたんだ でも思っていただけだったんだ どういうことかわかんなかった 合鍵で開けても君はいなかった 僕の荷物がまとまり 手紙が置いてあった |
グッド・バッド・バイMy Hair is Bad | My Hair is Bad | 椎木知仁 | 椎木知仁 | | 残りあと三分半だった もう二度と会えない気がしたんだ 数秒間を永遠に思うくらい バッグを揺らしたまま走っていた 一言目なんて言うかなんて 決めるどころか思いついてないが 君が帰る前に 叶うならこの瞬間だけ、時よ止まれ 放課後、下駄箱の中に 手紙なんて入れられない 折れた踵直したスニーカー 掲示板に置き去りの折り紙 もう縁がない電話ボックスも 映画のセットのようだろう 鳥に強い追い風が吹くように 不意な恋に故意、覆い被すように 夕陽が綺麗と話す君を思い出した 二分経ったくらいか 汗ばんだシャツに気付いていた 駅まであと一分もないのに 君の後ろ姿、小さく見えてた 改札の奥、歩いて行った ついに踏切鳴り出してしまった 遮断機が閉まる前に 叶うならこの瞬間だけ、時よ止まれ 中庭の蝶々や削れたチョーク 汚れた青い如雨露 自転車小屋の錆び 蛇口で溢れた水 はしゃいで自転車落ちそうになったこと あの日の二人の帰り道を一人走っていた 間違いに間違いがなくたって 答えなきゃ間違いもないように この問いにもう一度挑戦するなら今しかない 最後の数十秒間だ 夢中で階段駆け上がった 到着した車両に乗る君が 跨線橋からはっきり見えてた 発車のベルが鳴り響いた 扉が閉まる音と同時、やっと着いたホーム 車内の君と目が合っていた 窓越しに通りすぎる君が 僕の後ろ指差して何か言った 立ち止まったままで 僕は思わず振り返った そこにはあの日見たのと似た 綺麗な夕陽があった |
クリサンセマム My Hair is Bad | My Hair is Bad | 椎木知仁 | 椎木知仁 | My Hair is Bad | うたた寝なんて ちょっと古いだろうから いないいないばあ!を繰り返す あいつのどこがいいんだって うるうるしないでいてよ 君がなんか悲しそうで僕は嫌だった |
ギャグにしようぜMy Hair is Bad | My Hair is Bad | 椎木知仁 | 椎木知仁 | | どうせなら 笑い話にしようぜ 笑ったりしないから 恥ずかしいくらいが いいんじゃない もうぜんぶさ ギャグにしようぜ なにをしても なにをみても なに食べても 楽しい!可笑しい!探していたいな つまらない や くだらない たまには良くないけど良くない? まぁ 退屈よりきっといいと思うな ばかばかしいものを買ったり見たときこそ いいな!いいね!って思っていたいな まじ真面目な話ばっかりじゃ疲れてしまうし ふふふ と へへへ が大事なんじゃん? 「そう、人生いつでもタイミング。」 頭や身体働かせたってタイムマシンに乗れやしない だったらもうずっとかわるがわる変わる自分と共に 今を好きでいられるといい どうせなら 小旅行に行こうよ 近場でもいいからさ そうまさに カニ食べ行こうだよ なにするかじゃない 誰といるかさ ふいに振り向いたときには 良くも悪くもオールオッケーになってほしいから 嫌な記憶の花が違う色に染まるまで 水をあげよう 「そう、時が解決してくれるって。」 頭から洗ったシャワー中に身体についた泡が流されるように いつかどうせまた忘れられるから今は解決しないでいい だからもういっそ 笑い話にしようよ 拍手して笑うから 隠しても 隠さなくても 無くなんないなら 勿体ないじゃん 笑い話にしようぜ きっと楽になるから 悲しさも 辛さも 苦しさも もうぜんぶさ ギャグにしようぜ |
君が海My Hair is Bad | My Hair is Bad | 椎木知仁 | 椎木知仁 | | この夏が最後になるなら その横顔だけでいいから ずっと忘れない 八月の教室には もう誰もいなかった 吹奏楽たちと埃が 少し溢れた なんの訳もなく 寂しくて 水槽に浮かんでた 幸福も 不幸も まるで 泡みたいだ 母に似た癖毛の背中に 季節より先に 君のこと乗せてた あの海を待っていた ただ蝉が鳴いていた この夏が最後になるなら その横顔だけでいいから ずっと忘れないように 約束通り 電話した 午前0時過ぎ 花火だけ持って 砂時計は残りわずか 自販機の明かり 君と逃げ出した 青さが二人を締め付けて離さないような またただ夢を見ていた 団扇に穴を開けて覗いた 氷菓子を舐めた君が笑っていた ただ恋に落ちていた 頬に汗をかいていた 線香花火が落ち消えた後に 二人は黙って近付き 暗闇でまた口づけた 何度も襲ってきた 記憶が残っていた 想い出を校庭に埋めて 子供たちは皆大人になった 枯れた朝顔 魔法が解けるようだ 八月は眠るように目を閉じた 砂を止めたくて横にしていた 砂時計を元に戻しても 今は あの夏がもう来なくても いつまでもあの海が君 君が海 |
観覧車My Hair is Bad | My Hair is Bad | 椎木知仁 | 椎木知仁 | | 助手席の窓から一目覗いた 観覧車がきれいだった 今年最後の花火のようだった 「乗りたい」という君に頷く僕に 工事の看板の彼が 深く頭を下げていた 優しいだけが優しさじゃないとどこかで分かるのに それでも優しさばかり追っている 少し寒くなってきたね また長い冬がくるね 「きれいだったこの夜景も 朝が来れば違う顔だ 今の僕らと似ているように見えない? 観覧車は昇って あとは落ちてくだけだ」 とは言わずに抱き寄せてキスをした カラオケで上辺だけを見せ合った こういう場は苦手で誤魔化していた 知らない曲にタンバリンが鳴っていた 必要ないものにすら必要とされたかった僕は 必要のない相槌を打っていた 一人の部屋では針を突き刺して たまに傷口を開いてた 優しい悶絶 特別だったから 痛くないと分からなかった この傷が見えないように もっと近づいてきてよ この傷が見えるのなら そこだけを舐めてみてよ 「本当はもう気付いてるよ あなたは傷も痛みも知らない 悲劇を気取って教えて欲しいのよ このゴンドラから観覧車は見えないじゃない」 窓に映る真逆の君が話す 僕らの花火が散って ふと振り返るともう 観覧車は真っ黒の鉄だった |
関白宣言My Hair is Bad | My Hair is Bad | 椎木知仁 | 椎木知仁 | | 君の中身がどうだとか 君の見た目がどうだとか そんなのよくわかんないけど 僕は君が好きなんだ 君のこの先がどうだとか 君の今までがどうだとか ばちぼこどっちでもいいから そばにいてくれよ 君に気がある野郎とか 俺のことが好きな子とか クソほどどうでもいいからさ 早く車に乗ってよ 聞こえない まじ興味ない それで、来週どこ行きたい? 君の周りがどうだとか 君の気持ちがどうだとか そんなのよくわかんないけど 僕は君が好きなんだ そうかな わからない もういい どっちでもいい 信じられない? どうせ続かない? まあいいからこっちきてよ 君の中身がどうだとか 君の見た目がどうだとか そんなの気にしてないから 僕の中身がどうだとか 僕の見た目がどうだとか いやなら頑張っていくから ずっとちゃんと見ていてよ 君の中身がどうだとか 君の見た目がどうだとか 誰になんて言われたってさ 僕はずっと 君といたいんだ |
歓声をさがしてMy Hair is Bad | My Hair is Bad | 椎木知仁 | 椎木知仁 | | ベッドの上からもう動けなくなって テレビでは友達が笑っていたんだ DJ お願い さぁ僕の曲をかけて 悲しみをティッシュに包ませてくれ ファミレスでポエムばかり書いていたんだ ロックだ!フォークだ!スプーンだ!どうのこうのいいや 馬鹿みたいにただ僕は君のことが好きで 眠ってもいないのに夢見心地で 一週間丸ごと 学校休んで出かけて 探してみても見つからない 心の放送室 鍵は掛けないでね 全生徒が聴いていた 音楽でもいい 映画でもいい YouTubeでも お笑いでもいい アニメやゲーム 読書でもいい なんでもいい 好きならいい 大好きばかり 見つけに行きたい 今ドキドキできるものを手に取りたい DJ放送室 僕の曲をかけて みんなが帰っちゃう前に 渋谷原宿下北にも売っていないね なんでもあるなんて嘘だったんだ もう持ってるのにどこにあるのか わからなくなるから困っているんだろうな もう持っているのに足りないや 百光年先までスペースシャトルに乗って 探してみても見つからない 心の放送室 もう大音量 全僕に聴かしていた 仕事でもいい 恋愛でもいい 料理でもいい 洋服でもいい スポーツでも 絵を描いてもいい 配信でもいい なんでもいい 未来でもいい 思い出でもいい いつか それに 出会えたらいい 何歳でもいい どうでもいい もう夢でもいい なんでもいい もう人生なんて よくわからないし 少しでも 明るく楽しくいたいから なんにもみつからない それはそれでいいじゃん 理由はいらない DJ もういいや 僕の曲は僕が 歌うことにするから 大好きばっかり見つけに行きたい 大歓声や拍手が心の中で鳴って なぜか僕はただいまと漏らしてしまった DJ放送室 きっとこれでいいんだね |
カモフラージュMy Hair is Bad | My Hair is Bad | 椎木知仁 | 椎木知仁 | | そう 愛だったんだって気づいたんだ 直感で分かったんだ 僕のアンサーは優しさだけだった もっと遊んでいよう 来週は三人で海に行こう 今の若さが羨ましくなるまで 早朝の匂い 騒々しい報道のニュース 教会の上に光った銀色の十字架 川沿いに立った火ばしら ミファを失ったピアニカ 裏庭に落ちた稲妻 もう心が宇宙に気づいたんだ そうするとどうだろう 帽子が飛ばされた そう 天に昇っていこう いつだって叶うとイメージして 僕らのナンバーは“333”なんだ もっと繰り返そう 来年もあの初詣に行こう 昔の若さが微笑ましくなるまで 愛称に愛情が芽生えてくるまで 輝いていたいなら自由でいて 代償も迷走も必要なかったね 星に選ばれた 青春だったんだ いつだって終わって気がついた 思い出はあの頃の今だった 龍を宿していよう いつだって思い通りでいよう 本当はいつまでも そう 愛は感情じゃないと気づいたハートが 潤ってもう乾くことがないこと教えてくれたんだ もっと笑っていよう 来週も来年も再来年も 僕らはいま誓おう いくつになっても心は自由であることを |
革命はいつも My Hair is Bad | My Hair is Bad | 椎木知仁 | 椎木知仁 | | 九月 旅客機がビルを壊してた 真っ黒いパンジーが盛大に咲いてた 眺めていたんだ ずっとテレビが泣いてた 悲しくなかった 卒業式 女子達が泣いてた 溢れた涙が頬を伝ってた 拭えば拭うほど ただ泣けないやつが悪者みたいだ さよなら 逆らいたいなんて思わない 革命が起きて 逆さまになっていくだけ ブラックコーヒーとビーカーと居残り 第二理科室で 僕は悪魔に 猛反抗期へ 全部嫌だった まだ幼かったんだ 弁当なんて殆ど残して捨てた 生徒が握った采配 担任の真の正体 鐘は鳴っていたんだ 塾から帰ると 灯りがついてた 家の匂いとか 夕飯が待ってた 暖かい気がしたんだ でもなんでなんだろう そんなんいらない うざいんだって言ってしまった反抗期 間違いたいなんて思わない 革命が起きて スペードの3が死ぬだけ きっと遠い恋 マドンナシナリオに 誰にも言わずに 君にも言えずにいただけ ずっとキラキラしていたいのに 当人 革命に革命が起きてまたふりだしへ ブラックコーヒーとビーカーと居残り 第二理科室で 机に書いた 猛反抗期へ |
思い出をかけぬけてMy Hair is Bad | My Hair is Bad | 椎木知仁 | 椎木知仁 | My Hair is Bad・河野圭 | 君と出会ったあの時はまだ知らなかった こんなに君のことを好きになるなんてね 思い出しても 思い出しても 楽しかったことばかりだった アルバムにも入りきらないよ 溢れる笑顔で君といる 思い出をかけぬけて 君がどんな人かなんて最初は知らなかったけど いつのまに君は僕よりも僕を知ってる人になった 引き出しの奥に入っていた 僕も忘れてた本当の僕を 君が見つけてくれた 時間が経っても忘れないから 君のとなりで笑ったこと あの空までかけあがるような 溢れる季節を君とみたね 思い出しても 思い出しても 楽しかったことばかりだった あの日振り返って僕に言ったのは きっとさよならじゃないよね 思い出をかけぬけて 今「大好きなもの」や「大事にしてるもの」が そうじゃなくなってしまう そんな日が来るのは それは君が今よりも素敵な なにかに出会うから 君が君に出会うから 今年もまた少し大人になる 一人じゃないって気づけたのは 僕に笑ってくれた君のおかげだ なにがあっても なにもなくても 時間が戻ることはないから 君が言ったのはさよならじゃなくて きっと約束だったんだ 思い出しても 思い出しても 楽しかったことばかりだった 大丈夫、ずっと想っているから 新しいドアをあけて進もう 思い出をかけぬけて 思い出の向こう側でまた会う約束だ |
永遠の夏休みMy Hair is Bad | My Hair is Bad | 椎木知仁 | 椎木知仁 | | 朝顔が咲いていた。横に空の如雨露が転がっていて、 いつか夏休みが終わってしまうことをみんなが知っていた。 ラジオ体操の判子が疎らだからって怒られるわけじゃないし、 まだ宿題はほとんど残っているけれど、大丈夫、きっとまだ大丈夫。 気が付くと僕は鼻血を出して、ネット横、木の下で横になっていた。 鼻に詰めたティッシュに汗と血が滲んでいた、 凍ったアクエリアスが全身に染みていくのがわかった。 金属バットにボールが当たる、上がる砂埃が目に染みる、 蝉にも負けずに叫び続けた「ばっちこい、ばっちこい」何を待ってる? 本当は何を待っている? 練習を終えると僕は歩いて帰った。道路沿い、六階、親が置いて行った飯代。 銀色の鉄柱、二階の学習塾。キラやレアを待つ、商店街のカードダス。 静かに霊柩車が横切る度に、山内が言っていたあの話を思い出した。 「お母さんやお父さんを連れて行かれないように こうやって親指を隠すんだよ。」って。 日が暮れて鐘が鳴る ただそれの繰り返しを 冷房の効いた部屋でゲームをしている。 氷の溶けたグラスに水滴が付いている。 画面の中の主人公が隠れて敵が来るのを待っている。 ポテトチップスを摘んだ手で触ったコントローラを 濡れたティッシュで拭き取って、セーブして、 ぬるい麦茶を一気に流し込んで喉を潤した。 新井とは一度喧嘩したけどいつのまにか仲直りした。 栗原がピッチャーで優太郎がキャッチャー。 寺倉はサイドスロー、健太は肩が良かった。 田口は背が高くて、菊は足が速かった。 石井が菌と呼ばれていると、みんなでそれに乗っかった。 杉本は双子、金持ちの近野、関谷ん家の小さな犬、 一度も話したことなかったけど浅野のことが好きだった。 マンションを出ると都会特有の熱気で 公園にいくともう自転車が集まっていた。 いつか貰ったお年玉の残りを話して、 爪楊枝を赤く塗って駄菓子屋のおばちゃんを騙した。 誰かが鬼になって誰かを追いかける。 誰かが捕まって誰かが鬼になる。 敵になっては味方になる、僕は主人公じゃなかった。 日が暮れて鐘が鳴る ただそれの繰り返しを 気が知れて友になる ただそれの繰り返しを 足りなくて足し続ける ただそれの繰り返しを 朝が来て母が呼ぶ ただそれの繰り返しを 共働きの両親が連れて行ってくれた遊園地、 ベンチでソフトクリーム、虹色に見えた。 観覧車、ゴーカート、お化け屋敷、ジェットコースター、海賊船、 その中から僕はなぜかメリーゴーランドを選んで、 馬に跨って、ふと気がついた。 僕はずっと同じところを回っている そしていつか終わりが必ずやってくる 時計は回ってまた同じ数字に戻る 遊び終わってまた必ず家に帰る 一月の内にまたこんなに髪が伸びてる 終わったはずの夏がまた訪れる もう二度と九月なんて来ないように 永遠の夏休み 終わらないこの八月に 日差しは弱くなり コンクリートは冷えた でもまだみんなの声が聞こえる 大丈夫、きっとまだ大丈夫。 |
運命 My Hair is Bad | My Hair is Bad | 椎木知仁 | 椎木知仁 | | 偶然だった 最後であの日と同じ服 僕は遅れて行った 見慣れない短い髪だった 気不味くて珈琲で流し込んだ でもなぜか味がしなかった 沈黙が続いていた その瞬間 僕は悟った きっと終わりだった ずっと分かっていた もう何も言わなかった ずっと怒鳴っていた じっと睨んでいた でも君は泣かなかった どうして 終わりだけわかってしまうんだよ 立ち上がる僕の手を掴んで その拍子にグラスが落ちた たった数秒が長すぎて たった一言も言えなくて 偶然か 必然か どちらでもいい ただ この縁が 破片が いま消えるのを待っていた 指に触れるだけで 胸が高鳴ってた そんな二人はいつが最後だったろう 今は触れるだけで 痛むほどに酷く腫れていた そして僕はそっと目を逸らして きっと終わりだった ずっと分かっていた ついにエンドロールだった 僕は店を出ると もう振り返るはずもなかった すぐに泣く君が嫌いだった 最後の最後で本当はね 聞きたかったよ 硝子の破片を拾いながら 床を拭く君の手に目を疑ってた どうして指輪、外してなかったの? 必然だった いつでも終わりは何かの始まりへ |
噂My Hair is Bad | My Hair is Bad | 椎木知仁 | 椎木知仁 | | このまま二人は どこか遠く遠くまで 誰にも行き先も言わないまま さよなら さよなら 死んだと思ってもいい 僕らを探さないで いつもの場所で降りないで 分かるから何にも言わないで それから何年後 誰かが描写して そのまま二人は美しい噂になったんだ |
浮気のとなりでMy Hair is Bad | My Hair is Bad | 椎木知仁 | 椎木知仁 | | 君の嘘 その服装 その言葉遣いも どっか見下してる表情も 怒り通り越し 涙目に浮かべたり 逆逆逆ギレも 慣れました 都合のいいだけのハートに はぁ となりながら嬉しいよー でも 黙々とどこの誰に返信しているの… ほら 目泳がしたままムキにならないでよ あれもあれも気になるけど 今日も 悪いことされて平気だったのはなんでだろう? 悪いことされて怒らなかったのは 本当は悪い人じゃないもん 「ごめんごめん ばっかりでごめん ってごめんってまた言っちゃってごめん…」 ってごめんなさい顔のお面していて 起こっちゃったことに 怒っちゃったりしないけど 本当は胸の奥の奥じゃ くそくそくそくそくそやろー あほーばかあの大嘘野郎ーあー これは 無関心 じゃなくて 器の広さ だよ? でも痛いの痛いのまとめて君に飛んでったとしても 包帯は巻いてあげるよ 今日も 優しくされて許してしまったのはなんでだろう? 優しくされてなあなあにしてしまったのは だって本当は優しい人なんだって ちゃんとわかっているからね 間違っているのは果たしてどっちなの? 今日で君の僕をやめて 僕は僕の僕に戻ろうかな 悪いことされて怒らなかったのは ずっと信じてたからじゃん で、悪い人だったんですか? |
いつか結婚してもMy Hair is Bad | My Hair is Bad | 椎木知仁 | 椎木知仁 | | 大好きで大切で大事な君には 愛してるなんて言わないぜ 手紙は書かない 写真も撮らないし 贈り物なんてなんか恥ずかしくて 外で食べるのもいい でも家だともっといい 残り物だってもう恥ずかしくないしね これからもよろしくね ずっと ずっと 大好きで大切で大事な君には 愛してるなんて言わないぜ 君の好きなものを俺も好きで良かったし 俺の嫌いなものにまで君は優しくて 俺の知らないことを君は知っているけど 君の知らないことは俺も知らないんだ お互いがお互いを もっと もっと 大好きで大切で大事な君には 愛してるなんて言わないでいいね 毎日がなんだか退屈に思えても 毎朝、僕の横にいて なんだかんだ言って僕らは他人で ああだこうだ言って好きにしたらいいよね なんやかんやあってこのまま暮らして そうだ たまには旅行でも行こうよ 大好きで大切で大事に思っている 愛してるなんて取っておけばいいよ 大したことなど起きたりしないけど 大したことなんていらないよ 大好きで大切で大事な君には 愛してるなんて言わないでいいね 毎日がなんだか退屈に思えても 毎朝、僕の横にいて |
一母八花My Hair is Bad | My Hair is Bad | 椎木知仁 | 椎木知仁 | My Hair is Bad | 部屋を片付ける度、君のマメさを知る 埃と日差しが柔らかく床に絵を描いていた 洗濯物を干す度、君の丁寧さを知る 皺になったシャツが溜息ついてる 一人でいる間に回る掛け時計 僕の駄目さを知る 一か八か なにか変わるまで 君がいなくてもやることやらなくちゃな 庭に咲くダリア、赤く揺れた 母の様に僕をみていた 前髪を切る度、君の不器用さを知る 「子供みたい」って 僕の髪触って笑ったの思い出した あーあ また誰かのことを傷つける度 君の懐の深さを思い知るんだよ その度、その度、止まる掛け時計 また未熟さを知る 一か八か 今すぐ部屋を飛び出して まだ間に合うなら 何か言えるのなら ごめんねよりも伝えたいのは ありがとうだった いや、ごめんね、なんかね そばにいて 当たり前になってて 僕は勘違いしていたんだ 庭に咲くダリア、色褪せても 何度も、何度も 思うのは、母の様な花の名 |
綾 My Hair is Bad | My Hair is Bad | 椎木知仁 | 椎木知仁 | | 僕の前だけで 今夜だけ独身に戻る君を僕は責めなかった 時間が許すまで 恋人でいられる気がしてしまってたんだ 「もしも二人 もっと早くに 出会っていたら どうなっていたかな?」 そんな風に君が言うから答えたんだ 「今より幸せになってたんじゃない?」 真っ先にひらいた この花が散ることを わかっていながら まだ甘い夢を見てた それでも 今夜だけでも 隣にいられたら 僕はそれだけで幸せで君と笑ってた いつもはどんな顔をしているか どんな毎日を送ってるか知らなかった 薬指の指輪だけが 僕になにか教えてくれた 電話さえ許されなくて でも抑えられるとまた会いたくなった 今夜、元にあった場所に君を戻さないで このまま連れ去れたら 真っ二つにわれた道の真ん中に立って 「帰って欲しくない。」と言えずに手を握った 君は困った顔のまま 僕の肩に顔を付けた 二つの影がまた一つになった 東京駅前の深夜 陽が落ちた赤煉瓦 植物園のストーブ 初雪が降った朝 もしも二人もっと早くに出会ってたって 報われないってわかってた でも忘れたりできないなら いま時間を戻そう なんにもいらなかった 君がいてくれたら 一ヶ月に一度だけ甘い夢に触れた この恋が綺麗な秘密で終わるように ちゃんと終わらせるから この物語にハッピーエンドなんてないと わかってても これで最後と誓っても 何度だって破り捨てて また二人で迎えた日々を もうこれで本当に 最後にしてしまうね 今まで嬉しかったよ どこまでも優しい君が好きだったよ じゃあもう夢から醒めるね この音が止まったら そこで手を離すね さようなら |
あかりMy Hair is Bad | My Hair is Bad | 椎木知仁 | 椎木知仁 | My Hair is Bad | 大丈夫 ちゃんと今日も戦ってる 今週もいつも通り、先週と同じように 「あぁ、たまには 休み取ってどっか行こうかな」 そう思えるならまだ大丈夫かな 青にしかならない、止まった信号機 進むしかないはずないよね きっと自分しか知らない この疲れた心を抱えたままでも 明日も飛べるように 傷ついた翼広げ眠る、安らかに 大丈夫 きっとちゃんとうまくいってる 楽しいことだってあるし 悪い人ばっかじゃないし 「きっと恵まれてる 頑張んなきゃ」 そう思えるのにどうしてだろう 黄色い信号にほっとしたりする 止まる理由をくれる気がして 最近 疲れが取れない でも休んでなんかいられないから まだ負けたくない 立ち向かっていたい ほんの少しの弱音だけで 消えてしまいそうな灯りを守ってた もう少しだけ強がらせてよ 大丈夫、そんなに弱くないからみていてよ 自分らしくいたい たまには重たい鎧を脱ぎ捨て 全部忘れたい そんな日が来るまで 街は動いて 日差しに雑踏が舞ってる 人が眠っている間も夢は続いてる ちゃんとうまくいくよ、きっと だから最後まで戦わせてよ この翼で |
青My Hair is Bad | My Hair is Bad | 椎木知仁 | 椎木知仁 | | 梅雨になる その前に ちゃんと乾かしておいたんだ 風に飛ばされた帽子が落ちてる 夕立や雷 揺れた公園のブランコ 青に染まるまで 今年もきっと雨が洗い流してくれると たった二週間ほどのブルーを浴び続けたいようだ 部屋干しの体操着 二限は体育館でバスケ 放課後 廊下の傘がまた盗まれてる 歳を取る その前に ちゃんと残しておきたかった 青がわかるうちに 今年はずっと雨が泣いているかのようだ その涙を拭かずに浴びたまま 芽吹く日を待っていた 溢れた川 見に行こう 少年野球の試合 中止だろうし 電話を待ってた 土で建てたお城が水に沈む光景に 王様なんてもうとっくに国を出てた 今年もきっと夏がすべて乾かしてしまうの 始まりが何かの終わりならここで濡らしたいんだ 今年もきっと雨が洗い流してくれると 花になる その前に 僕らが水を浴びられるように 梅雨になる その前に ちゃんと乾かしておいたんだ 無くしてしまう前に染み込ませたい その色が青なんだ |
愛ゆえに My Hair is Bad | My Hair is Bad | 椎木知仁 | 椎木知仁 | My Hair is Bad | 私の全てに気が付いてほしいの 例えば、髪、爪、目 そんなのマストで褒めてほしいの あ、そう、金土は遊んでたい 欲しいものポチッと買っちゃいたい 年々、旅行が大好きになっていくわ 「aiko聴くと暗い子と思われる」くらいのプライドと 愛がないと枯れてしまう通勤中 月々、足りない、好き好き、って言ってほしい 日に日に、冷たくなるなんて、許さないからね 僕は疲れてしまったんだ 君に疲れてしまったんだ 「あ、いや、もう、ごめん、あの、いや、その…」 って、は?は?は? いじいじしてないでさ、早く言えよ、直々言え ミスってキス?意味分からない ディスイズディス、これはこれって 絵で描いたような綺麗な浮気ですね 前の彼女が呼んでた愛称、アイコン、お揃いのiPhoneケース、大体、 まだ持ってる感じが信用できない最低です いちいち、うるさい?危機?胃に穴開きそう? 引き際、なくなるまで、ずっと側にいてほしいの 私「重たい」って思ってるんでしょ 美人だし良いでしょ 私「疲れる」って思ってるんでしょ でも私がいいんでしょ 僕は疲れてしまったんだ 君に疲れてしまったんだ 愛ゆえにね |
愛の毒My Hair is Bad | My Hair is Bad | 椎木知仁 | 椎木知仁 | | 期待しないくせに 期待してる みたいな顔すんじゃん 抱いてないのに 抱かれた みたいな顔で 何回でも僕は恋をする 害でも僕に憑依する 百害あって一利はない 君は毒 だけど 好き 二百害あっても触れていたい 早く 火をつけて |
愛着 My Hair is Bad  | My Hair is Bad | 椎木知仁 | 椎木知仁 | My Hair is Bad・亀田誠治 | 君はまだ誰かの 顔や匂いや態度を きっと僕に重ねてた 気がついてしまうくらい 君は誰かの思い出を着たままだったね 君がよく通ってた 行きつけの店では 今は僕と向き合ってた いつも頼むという おすすめのメニューに 誰かとの思い出が映ってた 今はまだ 愛着が脱げなくたって すぐに破けなくたって 僕にとって 君は君だ 曖昧に剥がすと痛くて 余計に傷痕になって 赤く残ってしまうから 今は 脱がなくていいから 僕を羽織ってよ その上から 私はまだ誰かの 顔や匂いや態度をあなたに重ねてしまった 仕方がないくらい 日々の暮らしに 思い出が散らばってた 長い髪を切っても 貰ったもの捨てても 変な癖が残ったまま消えなかった きっと気付かれてた でも気付かないフリで いつも笑ってくれてた 今はまだ 思い出が消えなくたって すぐ塗りつぶせなくたって 私にとって あなただけだ 破けば散らかってしまって 余計に目についてしまって 長く残ってしまうから もしも あなたが嫌じゃなきゃ 二人を描くよ この上から 偶然、その人に会ったとしても 気持ちが揺らがずにいれるように あの頃よりずっと今の私は 幸せだって思えるように 今まで誰かと作ってきたその思い出と 僕を比べて ねぇ、僕に任せて 「想像できちゃうことって 実現できるらしい」って 昔友達が言ってた それならこの先はきっと いつまでもこの先もずっと これからは 二人で 愛着が脱げないように すぐに破れないように ずっと大事にできるように 例えば悲しみが飛んで 染みになって残ってたって 何度だって洗えばいいから 幸せ、不幸せを分けないで 二人で羽織ろう もしも このまま時が進むなら 僕が君の 愛着になるから |